A.D.4021.私は私
二千年後の未来でも輝く太陽、光は美しい。
バルコニーから入る強い光を受けた、セブンスの瞳と長い髪はさらに輝き、着ている服は透き通り、水の精霊ウンディーネの様相を見せる。
その姿に昨晩の情事を思い出し、醜悪な老人の顔になったシルバ。すぐに、自分でそれに気づき、顔つきを“父親のような”偽りの穏やかなものに変える
人形のセブンスを造り上げたシルバが話だす。
「ご覧セブンス。この素晴らしい自然と、それから人間が受ける感性の豊かさを。これらは暖かい、寒いなど、動物並みの反応しかない者には必要無いものだ。
テクノロジーの進化が止まり限られた星しか所有でき……うん、なんだ?」
シルバとの幻影が消えていく、意識なく、過去の思い出を浮かべていたセブンスの近くに、光輝く球体が出現した。
宇宙要塞エイトが閉鎖された虚数空間にフルパワーで八百ものエネルギーをぶつけて、揺らいだ部分に強引にエイト本体を割り込ませたのだ。
漆黒の空間に入り込んできた光のドールを見てナインは笑みを浮かべた。
「あなたがいつもセブンスを導いて、助けてきたわけですねエイト……いいえ、沙耶と呼びましょうか」
超大型の浮遊要塞エイトドールの中から、エイトがナインを見ていた。
「セブンスは渡さない、人形なんかに戻らせはしない」
エイトの決心にナインが微笑む。
「いいでしょう。宇宙の意思は完全ななる無。すべての悪の元凶となるエネルギーを無くす事です。この漆黒の何もない空間で、何も考えず、何もせず、自我も体も持たない。全ての人をユートピアに連れていくのが私の役目ですから」
攻撃態勢に入ったエイトドール、強力なエネルギーで光り輝く光を操るドール。
八百もの攻撃衛星にブルーノヴァ攻撃を命じた。
だが、ブラスタ砲を打ち出す直前、次々と砕け散る。
数秒で八百あった衛星は消え去り、漆黒の闇だけがエイトドールを包む。
「ナインのフィールドでは力が使えない……でも……させない。どうしても私は七海、そしてセブンスの想いを叶える」
速度を上げて巨大な機体をブルーノヴァへと向けたエイト。
「特攻ですか、この世界での神の予言者は、あなたなのですね沙耶。でももういいのです……七海とセブンスを守る義務から解放されなさい」
ナインが右手を翳すとエイトドールは停止した、
徐々に光り輝く本体が色を失っていく、同時に少しずつ砂が風に舞うように、その姿を削っていく。
しばらくして、漆黒の宇宙、存在するのは、意識を無くしたセブンスとエイトだけ。
宇宙を漂う二人の姿を見たナインが一瞬悲しみを見せた。
「人類は子供のままでいられれば良かった。愛を知り、憎しみを知り、愉悦を知り、力を求め続けた……もう、こんなことを言う必要もないですね、二人には。え? 動いている」
なにもない空間に浮かぶ、セブンス、その身体に少しずつだが近づくエイト。
初めて笑みを崩したナイン。
「このすべてのエネルギーを無効化する、私のフィールドで動くものがいるなんて」
セブンスの身体にエイトの手が触れた、瞬間、閃光が走り、その者が姿を現す。
光り輝く背中には六翼を持つ、光の機神。
「追いついてきたわけですね……これがセブンスドールの最終形態なのですね」
操縦席で輝く瞳を開けた、セブンスが全身で命令する。その横にはエイトにそっくりなラバーズが立つ。動き出した光の機神、セブンスがナイトを見る。
「不確かな宇宙の意思に従う気などない。コギトエルゴスム、わたしは私。意識する自我がすべての始点となる」
ついに銀河に発現した、セブンスドール最終形態、その名はホワイトノヴァ。
ブラックホールエンジンに代わり、創り出された小宇宙を内包し、小宇宙が起こすビックバーンのエネルギーをパワーにかえる。コズミックエンジン。
光で出来たマシンはコドクワクチンが作り上げた抗マイ神様用のマシン。
七海が二千年前に始めたマイ神様の作成、それを抑制する為に造られたコドクワクチン、両方の最終制作者である沙耶が想定した未来が今実現した。




