7.そして次の冒険へ・・・の前に前期試験という敵が!
ボスっぽい奴逃げたし。
生命のペンダントってキーワード、いきなり出たけどなんだこれ?
村に戻ると、(GMの都合で記憶を刷新された)村長は大喜びで娘を迎え、冒険者たちに二千五百枚もの銀貨を差し出した。お土産にされたダークエルフは(当然のことながら)箱の中で息絶えていたが。
「ところで娘さんが着けていたペンダントですが」
空っとぼけた様子でキートンが訊いた。
「あれはなにか特別なものですか?」
「いいえ。このあいだ祭の露天で買った安物ですよ。
あれがどうかしたのですか?」
村長の表情には僅かな戸惑いがあるだけだ。娘のペンダントが無くなったことにも気づいていない。
「なにやらローブを着た親玉らしき男が、『生命のペンダント』がどうのと言っておったが……?
まあ、いいか」
いいのか?
とにもかくにも、今回の冒険は無事終わったのだ。――五人の冒険者たちに謎を残したまま。
謎のローブの男はいったい何者なのか? とんでもない大ボスか、それともただの大ボケか。
『生命のペンダント』とは? 重大な宝か、はたまたただのスカなのか?
それよりもまず、この続きはプレイされるのか!
謎が謎を呼ぶ第一回シナリオ。
これにて、完。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「やー、終わりましたねー」
GMが大きく伸びをした。
「あー、終わった終わった」
「で、結局あのペンダントって何だったん?」
「あれぇ? あは、あははははは」
M氏の問いに、GMは朗らかに……虚ろに笑った。
「実はやっぱりただのおもちゃとか」
「何も考えてなかったりして(冷汗)」
これは俺。
「でも面白かったね」
「いやぁそう言って頂けるとぼくも嬉しいですよ」
GMは嬉しそうな顔をした。その横からA嬢が
「次いつやるのぉ?」
「どきぃっ」
プレイ中だけでなく、終わってからもGMにプレッシャーを掛けまくる。
「そういえば今回出てきた魔晶石って、使い切ったらどうなるの?」
キャラクターシートを検めながらA嬢が質問する。洞窟の中で見つけた物品のことだ。
魔晶石は一見水晶にも似た石で、古代カストゥール王国で通貨として使用されていたと言われ、フォーセリア各地において高頻度で見つかる。内部に魔力の光を宿しているためすぐそれと知れる。内部に秘めた魔力を引き出せば、己の精神力を使わずとも魔法を唱えることができるのだ。魔法の種類を問わずマジックユーザーなら幾つでも欲しいところだ。
「使い切ったら砕けちゃうんだ。使い捨てだね、つまり」
「じゃあじゃあ、売るとしたらどのくらいになるの?」
「売るって……値がつけられないよ」
当時はまだプレイガイドがなかったからね。後年、流通価格が設定された。
「魔法使い(マジックユーザー)だったら喉から手が出るほど欲しいし、そうでなかったらただの綺麗な石だし。でも売るより使ったほうが得だなぁ」
「ふぅん。エアなら使っても一晩寝れば元通りなのにねー」
「うーん、そうだね」
A嬢とM氏が肯き合う。
「こら、俺は魔晶石じゃねーぞ」
「戦ってくれるしねー。あは、エアって戦う魔晶石」
「おい……」
自分のプレイヤーキャラクターに妙な綽名をつけられ、俺はその時ふいに不安を覚えた。
もしや。俺ってばこのまま嵌まってしまうのでは。
愕然とする俺をそのままに、K氏が言った。
「次のセッション、いつにしましょう」
嵌まっちゃいけない。俺はまっとーに生きるんだ! 試験は近いぞ!
「先輩、明日空いてますか?」
俺は……っ
そして。
俺は今こんなことを書いているわけである。
前期試験?
ふっ……
もうなんとでも言って。 〈Fin.〉
こんな原稿が今頃出てきたので、加筆修正してみた。
元原稿からして途中参加の上、記憶だけで書いてるから、当時のGMやプレイヤーが見たらあちこち違う所もあるかもしらん。
結局このパーティ、セッション十五回を生き延び(中途で一人、ラストバトルでも一人死者が出たけど、すぐに復活させてもらったし)、数々の笑い話と非公式記録を残したわけだけど(盗賊のレイピア一撃でダメージ四十六ポイントとか、吸血鬼瞬殺とか……戦士形無し)。
当時の資料はその時のGMの手元にまだ眠っているだろうか?
続きが読みたければ、K氏宛にメッセージをどうぞ。
彼への伝言は、無期限受付中(笑)。
前期試験ですが。
自分は大丈夫でした。日頃の行いがモノを言います。
なお当時のスローガンは「単位落としても原稿落とすな!」です。
3回生にもなりますとね、理系は必須科目ばかりで空きコマなんてないんです。
これから大学生、というひとは覚えておいて。
語学体育一般教養は、1~2回生で完璧に取得しておくこと。じゃないと卒業が後にズレ込みますよ?




