4-6.
わたしはまるで夢から覚めたような、現実へ引き戻されたような不思議な気持ちだった。
どちらも現実に変わりないのに…
あ!そうだ!同じ服の人を探せばいいんだ!
よし、魔法を使おう!
探知魔法を使ったから、白い服の人を目視より早く見つけられるはず。
そう思っていたのに、白いタキシードに金色の刺繍でポケットに黒いハンカチを差している人は見当たらなかった。
この学校の生徒って言ってたのに…
あれ?そういえば言ってたっけ?
てっきり同じ学校の生徒だと思ってたけど違うかも…
でも、また会えるから大丈夫って言ってたな、そういえば…
潜在意識で会いたい人が、あの少年だったりして…
そんなわけないか、見つけられないからこの学校の生徒じゃないかもしれないし。
そのあとは男性からダンスに誘われて2曲一緒に踊った。
でも、心が落ち着かなくて、1人になりたかった。
ベランダに出て夜風に頬を当てる。
そういえば、ソランティア王子が歌ってた歌を誰かわからないようペンネームにして公開したところ、街中で有名になったらしい。
私も時々聞いてた。自然と口ずさみたくなったのは
~~~~~
あの日 恋に落ちること
誰が想像していただろう
君の瞳に映し出された僕自身は
時が止まってしまったかのように見えた
恋に落ちる音をきいた気がした
ああ これが恋に落ちた瞬間だ
~~~~~
このドキドキの行く先がなくて、苦しくなる。
この歌の歌詞がやっと理解できたというか、心から聞けたと思う。
あの相手は誰かわからない。
でも会えるから大丈夫らしい。
こんな不確かな、でも確かに恋をしてしまったわたしはどうしたらいいんだろう…
わたしがベランダでぼんやり夜風に当たっていると、ふいに背後から静かな声がした。
「独り占めするのはもったいないよ、その歌声。」
振り向くと、仮面をつけたままの彼が立っていた。
魔法が解けたはずなのに、目の色、髪の毛の色、声もそのままだった。
さっき、探知魔法で探しても見つからなかったのに…
「どうしてここに?」
わたしは思わず声を震わせた。
「君がここにいる気がしたから。音楽と一緒に君の想いが風に乗って、僕のところまで届いたんだ。」
彼の声は、あのダンスの時の優しさと同じで、でも今はさらに深みがあった。
「私、なんだか混乱してる。誰か分からないのに、なぜか胸がいっぱいで。」
彼はゆっくり近づき、そっと手を差し出した。
「名前はまだ言えないけど、君が探しているその人に、もう少しだけ近づけるように。」
迷いながらも、わたしはその手を取った。
「もう少しだけ、時間をくれる?」
時間をくれるってどういうこと…?
今は明かせない理由があるのかな…
頭の中が疑問だらけになっていた時、ふいに、ベランダで聞きなれた声がした。
ぱっと声の方に振り向くと同時に、目の前の彼は
「またね」
と、耳元でささやき転移魔法で姿を消してしまった。
第四章は次がラストのエピソードです。




