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セブンスドール  作者: こうえつ
(最終章)まだ宇宙に神はいない
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A.D.4021.まだ宇宙に神はいない

不意にナインの意識が目覚めた。だがすぐ横でセブンスが手を握っていてくれた。

ここは二千年前の海、地球という滅びた故郷。

二人の近く七海も目覚めた。二人は気がつかれないように背後から着いていく。

「どこなのかな? 天国にしては暗いし、もしかして私は地獄行き!? まあ、身投げとか、世界を破滅させるシステムとか、色々やちゃったからか」

 海へと身を投げた七海が気がついた場所は、見たこと見ない透明なボールのような球体の中だった、内側の壁に手を着けて外を見てみると、深いブルーに包まれている景色が広がっている。視線を変え下を見ると、真っ黒な暗闇が口を開けていた。どうやらここは海中のようだ。それもかなり深い場所。


 七海を包む球体は、どんどん、暗い深海へと潜っていく。

 しばらくして光が届かなくなった。七海が暗い海底に小さな光を見つける。

 小さな光に近づいていくと、やっとその正体がわかった。


「あれが銀次さんが言っていた、哲士を守る光の女神!?」

 セブンスとナインは顔を見合わせて、微笑み会う。

 暗闇で光を放つ女神に、七海は自分の計画がうまくいったと確信した。


 女神達のすぐ側に七海が入っている球体と同じものがもう一つ。

 停止していた七海の球体は静かに近づいていく。

 間近に近づいた時、七海の目に映った姿。

「ああ、哲士! やっぱりコドクシステムは私の神を生み出したんだ!」

 球体は哲士に近づき、二つの球体は一つになった。

 目の前に立つ、愛しい人にかける言葉はない、ただ、走り出し、哲士の胸に飛び込む七海。


「ドジこいちまったな。来てくれたのか。済まない七海」

  謝りながらも、哲士の太い腕が強く七海を抱きしめる。

  分厚い胸に顔を埋める七海は幸福を感じていた。

  オレンジ色の時間に感じた、二人が別れてしまうビジョン、今、それは覆された。

  静かに二人の様子を見守る青い目と赤い目の二人の女神に七海が声をかけた。

「あなた達が、私の神様なのね。ありがとう。望みを叶えてくれて」

 ナインは固い表情で首を振る。


「いいえ。私はあなたの神ではありません。願いも叶えらる事は出来ないのです」

 ナインは悲しそうに話をつづけた。

「今、二人の時間と空間を切り取り、連結しています。でも、二人が一緒に居られるのは、二千年後で起こっている、ビックバーンによる高次元が発生している間だけです……残念です」

 力なく頭を下げる女神に七海が笑いかける。

「ううん、やっぱり、あなたは私の神様だよ。本当に来てくれたんだね。やっぱり私って天才? ふふ、沙耶がいなかったら無理だったかな。がさつな私は細かな調整なんてできないからなあ。もっともコンパイルすらも通らなかったしね、アハハ」

 明るく話し続ける七海に首を降り続けるナイン。


「私は本当の神になるべき者。でもならなかったのです違うのです。二人が会えるこの空間を維持できるのは10分程度。時間が過ぎたら二人はこの暗い海中に沈んでしまうのです」

 下を向いたままのナイン、でも七海の笑みは消えない。その時セブンスが明るく声をあげた。

「いいの。七海は哲士と一緒に最後に居ることが望みだから。これからは一緒にいられるの」

 哲士がセブンスを見て、その姿のそっくりさに驚きながらも、哲士が七海を引き寄せ唇を重ねる。

 大きく頷いた哲士も笑う。

「仲良く氷漬けになるわけだ。このまま世界が終わるまで一緒だ。光の女神よ礼を言う。本当にありがとう」


 二人に女神として感謝される神を諦めたナインは、耐えきれず感情を口にした。

「なんでですか。二人ともこれから死ぬんですよ。今の逢瀬はうたかた幻、この後、誰にも見つからず、暗い冷たい海に沈むのですよ。怖くないのですか。生きていたくないのですか。私が完全な神なら、あなた達を救えたかもしれません。それなのにお二人は感謝してくれる……恨んでもいいのです、未熟な私を」

 穏やかな表情を浮かべた七海。まるで愛しい我が子を見る様だった。

「未熟でいいじゃない? 大事なことは、約束を守ろう力を尽くしてくれたこと。あなたはとっても優しい子なのがわかる。私の遺伝子が入っていると思うと誇らしいわ。そして嘘がつけないみたいね、この後サプライズがあるんでしょ?」

 七海の言葉にナインは語れない未来、二千年後哲士が救助され、強い孤独から七海を慕い生まれ変わりのセブンスを作り。その自分勝手な考えに絶望して、セブンスの恋人のクロムを造ってしまい……そして神として多くの期待を受けたのに、ナインが生き返ったシルバ、つまりは哲士を愛してしまった。


 つい口にしそうになり、セブンスに止められて青い瞳で二人を見つめるナイン。

「二人の天使よ行きなさい、あなたが生きている時代へそして叶うといいね、あなた達の思いが相手に届き愛のある方に進めるように」

 言葉が出ないナインにセブンスが笑顔で肩を叩く。それから七海の最後の言葉。

「……遠い未来に七海と哲士は再び生を受けて愛し合う。姿形は変わっても魂だけは変わらない。ありがとう絶望から救ってくれて。オレンジの時間に新しい恋が始まるの……それまで二人で眠る……バイバイ私の神様達。恋をしなさい千年経っても、一万経っても、女には恋は大切だから……また会いましょう」


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