1-2.
入学して1週間。
だんだん貴族制度がなくなってきているとはいえ、やはりまだ一般市民と貴族の差は大きいと肌で実感する。クラスは貴族と市民が半々くらい。
でも友達のグループは貴族同士、市民同士になっているところが多いと感じた。
今日から魔法の訓練が始まる。
今回は学年全体で集まって魔法についての一斉講義があり、その後に魔法の性能検査がある。
どうやって自分の魔法型が決まるのか、ワクワクしてる。
講義が始まると、それぞれの魔法型の特性が説明された。
この世界の魔法型は、全部で6つある。
【主要型4種】
赤龍:火を司る。攻撃魔法が得意で、魔力量が多い者が多い。
青龍:水を司る。美と優雅さの象徴で、芸術系の魔法に優れる。
緑龍:大地を司る。自然との親和性が高く、農業や癒しに役立つ。
黄龍:雷を司る。スピードと攻撃力に特化した魔法型。
【特殊型】
黒龍:人の精神に干渉する魔法を持つ。危険視されることもあるが、防御力が高く除霊や浄化に長ける。
白龍:治癒や回復を得意とする、癒しの魔法型。
「みなに一つ、大切にしてほしいことがある。それは、すべての魔法型を尊重することだ。黒魔法は社会ではあまり良いイメージがないかもしれない。しかし、学園の中では黒魔法も魔法型の一つ、個性の一つとしてとらえるのじゃ。生徒の諸君、頼んだぞ。」
と、校長先生からのお話があった。
わたしの住んでいるところは、田舎の辺鄙なところ。
黒魔法が社会であまり良いイメージがないということを感じたことが、正直言ってこれまであまりなかった。
学園内では、各魔法型を尊重しているから、安心して学べるこの学校を選んでよかったと思った。
各魔法型の説明が終わったところで、これからいよいよ特性検査だ。
校長先生が水晶をもって全生徒の前に現れる。
「これからみんなの魔法型が決まる。君たちは席についているだけでいい。
適性がある者の上に龍が舞う。」
生徒たちが期待の目で校長先生を見ている。
みんな自分の魔法型が気になって仕方ないのだ。
「まず初めに火型。赤い龍が適性のある者のところへいく。」
すると、水晶から流れるように赤い龍がどんどん飛び出してくる。
するすると波打つように生徒のところまで飛んでゆき、適性のある者の上でゆっくりと舞っているのが見える。
部屋の中がざわめきだす。
(なるほど、火型の人は約20%くらいか。火型は攻撃特化型か。悪くはないけど…わたしには来なかったみたい。)
と心の中でつぶやく。
すると横から
「よかった。火型じゃなかった。私、攻撃するの好きじゃないし平和にいたいから…」
と話し始めるクラスメートのトラネ・マリトット。
彼女はザ・美女なタイプだ。
「次は水型だね。水型の人はやっぱりモデルの道へ進む人が多いのかな〜?」
わたしは素朴な疑問をなげかける。
「モデルもそうだけど、浄化も得意だから浄化師になる人も多いって聞くよ」
「そうなんだね〜モデルは表に立つ仕事だし、浄化師は裏で人を支える仕事だし、それぞれ全然違うよね。」
「あ!みて!青龍がこっちに来てる!」
青龍がトラネへ向かってきたかと思うと、彼女の上でくるくる踊っている。
自分の上に龍が舞うのってどんな感じなのかな?
トラネは笑顔で言った。
「え!うそ…私は水型…?嬉しいっ」
「よかったじゃん!水型さん、期待してますよ」
「えへへ。期待してて」
トラネの頬はピンク色に染まり、嬉しそうな姿が可愛らしかった。
青龍が舞っている人たちは、どこか華がある。
美人、イケメン揃いで、見ているだけでうっとりしてしまう。
クラスメートとこんなに話したのは初めてだ。
トラネと隣になれてよかった。また話せたら嬉しいな。
次は緑龍。水晶から飛び出す緑龍は穏やかにゆっくりと適性の人のところへ飛んでいく。
魔法型によって、龍の性格も違うのかな?
騎士団を希望する私は、ぜひとも攻撃特化型がいい。
でも黄龍は──違う生徒のところへ飛んでいってしまった。
ということは、私は主要型4種ではなく、特殊型ってことか。
黒龍は黒魔法。人を操るのが得意という変わった魔法型。
悪の道へ使われないように、黒魔法になった人は特殊な訓練を受けるらしい。
私、髪も目も黒いから、もしかして黒龍なんじゃ…
一体の黒龍が私の目を見据えてするすると登ってくる。目が離せない…
その黒龍の目は──赤かった。
青い目の龍ばかりの中で、ただ一体だけが紅の光を宿している。
まるで、何かを“見通す”ように。
わたしと目が合った瞬間、その瞳に吸い込まれるような不思議な感覚を覚えた。
自分の龍が舞い降りる時って、こんなにも心惹かれるものなのね。
わたしと目が合った黒龍は、私のもとへやって来た後、私の上でゆったりと舞っていた。
学年全体を見渡すと、黒龍は数えるほどしかいなかった。
さすが特殊型だ。
社会ではあまり良いイメージがないという黒魔法だったことに、わたしは残念な気持ちにならなかった。
むしろ、貴重な特殊型になれてラッキーと思った。我ながら単純だと思う。
残るは白龍。
自分の頭の上が空席の生徒は残りわずかとなっていた。
白龍は儚げで可憐な印象。最後の生徒の元へ舞い降りた。
「諸君、これで君たちの適性型がわかった。適性別授業では、それぞれの適性に分かれて行う。楽しみにしておれ。では、今の授業はこれで終わりだ。各自、お昼休憩とする。」
「あ、そうそう。君たちに舞い降りた龍に名前を聞くが良い。信頼関係はそこからじゃ。」
各自お昼休憩になったから、学食へ向かう。
でも、その前に龍に名前を聞くことにした。
(あなたの名前を教えてください。)
と心の中で伝えると
「あら、早速テレパシーで話してくれるのですね!嬉しいです。私は黒龍のシソと言います。あなたはマミーナ様ですね。」
「シソ、これからよろしくね。って、え?私の名前もう知ってるのね。」
「はい、私は水晶の中にいる時から、マミーナ様のところへ行きたくてそわそわしていたので。マミーナ様、これからよろしくお願い致しますね。」
なんでいい子なの…!私の黒龍ちゃん、最高すぎるでしょ!これからはずっと一緒。新しい女の子の友達ができたみたいで嬉しいな。
ここまでお読みいただきありがとうございます。
明日より1話ずつ投稿予定です。




