A.D.4020.クロムと仲間たち
「あいつのキャラってあんなのだっけ?」
エール王の宮殿から数光年離れた、反乱軍自由連邦国家アウローラ中継基地で、
フィフスの燥ぐ姿をディスプレイを見ていた、銀河で王の次に偉そうな態度の男、クロムが呟く。
「さあ……わたしは、そんなにフィフス姉さんと一緒にいなかったから」
フィフスのキャラを疑う、偉そうな男を切れ長のつり目で見た少女。
「な、なんだよ、なんで俺を睨むんだ?」
腰まである長い銀色の髪、左目に星の光り宿すドール、セブンスがクロムをじっと見つめた。
「フィフス姉さんの事なら、クロムの方が詳しいでしょう??」
「はあ?……あ、おまえ、エイトが俺とフィフスが寝たって、言った事を根に持って……あれはだな勢いっていうか」
壁のディスプレイで暴走中のフィフスから、クロムは視線をセブンスに移しかえ、言い訳を唱える。
「こら! おまえら! ここは病室。痴話喧嘩なら外でやれ!」
クロムが所属する特別小隊を率いる、レニウムがあきれ顔。
「そうよ! いくら鈴々の容態がいいといってもね、病人の部屋で騒ぐな!」
「おまえも十分にうるさい! テルル!」
レニウムに指摘されたテルルが「あっ」と口を塞ぐ。
そんな光景を嬉しそうにベッドの上で鈴々が見ていた。
「いいわ、こんくらい騒がしい方が。ずっと独りで安静が続いていたから、人の声が恋しい。それもあなた達の声なら特別ね」
鈴々は医者が驚く速度で回復を続けていた。
身体の殆どを傷つけた二ヶ月前の戦闘、レニウムはその時、鈴々がここまでコンデションを戻すとは考えられなかった。誰もが驚く回復は、どうやら鈴々自信の身体に起因するものらしい。口を尖らせ、クロムの方を見ているセブンスと、言い訳するクロム、はしゃぐテルル、そして回復して笑みを浮かべる鈴々。
それを見ていた規律には厳しい、隊長であるレニウムの顔も綻んでいた。
「鈴々がここまで回復してくれたのは嬉しい……鈴々の細胞の優劣性は凄いな」
医者が調べた所、特別に優秀な遺伝子を持つ鈴々の細胞は、常人なら寝たきりでもおかしくない重傷の身体を素早く、確実に回復させていた。
「フフ、わたしの遺伝子が優勢なんてね……自分は劣等感ばっかり持っているのに」
鈴々の言葉にレニウムは首を振った。
「今まで気づかなかったよ。テルルは全ての兵器の操縦レベルを高める為に、動体視力、反応の遺伝子の改造を行っている。俺も自信の肉体の機能を向上するために戦闘に役立つ優勢遺伝子を組み込んでいる。クロムは天然らしいが……全員、常人を越える力を持つ。それに何事も無く同行して、前回の戦いでは死線を何度も越えて見せた……鈴々、おまえはとても優秀な……」
レニウムの賞賛を右手を遮った鈴々。
「そんな事はどうでもいいよ……それよりわたしの大事な家族とこうして一緒に居られる。その方がずっと、ずっと、大切で幸せなの」
プツン、ディスプレイが暗くなった。
「あれ急になんにも見えないよ?」
反乱軍の基地の鈴々の病室で、ディスプレイを見てテルルが呟いた。
テルルは、戦艦やヘルダイバなど高速飛行する兵器の操縦に最適化された遺伝子と肉体を持つ。140Cmの小柄の身体、30Kgの軽量。神経経路を意識的の加速させることで、小さな軽い身体は電光石火のように素早く動き、高速でマシンを駆り、細くて長い指は、繊細な機体のコントロールを可能にしている。オレンジ色の髪を後ろで二つに縛り、優性遺伝子により実年齢よりはるかに若く、中学生以下に見える姿。まして高めのソプラノ、子供の様な言葉で話す為にますます幼く見える。
「ねぇねぇ、真っ暗なんですけど? もしかして、放送事故?」
「ちょっと、黙れテルル!」
レニウムがほっとくと、まだまだ話しそうな小学生のテルルを止める。
「……だって、こんな放送事故見ててもつまないよ~~」
うんうん、とテルルの意見に頷いたクロム。
「俺も飽きてきたぞ! 魚釣りも五分釣れないとイライラする」
「あ、あたしもそう~!」
テルルは息があったクロムを嬉しそうに見た。
「そうか……おまえら二人とは釣りに行かないとしよう」
「あーー気が長いレニウムはもしかしてO型でしょ~!?」
テルルの言葉に首を振ったレニウム。
「俺は気が短いB型だ! そんな古代史に載っている迷信はいい。だが、これから起る事はちゃんと見てろ……銀河が変わる瞬間だ」
その言葉に、部屋の全員がハッとレニウムを見た。




