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セブンスドール  作者: こうえつ
決戦
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A.D.4021.セブンスの誤算

「一人でアカエイを倒すというのか」

 クロムの呟きにラバーズが意見する。

「クロム。それいい方法かもしれない。このまま戦えば時間も被害も計り知れない。セブンスドールなら負ける事はありえない、こっちがフィフスと戦闘を始めたら、重力子移動で一気に飛んできてもらおう。最悪アカエイを倒せなくても、本隊がたどり着く時間は稼げる」


 セブンスにアカエイを止めてもらい、全機で敵の本拠地へ向かう。

 ヒッグス粒子を使った重力変化を使った移動ができるセブンスドールなら追いつける。

「……セブンス。ここは任せた。破壊できなくてもいい、時間を稼ぐだけで。できるか?」

 クロムの返信にセブンスが頷く。

「大丈夫。そっちが基地にたどり着いたら一気に飛ぶから」

 クロムの機体OSラバーズが念を押す。

「絶対、深追いしない、ステングレイは手強い」

 ラバーズの注意に、再び頷いたセブンス、


紅のマシンが空中に飛び上がる。


 セブンスドールには移動用の機器はついていない、シールド発生装置もついていない、女性タイプの華奢な機体。そのままでは防御力は低く、空を飛ぶこともできない。だが事実は反対で、空中を無音で高速で移動、敵の攻撃を完全に防ぐ事ができる、全てはヒッグス粒子を利用した重力を操る事で実現できる、セブンスドールしか持たない特筆するべき能力。

 M・G・F、重力シールド。ヒッグス粒子を多く発生させ、自機の周りに張るシールドをセブンスが展開する。地中から外へ出たアカエイは、尻尾のブラスタ砲で空中に静止する紅のマシンを攻撃した。強力なビームはセブンスドールを直撃するが、その閃光はボディに届く寸前に消えた。


M・G・Fの効果に安心したクロムは全員に、敵基地への進軍を指示した。

歩行速度を速めて、十機のヘルダイバはフィフスの待つ基地へと急ぐ。


「ここは通さないからね」

 二発目のビームーを打ち消したセブンスが、右手で腰の剣を引き抜くと同時に漆黒のエネルギーが剣の柄から伸びる。

「M・G・Fは破れない。今度はこっちからね」

 セブンスは剣を振りかぶり、アカエイに切りかかった。

 セブンスの動きを見て砂に潜るアカエイ、そこにセブンスの剣が命中、たくさんの砂が空中に舞い上がった。

「外した。でも、いける!」

 クロムの忠告で時間稼ぎに徹しろと言われたが、いいところを見せたい、クロムが心配、そして今は紅の機体と一緒にである自信が、セブンスを攻撃に移らせた。

「早くあいつを倒して、追いつかないと」

 セブンスの左に立つ、セブンスドール専用のOSファルコンが心配する。

「セブンス、確かにあなたは強い。でもシックスドールに言われた事を忘れないで」

 生身でセブンスはシックドールと相対して、大けがをした、その時に彼女が言った言葉。

「心の中にある欲望は怪物。無意識な小さな存在でも怖いもの」

 ファルコンの呟きでその言葉は思い出しはしたが、銀河最高の兵器セブンスドールに騎乗している今は、まったく負ける気がせずに、強気な姿勢で敵に向かうセブンス。


「警告は聞くべきだなセブンス。小物だと思っていると大けがをする」

 アカエイの後席のパイロットが呟くと、前席の操縦者は行動を開始した。

「フィフスの作戦通りに行くよ!」

 

 地上に坂のようにねるようにように現れ、強力なレーザーを打ち込むアカエイ。だが強力なレーザーを重力シールドM・G・Fで打消し、剣で応戦するセブンス。

「もう少しで届きそう……もう一撃」

 セブンスの振る剣。重力で出来ている剣は地面ごと押しつぶす、が、重力の及ぶ範囲をかすめるように逃げるアカエイ。

 しかし、ファルコンの計算はだんだんと命中精度を上げていく。


「ここ! セブンス打ち込んでください!」

 ファルコンの補助を受けて、セブンスドールの重力の剣がついにアカエイを捉えた。

 手応えを感じたセブンス。

 勝利を確信した瞬間、動き出す砂漠の色と同化したアカエイ。

「なぜ? 私の重力の剣が当たったのに」

 セブンスドールの剣で切られたものは、超重力により押しつぶされ、別次元へ送り込まれる。どんな装甲もエネルギーシールドも防ぐ事は出来ない筈。 

「予想外よ、剣が当たれば終わりだと思っていた」

 うろたえ操縦を忘れたセブンスの紅の機体に光の束が伸びる。

 右肩に当たったレーザーはアカエイが放ったもの、貫通はしなかったが軽微なダメージを受けた。

「どうして? なぜ私の攻撃が効かず、相手の攻撃を受けてしまうの?」

 セブンスが呆然とする中、紅の機体を高速移動で、その場を離脱させた戦闘OSファルコン。

「セブンス、シールドが破られる理由がちゃんとあります。気をしっかりもってください。今、無防備状態です。追撃されたら今度はただではすみません」

 ファルコンの言葉でセブンスは我に返り、操縦桿を握りファルコンの指示通りにいったんアカエイから離れる。


「今、回避ヴァレッドを組み込みました。数分ですがステングレイの追撃をかわしてくれる筈です。その間に私の説明を聞いて行動指針を決めてください」

 ヴァレット、簡単なコマンドでセブンスドールの動きを自動的に判断、実行させるもので、バトルパレット(戦闘の混合板)の略である。

 すべての兵器にヴァレットは導入され、操縦者が反応できない不意の事態、操縦不能時の自動操縦などに使われる。今、紅の機体はファルコンのヴァレットにより自動操縦状態になった。

「セブンス、アカエイに攻撃が通じず、ビームを防げなかったのはこの砂の惑星のせいです」

 ファルコンの言葉に理解できないと首を振るセブンス。

「そんなバカな。ここより条件の厳しい宇宙空間で戦えたのよ。しかも相手はエイトドール、なぜアカエイごとき戦闘機に苦戦するわけ?」

 ファルコンはたしなめる様に話をつづ受けた。


「相手を甘く見てはいけません。いいですか。この星の砂と重力、ステングレイがバラまいた反射型チャフが問題なのです。宇宙空間は重力がないため、ヒッグス粒子によるシールドは100%こちら側でコントロールできます。ですが重力下では微調整がうまくいきません。そこに光を反射する金属片、そして巻き上がられた大量の砂。これをすべてセブンスドールは敵の攻撃とみなして、シールドのヒッグス粒子を濃くしています。そのため、シールド内のヒッグス粒子の抵抗が大きくなって、剣の威力が大幅にダウンしているのです。防御も同様で球体に展開するシールド内部、たくさんの砂と金属片を保持した状態なので、敵の攻撃への反応が遅くなって、ビームーを受けてしまうのです」

 M・G・F、マスグラビティフォース、セブンスドールの最高の盾が砂と金属片と重力によって妨げられていると、告げられたセブンスは右手で額を抑えた。

「そんな原始的な、ささいな事で最新最高のシステムが機能しないなんて。どうしたらいいの」

 セブンスの嘆き、そして徐々に精度を上げてくるアカエイの攻撃。ファルコンが警告する。

「あと63秒でこちらのヴァレットの解析が終わってしまいます。セブンス、時間がありません対処を急ぎましょう」


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