5. 両想い後編 新しい命の誕生と恋の加速②
上から大自然を見ていたら、とても美しい湖を見つけた。
そこへ行ってみようとなり、ドラゴンが湖のそばに降り立つ。
先にドラゴンからさっと降りると、私が降りるのを手伝ってくれる。
でも、まるで抱っこされるような降り方になり、自分が子どもになった気分だった。
もともと周遊だけする予定だったから、何も持ってきていないわたしたち。
次はピクニックの準備をしてこようと心の中で思った。
わたしと王子は木陰に並んで座り、美しい湖を眺める。
第一王子の生誕祭以来会えていなかったから、何か話すでもなく、ただ座って一緒に過ごせる時間が愛しいと思った。
このようなのどかな時間がずっと続いたらいいのにと思う。
「最近、ソランティア様は忙しそうにしてるね」
「生誕祭が終わったと思ったら、次は公爵になるための手続きがあってね。やることがいっぱいなんだ」
「王族でいることも大変だし、王族から抜けるのも大変なんだね」
わたしは思ったことを伝えた。
「王族はとにかく制約が多い。しかも、自分の知らないところで派閥が作られて、内部対立するなんておかしな話だ。僕は、公爵になるという選択をして良かったと思ってる。」
「派閥とか内部対立の可能性があったんだ…知らなかった。」
王子は遠くを見つめていたが、ゴクっと唾を飲み込むと、私に体を向けて微笑みながら聞いてきた。
「あと、もう一つ気がかりなことがあるんだけどさ……僕はまだ、君からの返事をもらっていないんだ。」
「返事?なんのこと?」
「僕のプロポーズの返事だよ」
「え?あ、そっか…わたし返事になってなかったのか…?」
「僕のことを好きだとは言ってくれたけど、それは君からの返事として受け取って良いのかな?」
王子は真剣な顔で首を傾げて、わたしを見つめてくる。
「ちょっと待って、そもそも、ソランティア様が伝えてくれた言葉がわたしにとっては不思議だったの。だって、あなたの隣に立つという権利をいただけますか?でしょ?」
「あ、覚えててくれたんだ。」
王子はふっと子どものような、ほわっとした笑顔を見せる。
「うん、覚えてる。だって、それは私にとって信じがたい言葉だったから。それはこっちのセリフというか、一般市民の私が王子の横に立つ資格あるのかな?と思っちゃったから。」
私がそういうと、王子は微笑みながらはぁーと息を吐いて顔を下に向けた。
「マミーナは全然わかってないな…」
言葉とは裏腹に王子が優しく見つめてくるから、わたしは恥ずかしくなった。
「君がうんと言ってくれれば、そのために何だってする覚悟だよ。君に相応しい男になれるように、僕はずっと努力もしてきてたし。勉強も魔法も王族から抜けたのも全部。」
「え…」
優しい眼差しだけど、王子の言葉には真剣さも込もっていた。
いつも何を考えてるかわからない発言が多かったのに、今はストレートに伝えてくれて、わたしは戸惑った。
「そろそろ、僕の気持ちを受け取ってくれないかな?」
王子は、一切の不安がなく、私たちの未来を見つめている感じがした。
「わたしはソランティア様の想いを、そして、プロポーズをお受けします」
わたしはキッパリと伝えた。
王子の気持ちに応えたいと思った。
だんだん顔が赤くなっていくのを感じるけれど、ここは目をそらしちゃダメだと、王子を見続ける。
ふぅーっと王子は一呼吸おくと、わたしをふわりと抱きしめた。
「ありがとう、マミーナ。もう君のことは離さないよ」
王子のあふれる想いが言葉、行動、仕草から伝わってくる。
なんて最高の瞬間なんだろう。
わたしの胸は幸せで高鳴っている。




