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冒険者教育論  作者: ゆきつき
3章受験応援キャンペーン
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28.荒らし

 俺が向かっている場所は、工事現場。というセット。

 ここはただのビル群じゃなくて、上下左右、至る所に障害が設置されているエリア。

 ここでの戦いは、つまりまあ、死角とかをうまく利用して、相手を陥れるような戦い方が基本となる。


 けど、一度姿を確認されると、もう一度隠れるってのは至難の業。そしてどういう訳なのか、お見合い状態の受験生、7人がいた。男子5の女子2。弱い者いじめかな?そしていた、ってのは語弊があって、いるからここに来た、荒らしに来た訳だ。


「……」

「試験官が…」

「高ポイントがやってきた」


 えー。受験生が俺を見た感想は、見事に二つに分かれた。試験官なんか来るなよ、みたいな、とりあえず嫌がっているパターン。うひょ、鴨が葱を背負ってやってきたぞおい、ってな感じで、喜んでいるパターン。

 まあ嫌がっている人が5人で、喜んでるのが2人。二つに分かれたとは言ったけど、綺麗に分かれたわけじゃない。


「……」


 そしてここにいるヒト全員、思っている事だろう。え、この試験官、なにしにきたの?と。

 だってやって来たは良いものの、一切動かないのだから。挑発だけして、一切動こうとしないのだから。


 えー、だって、わたくしたちは、攻撃をされない限り攻撃するなと言う条件が課せられておりましてですね。どれだけ暴れたくとも、暴れる事は禁じられておりましてですね。えー、だから挑発だけしかできないのです。


「これは」

「チャンス」


 えー、まあ、相手の実力をしっかりと把握できるような人であれば、この場は逃げ出す事だろう。いくら俺の的が一つ50ポイントだとしても、それにつり合わないレベルのデメリットがあるというか、実力差があるはずだから。いやないかもしれないけど、俺と同じぐらいの実力があるのなら、俺と互角の戦いをするより、地道に受験生を狩る方が恐らく効率が良いし。

 だからまあ、正直言って、俺とリヒトの的って、狙うだけ損、みたいなところがある。


 まあ入学後に聞いた話だけど、黒を一つでも当てれたら、筆記とかに関わらず合格になるとかなんとか。まあ受験生は知らないから、関係ない話。



 っと。どうやって息を合わせたのか知らんけど、そこにる7人が同時に俺の元へ駆けて来た。

 ……、わかりやすい、ハイエナ野郎がいる事は、目を瞑りましょう。


「……」


 しっかりと俺を狙って攻撃してきた人は、それっぽく対処させてもらう。的にボールを当てたりしない。受験生の可能性を、試験官が摘む訳にはいかないから、基本的には攻撃しちゃダメだって、あれ前にも言ったっけか。


「ふーん。あんたは不意打ちは見逃すんだ」

「……?」


 ジェスチャーで、んな事知らね、みたいなポーズをとる。さっきの戦いでべらべら喋っておいてなんだけど、一応俺は喋るなと言われている。まあこんぐらいの事なら喋ってもいい気がするんだけど、一応ルールは守る事にする。


 で、今喋ってる奴は、皆が俺に攻撃してくる隙をついて、受験生の背後のポイントを頂いた、まさしくハイエナ野郎、って感じ。

 俺がとやかく言う資格はない。なんたって、こういうのも込みで、荒らしに来た、訳だから。

 それに、他人の作戦をとやかく言えるほど、俺ってば偉い立場じゃないしね。


「それとも、おいらが不意打ちするところ、見えてなかった?」

「……?」


 さっきと同じく、んな事知らね、みたいなポーズをとる。

 まあでも正直言って、不意打ちするところなんて、くっきりはっきりと見えてたし、その上で見逃してるんだけどさ。なんか煽られてる気分がして、ちょっと腹立つ。


「ほら、もう一回攻撃するぞ。おいらたちなら、あの試験官を倒す事ができるかもしれない。なんたって、おいらの不意打ちすら見えていないような、雑魚な試験官なんだからさ。フヒヒ」


 いやぁ。あそこまで本性丸出し、作戦駄々洩れって、逆に難しいんじゃないの?

 だって、ねえ?さっき不意打ちを仕掛けた野郎が、もう一回攻撃を仕掛けるぞ、って。どの口が言ってんだよ、って話じゃん。どう考えても背後を取って、不意打ちを仕掛けるつもりじゃん、って。

 そして試験官を煽るのはよくありません。よくあるじゃん?スポーツとかでも審判に楯突いたら退場させられるってやつ。まあ俺にそんな権限は無いけど、別にいざとなれば俺はここにいる受験生全員を失格にさせる事だって簡単だからね。


「そんな事言って、どうせ不意打ちを仕掛けるんでしょ!」


 さっき不意打ちを喰らった、少し背の低い女子。まあ吠えたくなる気持ちもわかる。わかるけど、そういう不意打ちだなんだがあるからこその、こういうルールなんだけど。


「なんだなんだ?おいらは試験官を狙っていたさ。でも運悪くおいらの攻撃は試験官には当たらずに、たまたま、あんたに当たったまでの事さ」

「なんですって!さっき自分で、不意打ちを見逃したのかとか言ってたじゃない!」


 うわぁ。こんな正論パンチ繰り出されたら、俺なんてはいすみません、って言っちゃいそうだよ。ってか女子にあれこれ強く言われるのすら苦手なのに。

 まあ強いていうのであれば、俺は不意打ちなんてしなくてもポイントはもぎ取れるから、こういう口論になる事は絶対にない。……、リヒトとかフォーセさん相手だと、不意打ちを使うかも。


「いやぁ、あれは言葉の綾ってやつだろ?結果的に不意打ちみたいな攻撃になったから、そういったまでさ」

「ああそう!でも間違いで攻撃したって言うんだったら、私にも同じポイントを頂戴よ!それが礼儀ってもんでしょ!」


 ……。いやぁ。荒らしに来た俺が言うのもなんだけどさ。帰って良い?


 うんまあ、あの男の言ってる事が嘘で塗り固められてるのは、まあ明らかなんだけどね。女の子の言ってる事も大概間違ってる訳よ。

 ここは基本的にはなんでもありの、戦場。いくら間違って攻撃した、とか言ったって、そもそもは全員が敵な訳で。今は例外的に敵の敵は味方状態になったのかもしれないけど、それでも敵である事は変わりない訳で。

 だからまあ、正直この戦場をうまく利用してるのは、あの男子の方であって。戦場ってのをちゃんと理解できてないのが、この女子であって。


 まあつまり何が言いたいのかと言えば。帰って良い?

 因みに、他5名、この2人の口論のせいで動けなくなってる。今下手にポイントの奪い合いをしたら、なんか自分にも言葉っていう刃が飛んできかねないから、動けなくなってる。可哀想に。


「……」


 いやぁ。俺には試験官って言う仕事があるからね。こんな場所で足止めされる訳にはいかないのですよ。じゃ、さらば!



___________




 口論は、15分ちょっと続いたとかなんとか。

 残り時間、60分。

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