第十二話 本音
「魔王様です」
「聖女だな」
ジュリアと魔王は、俺の質問に率直に答えた。その返事に俺は絶句する。二人からは、お互いの想いを隠している素振りも、照れ隠しも感じられない。純粋に役職名での関係であるということが、嫌でも伝わってくる。
「……っ……」
俺は思わず頭を抱える。
「アレン様っ!? 何処か痛むのですか!?」
「大丈夫か!?」
ジュリアと魔王が心配する声を上げるが、それどころではない。俺はジュリアを幸せにできることだけを考えてきた。その為に危険を承知で、ジュリアを魔王国へと送り出したのだ。それは魔王と会わせる為である。魔王が唯一、ジュリアを幸せにできる存在だ。その魔王とジュリアが恋に落ちていないとことは、ジュリアが幸せルートに突入していないことになる。大問題だ。
「終わった……」
頭を抱えながら呟く。俺は実際にゲームをプレイしたことがない。他の隠し要素があれば、手段を講じることも可能だがそれはできないのだ。
更に言えば、他の打開策があるならば同僚が熱く語る筈である。それが無かったということは、ジュリアの幸せルートが一つしかないからだ。加えて、物語的にはもう終盤である。ここから二人を恋仲に落とすことは可能だろうか、二人同時が無理なら片想いでも大丈夫だろうか思案を巡らす。
「アレン様、私がついております。どうかそのように嘆く理由をお聞かせください」
「ジュリア……でも、私は君に幸せになってほしい……」
優しく背中を撫でられる。そのことで、少しだけ冷静さを取り戻すが、追い詰められた俺は思わず本音を口にした。
「? 私はアレン様のお傍に居られて幸せですよ?」
「違う……ジュリアが幸せになれるのは、魔王と一緒になることで……」
ジュリアの言葉を嬉しく感じるが、今の俺にその言葉を噛み締めている余裕はない。俺にはこれ以上、妙案が浮かばないのだ。ジュリアを幸せにしたいのにできない。自身の無力から、視界が歪む。
「アレン様」
「……っ!?」
ジュリアの声が少し硬くなると、両頬を包まれて顔を上げさせられる。すると普段と違い険しい表情を浮かべるジュリアと目が合う。




