「くるくると廻る恋模様」が生まれるまで(小鳩子鈴)
2017年8月30日。この日投稿された、ひとつの活動報告に載っていた一編の詩――それが全ての始まりでした。
+++++
『ラブレター』 たこす
「好きです」と書いたラブレターは
紙ヒコーキとなって飛んでいく
くるくるくるくると風に舞い
あの子のいる教室へと飛んでいく
僕の想いがたっぷり詰まったラブレター
どんな逆風もはねのけて
あの子の机へと向かってく
面白がってつかみ取ろうとするみんなの手をかいくぐり
紙ヒコーキはあの子のもとへと降り立った
「好きです」と書いたラブレター
君がくれた言葉は「アイラブユー」
+++++
たこす氏が自身の元に届いた「レビュー」「ファンアート」への感謝の気持ちを込めてお礼にと、活動報告に載せた詩。高校生の頃に友人と実践していたと仰る「どれだけ歯の浮くポエムを書けるか」の名残が強く残るこの一編に、私、小鳩は惹きつけられました。
まっすぐな言葉で、まっすぐな思いを、まっすぐに綴った詩。
恋心や、切ない思い。文字にするにはどうしても照れてしまいがちなこれら。
それをこんなに素直に表現されて、好ましく思わないわけがありません。ああ、いいなあ、と感じるとともにふつふつと湧く気持ち。
自分も書いてみたい。
そう思ったら、ぽろぽろと言葉が出てきて自分の活動報告に「おはよう、が言えなくて」を載せていました。たこす氏の詩の余韻が残っていたので、舞台は学校。ちょうど今と同じ夏休み明けの時期……。
思ったよりも控えめになってしまって「歯が浮く」ほどの甘さにはたどり着きませんでした。ですが、これを目にした方々も「書いてみたい」と思ってくださって、私の元には次々と素敵な甘い詩と短文が届きました。しかも、緩やかにお話が繋がっています。
どれもこれも、甘くて、個性的で、魅力的。このまま活動報告の海に流れていってしまうのは、とても勿体無い。何度も読み返したい。いっそまとめて一作品にすれば――私のそんな我が儘に、皆さんがにっこり頷いてくれて、この「くるくると廻る恋模様」が出来上がりました。
作品タイトル、グループペンネームも参加された皆さんからの案を元に決めさせていただきました。
詩は書いたことがない。
書くのはシリアスや戦闘ものが多い。
恋愛小説は苦手。
私は恋愛小説を主にしていますが、参加して下さった方々のバックグラウンドは様々です。そんな書き手が同じテーマで自発的に集まる、というのは、やはりここ「小説家になろう」が、文章を、言葉を綴るのが大好きな人たちが集まっている場だからこそ。
技巧とか、約束事とか、そういうのも必要ですけれど、もっと忘れてはいけない大事なことは“書きたい気持ち”。
今、この時に同じ「なろう」の海で出会ったこと。奇跡のようなこの一時のカケラを閉じ込めた作品集になれたなら、何より嬉しいです。
参加してくださった皆さま、そして読んで下さった皆さまに、心からの感謝を。
……楽しかったですね!
2017/09/02 小鳩子鈴