表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
美形天才王子の長期戦 ~周りから完璧王子と言われるけど、彼女は難攻不落だったので長期戦で行きます~  作者: りなる あい
第二章 合宿の知らぬ間に、物語は加速する

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

8/76

2-1.

今日から第二章です。

魔法学校生活、最初の行事~合宿編~です。

知らぬ間に、恋が加速しちゃいますよ。

魔法学校での生活も半年が過ぎた。

そして今──1年生にとって最大の楽しみ「春の合宿」がやってくる。


今の季節は、どの生徒も浮き足立っている。

学校の合宿は空飛ぶ列車での2泊3日の旅。

魔法が使えない状況でのサバイバル体験だ。


魔力が枯渇して使えなくなったり、呪いで魔法が使えないなどの場合を想定した訓練らしい。

実際は、友達とワイワイするから、最高に楽しい行事なのだけど!


魔力を学び始めたばかりの一年生は、魔法が使えなくてもそこまで不自由さを感じない。

でも、学年が上がり、魔法で何でもこなせるようになると、この合宿が本領を発揮するらしい。


学校が始まって半年以上も経っているが、友人との仲を深めるという目的ももちろんあるみたいだ。

そして、この2泊3日は別名「恋の合宿」とも言われているらしい。

学ぶためなのか、楽しむためなのか、いや、両方か。と1人ツッコミを入れる。


 

当日は一人一人が小さなカバンを腰に下げて登校した。

このカバンは中が広く、何でも入れられる4次元ポケットのようなもの。

荷物は全てその中に入ってしまうから、みんなとても身軽な状態で合宿へ行く。


クラスごとに分かれて電車に乗り込んでいく。

私は2組だから、7組ある中で前方の車両に座り込んだ。

それにしても、空飛ぶ電車は最高に楽しい。

街が一望できる。

上から見ると、この国が豊かなことがわかる。

わたしはこの国が好きだなと改めて思う。

活気が溢れていて、美しい魔力で満ちている、この国が。


みんな賑やかに遊んでいる。

クラスを飛び越えていろんなところへ行って交流を深める人たち、お菓子を食べ始める人、音楽を奏でる人、それぞれが自由に過ごしている。

わたしはクラスメートと話に花を咲かせる。

もちろん恋バナだ。

ティーンの私たちにとって、1番大切な話題である。


「入学してから半年くらい経ったけど、トラネは良い人見つけた?」


と話しかけているのはカリンダ・ディルク。

伯爵家令嬢で雷型の魔法使い。

自然と仲良くなったクラスメートの1人。

カリンダは恋愛体質と自分で言うほど、恋愛へのアンテナがとにかくすごい。

噂を聞きつけるスピードも早い。


「同じクラスのアダム君がかっこいいと思う…」


と小さい声で恥ずかしそうにトラネがカリンダの質問に答える。

その姿を見てはぁ〜可愛いな〜と思う。

恋をしてる女の子って、何でこんなに可愛いんだろ。


「トラネ、あなたは水魔法なのよ。美しさ、魅力がピカイチなの。もっと自分に自信持ってアピールしなさい。アダムとあなた、いいと思うわよ。」


姉御肌炸裂のカリンダ節をかましている。

2人の会話が微笑ましいと眺めていると、カリンダから鋭い目線が飛んでくる。


「マミーナ、あなた、人ごとだと思ってるでしょう。あなたはどうなの?」


鋭く、でも、ニヤニヤしながら聞いてくるカリンダはやっぱり恋愛のことを聴きたくて仕方がないみたい。

確かに他人事で聞いてたわたしへの不意打ちの質問にどうしようかと思って、


「わたしは勉強を頑張ってる」


と無難に回答した。

でも、本当のことを言っている。

わたしは何か浮かれてるわけじゃないし。


「わたしはそう言う答えを求めてるんじゃないの。わかるでしょ?で、どうなの?」


カリンダが不服そうに返してくる。


「わたし、聞いたのよ。一部の人たちに噂されてるのを。マミーナはソランティア様と朝の鍛錬をしているのでしょう?」


カリンダの情報網、恐るべし。

なぜそれを知っている?

誰から?

みんな、よく見てるんだなぁ。

気をつけようと改めて思う。


確かに王子は女子から人気がある。

顔よし、性格良しのイメージがあるからだ。


でも、凍冴の季節から、ちょこちょこ朝の鍛錬を一緒にすることがあった。

その時に、素の王子を見ているからか、そうでもないぞ、みんな騙されるな!と思っている。

確かに頭もよくて丁寧なんだけど……なぜか、いつも一言多く感じる。

上から目線に聞こえるのは、気のせいじゃないと思う。


鍛錬の練習相手になってくれるから、それはいい点だけど。

正直言って、それ以上の存在ではない。


でも、わざわざ王子の素性を明かすのも、照れ隠しみたいに思われるかもしれないし、裏表のある性格はいつかばれてしまうから、そのままでいっか…頭の中で思考した。

ここは無難に答えておこう。


すぐに答えなかったわたしを不思議に思ったのか、カリンダがあれ?もしかして?とだんだんニヤニヤしていく。


「たまたま朝の時間に会ったから、一緒に鍛錬したことがあるだけだよ。しかも、わたしの聖獣のシソがソランティア様の聖獣と幼馴染?みたいな関係らしくて」

「あら!聖獣が幼なじみどうしなの?不思議ね〜そんなこと聞いたことないわ」

「わたしも全然知らなくてさ。初めて鍛錬をしたときに、2体が急にバトルを初めて驚いたんだよね。でも、かと思うと決着がついたら一緒に休んでるし、よくわからなくて。」

「あら〜2体とも、よっぽど仲がいいのね。将来は番になったりしてね」


聖獣は番を見つける。

番になると互いに守り、守られる関係になる。

そして、それは聖獣の主人にもその関係性が引き継がれる。

女性同士、男性同士、男女など組み合わせはそれぞれ。

聖獣の番によって、その主人の仕事や方向性が決まることは往々にしてある。


「聖獣は波動の高い生き物でしょう。しかも、前世も見えるとも言うし。あなたとソランティア様の聖獣も、実はソウルメイトだったりするのかしら!」


カリンダが興奮しながら、どんどん話を進めていく。

カリンダは人だけでなく、聖獣の恋も気になるなんて!

すごいわ…と1人感心する。


「わたしにはそう言う話がないから、カリンダの話を聞かせてよ」


待ってましたとばかりに、カリンダは自分のことを話し始める。


「やっぱりソランティア様はピカイチよね。あの美貌と人となり、魔法の才能、そして第二王子。どれをとっても素晴らしいと思わない?わたしは一応、上位貴族でしょ。だから、その王子の横に立つことを夢見てしまうわ。しかも、どの女性にも優しい方だから、みんな好きになってしまうわよね。」


つらつらと王子のことを述べていくカリンダを見てすごいなと尊敬する。

そんなふうに人を観察してるんだなと、他の人の視点と比べて、わたしは全然何も考えてなかったなと気づいた。


「ソランティア様は高嶺の花ですけれど、護衛のグリンディーン・ティバン様も素敵よ。ソランティア様の幼なじみで、護衛をしている方よ。ソランティア様の周りには素敵男子が溢れているわ〜目の保養よね。」


王子だけでなく、周りにも目を向けているあたり、やっぱりさすがである。


すると、コンコンと列車の個室のドアをノックする音が聞こえてきた。

そういえば、確かになんだか電車内がだんだん騒がしくなってきたみたいだ。

何と扉を開けたのは、今まさに話をしていたソランティア様の護衛のグリンディーンだった。


「令嬢たち、お話に花を咲かせているところ、急に割り込んですまない。実は、この列車にイタズラ好きな魔物イッキーの群れが襲撃にきているんだ。」


「え?そうなの?」


そんなことがあるんだ…!と驚いた。


「先生方は良い体験になるだろうと対処は全て生徒に任せる方向で、手を貸さないとのことだ。これから不思議なことが起こるかもしれないが、それはイッキーの仕業であることが多いだろう。何かあれば一緒に対処しよう。もし困ったことがあれば遠慮なく言ってくれ。」


カリンダはキラキラした目でグリンディーン様を見つめて、頷いて聞いている。

そういうわかりやすい所が可愛いなと思ってしまう。


「わかりました。気を付けますわ。ところでグリンディーン様、ちょっといいかしら?」


そう言ってカリンダはグリンディーンの首元に手を回す。


みんながえ?っと固まってその様子を見守る。

すると、耳元でチュッと音をたてて、ウフフと笑ってペロっと舌を出した。

カリンダが普段は絶対しないような、驚きのいたずらだった。


あまりに突然の行動にその場のみんなが唖然となる。


いつも余裕のあるグリンディーンも驚いた顔でカリンダを見つめている。

みんながあまりに驚いて身動きが取れないでいると、王子が後ろから急いで入ってきた。


「グリンディーン、カリンダ嬢はイタズラ好きの魔物イッキーの影響を受けているみたいだ。同じことをカリンダ嬢にしてみてくれるか?」


この人は何を言っているの?

と次は王子に対して、みんながポカーン顔になっている。

カリンダはキラキラした笑顔を向けている。

電車の窓から陽春のあたたかな光が差し込み、照らされたカリンダは、女性のわたしから見ても本当に美しく映っていた。


グリンディーンはドギマギしながらも、「わかりました。」と一言言ってカリンダの首に手を回して耳元で優しくチュッと音を立てた。


するとカリンダは真っ赤な顔を手で覆って、床に崩れ落ちた。


「これは全てイッキーの仕業です!わたし、意思に反して体が勝手に動いてしまって…」


カリンダが一生懸命説明している。

さっきはドギマギしていたグリンディーンも、今は正常モードに戻ってカリンダ嬢の前に手を差し伸べる。


「イッキーの仕業だとわかっていますよ。こんな美しい女性に、イッキーからの粋なプレゼントをいただきました」

 

そう言って優しく伝えるグリンディーンに対して、カリンダも恥ずかしながら手を取り立ち上がった。

まるで舞踏会のワンシーンのように、美しくて不思議な空気が流れていた。

カリンダの頬の赤さが、陽春の光に照らされて、どこか本物の恋のように見えた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ