2-10.
グループ1の発表のあとの休憩時間は、みんなはグループ1の演出の話しで持ちきりだ。「誰が見えた?」
「どんな顔だった!?」
と、あちこちで興奮した声が飛び交っている。
話題性でもかなりの高得点の演出になっただろうなと思う。
私も…クラスの友達に報告したい!と思って探していると、ちょうどグループ1のメンバーがこちらにやってくる。
グループ1にはトラネもいるから丁度いい。
ゼロが「マミーナ!」と手を振ってくるので、私も反射的に振り返す。
実はゼロも女子からかなり人気があるらしいということをカリンダから聞いている。
(ゼロって、実は女子人気も高いらしい。イケメンでフレンドリーだし、そりゃそうだよね)
ゼロが笑顔で私の肩に手を置き、楽しそうに話し出す。
「すごかっただろ? あのパフォーマンス! 話題性もバッチリだし!」
「うん、ユニークだった!盛り上がってたし」
すぐ横に王子がいるし、わたしは彼からキスされる幻想が見えて、そのことを王子が知ってるから…
とっても気まずいんだけど…と思いながら話を続ける。
「だろ!これ、ソランティアのアイデアなんだせ。
この合宿は別名、恋合宿とも言うだろ?
『このパフォーマンスで恋合宿を加速させよう!』とか言ってさ」
(……恋を加速? あの演出で? キスを見せる演出で?)
もう心臓が変な音立ててる。
私の“幻想”に出てきたのは、よりによって、その発案者──ソランティア王子だったから。
と、そこに当の本人が静かに言う。
「ちょっといいかな?」
(う……きた!絶対、知ってる顔だ。あのキス幻想のこと)
平常心、平常心……と自分に言い聞かせて、王子と少し離れた場所へ。
少し離れたところで王子は話し始める。
「僕が考えたあのパフォーマンス、君の魔法が鍵になってたんだよ」
「……わたしの魔法?」
「うん。君のグループが先に発表してたでしょ? 黒魔法“自分に戻る”の影響で、観客の心が正直になってた。だからこそ、あの幻想の演出が際立った」
(うそ……そんな偶然ある? 私たちの魔法が使われてたなんて)
「わたしの魔法陣を見越してたってこと?」
「いや、これは直感。黒魔法は自分と向き合う、心に問う魔法陣が多いから、正直、どの魔法陣だったとしても僕たちに有利に働くと思ってね。」
私たちのパフォーマンスが見事に活用されていたなんて…
王子は黒魔法についても詳しいみたいだ。
そして、不意に──
核心を突く一言。
「あと、もう一つ、君は僕に好意を持ってるの?君の思念が届いたからさ」
!!!
突然の質問に、心臓が止まりそうになる。
(え、え、え、何言ってんの!? 好意? それを本人に聞くの?)
「だってほら、私達昨日から色々あったじゃん?イッキーのイタズラで手が離れなくなって、一緒に戦って、その後にアドバイスももらってさ…
ソランティア様との出来事が、この合宿で凝縮されているというか、記憶が濃いというか…」
自分で言いながら恥ずかしくなる。
まるで好意を認めたくなくて一生懸命言い訳してるみたいだし…
でも好意とかそう言うのじゃなくて!友達としてだから!と自分の心の中が騒がしい。
「そうだね。僕との出来事が、”濃い”記憶になってたんだね」
“濃い”を強調して言ってくるのが、またムカつく!
「そういえば、ソランティア様は幻想が見えないの?」
「僕は魔法をかける側だから、見えないんだよ。……知りたかった?」
(近っ! 顔が近い! なんでちょっとかがんで聞いてくるの!?)
気づけば、距離がぐっと縮まっていた。しかも、王子の身長……また伸びた?
目線が合うたびに、妙に意識しちゃって、ホントいやだ。
「ソランティア様からの思いが、ある女子に届いたとしたら、大変だろうね!だって、ソランティア様はモテモテだから。そんな人から思われちゃいました!って浮かれちゃうんじゃないかな。……まあ、わたしは興味ないけど」
最後は、ピシャリと言っておいた。
「そうだよね。僕も“濃い”思い出だったみたいだけど、全然気にしてないよ」
(また“濃い”って言ったー! この煽り王子め!!)
会話が終わり、歩き出した時に「パチン」と音がして、虹色ベールが解除された。
(あれ? 今、隠されてた? ……え?)
つまり、私と王子のこのやりとり──誰にも見られてなかったということか。
(なんだか安心したような、でも、ちょっとだけ……)
……なんでわざわざ隠すのかな、この人。
よくわかんないな、ほんとに。
このシーン、書くのが楽しかったです!




