1-3.
初日は3話投稿の予定でしたが、
王子の登場回なので、4話まで出すことにしました。
お昼休憩、学食までの道がいつもと違って見える。
自分の魔法型がわかり、龍とも仲良くなれたから、心が弾んでいる。
世界が違って見えるって、こういう感じなのか〜と1人でニヤニヤしながら学食へ入ろうとしたら、
曲がった瞬間にドンっと誰かにぶつかってしまった。
とっさにパッと離れるけれど、相手の左手が私の肩にそっと添えられた。
前を見ると、ぶつかった相手の飲み物がコップからこぼれて床に飛び散っていることに気づく。
「ごめんなさい。」
「僕の方こそぶつからないよう気を配るべきだったのに、すまない。」
私のスカートを見て申し訳なさそうにしている。
目をやると、飲み物がかかってシミになっている。
「私はソランティア・フォン・サーラーン。グリンディーン、休憩所へ行って、こちらの令嬢のスカートのシミを魔法で取ってくれないか?」
サーラーンと聞いてパッと顔を見てしまった。
ソランティア様って、この王国の第二王子?!
よりによって王子様って……
私、初日からやらかしすぎでしょ!
王子にぶつかってしまって私の思考が停止してしまった。
第2王子と同じ学年と聞いていたが、会うことも、ましてや話すこともないと思っていたのに…
「わかりました。では、休憩所へすぐに向かいましょう。ソランティア様も、そちらで昼食をお召し上がりください」
グリンディーンに休憩所はこちらですと案内されるまま、ソランティア様、私が続いて歩く。
周りの視線がこちらに集まりいたたまれなくなる。
「あの方、どうしてソランティア様と一緒に歩いているの?」
「あの方とソランティア様は知り合いなの?」
四方八方から聞こえる声で、ますます凄い人にぶつかってしまったと自覚する。
「あら、ぶつかって飲み物が衣服に付いているわ。たまたまぶつかっただけなのね。」
令嬢たちの好奇な目から、状況の分析まで全て聞こえてくる。
休憩室へ入ると、シンプルな、でも上質とわかる家具が置かれていた。
王族や一部の貴族の人たちは、学生食堂で食べないのかな?と疑問に思った。
緊張している私は、魔法でシミを綺麗にしてもらったら、すぐに部屋を出ようと心の中で決めた。
一般市民の私が入っちゃ行けない場所だ…
「こちらに座ってくれるかな?」
と穏やかに話してくれる王子。
向かい側のソファに腰掛けるだけで、なんでこんなに様になるのか…
そもそも、13歳なのになんでこんなに落ち着いているのか…
同い年に見えない上品な雰囲気を感じる。
「グリンディーン、シミの場所を見てくれるかな?」
と護衛の生徒に声をかけてから、私にも優しく声をかける。
「ごめんね、男性の護衛が女性である君に近づいてしまって。」
「いえいえ、とんでもございません。むしろ心遣いに感謝しています。」
緊張しながらも顔を上げて王子の目を見て話した。
白に近い金髪に、切れ長の赤い目。
でも微笑むと、どこかタレ目になって──
鋭さは感じなかった。
赤い目って、不思議だな。
私の黒髪と茶色の瞳が珍しかったのだろうか?
王子は一瞬、目を見開いて──
でもすぐに、いつもの穏やかな笑みに戻った。
「グリンディーン、私の服のシミの箇所も教えてくれるか?」
思いっきりぶつかったから、横や後ろなど飲み物が思わぬ方向まで飛んでいたみたいだ。
護衛がシミの箇所を伝えると「そうか、助かる」といって、自分で魔法をかけ始めた。
え、まだそんな魔法習ってないのに何でできるの?と驚いて固まっていると、
「ああ、この魔法ね。この魔法は結構簡単にできるんだよ。食堂ですぐにシミを抜くこともできたんだけど、護衛の男性が君に近づいて服を確認したり、魔法を使うのはよろしくないと思ってね。」
と爽やかにサラッと答えてくれた。
王族の人ってなんでこんなにスマートなんだろ。
「ところで、あなたの名をお聞きしても?」
「申し訳ありません。私、名のり忘れていましたね。私はマミーナ・フェルと申します。」
「これも何かの縁だ。マミーナと呼んでも良いだろうか?」
「はい、もちろんです。」
名前呼びをされるなんて、恐れ多すぎる。でも、断れるはずもない。
「ソランティア様、そろそろお昼をお召し上がりになりませんと、お時間がなくなってしまいますよ」
「ほんとだな。マミーナ、時間をとらせてしまってすまなかった。昼食へ向かう途中だったのだろう?今から行っても間に合うだろう。」
「こちらこそ、ご丁寧に魔法で綺麗にしてくださり、ありがとうございます。それでは、私は行きますね。」
本日もお読みくださり、ありがとうございます。
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