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第21話 怖いよ,次席断罪官…

プッペンスタット 高い塔 地上階 大広間

― 第6紀 366年3月48日(火曜日)5刻



「四人とも,現在もプッペンスタットに在住していました.」

メアリーは4人の人物を特定してきて,早々と帰ってきた.怪しいところがなければ,優秀過ぎて本当の意味での秘書として採用したいくらいだ.

「まずは,針子長ですが,リリアンと言う名前で,今も北壁の工房で針子長をしています.気が弱い人ですが,真面目な人物だそうです.それから骨を折られた針子ですが,ザラと言いまして,彼女もリリアンさんと同じ工房で働いています.薬草屋ですけれども,農作地で薬草を大量に育てていて,その隣にぽつんと一軒家を建てて,薬草を調合して,薬草店を経営しています.名前はダリアです.かなりの高齢の女性です.そして,メイド長なのでが,名前は,えーっと,マージョリーいいます.現在は,街の南端にある“慈悲の屯”という小さな隔離村に住んでいます.」

「さすがだね,こんなに早く調べて来るとか,メアリーはほんと優秀だよ.」

「そ,そんなことありません.」メアリーはあまり褒められていないのか,とても恥ずかしそうにしている.

「でも,ちょっと申し訳ないことがあるんです.あの,言いにくいことなのですが,私,…」

「ん?どうしたのかな?」

「私,その,慈悲の屯には」

ダン!「「「!」」」

3人はノックもなく,高い塔の扉をすごい勢いで開けた人物を見た.


そこには,セリーナ次席断罪官が,とても怖い目をして,眉間にひどくしわを寄せて,これ以上ないというくらい眉毛を逆ハの字にして,恐ろしい怒気を放って立っていた.あまりにも怒っていて,髪の毛が静電気を帯びて,広がっている.いつも丁寧に髪の毛に櫛を通して揃えているのに,まるで怒髪冠を衝くようだ.

「主席断罪官!」

「はいっ.」

あまりの迫力に思わずエリーも丁寧に返事をしてしまった.怖いよ,次席断罪官….

「私…私,このようなことがこの街で行われていたとか,けっして許すことができません.しかも,司法をつかさどる最高位の主席断罪官自ら,このような悪事を手に染めいただけでなくて,全く反省していないどころか,自分のやっていることが悪いこととすら思っていないような行いな上,法令を理解しているとも思えない適当な解釈で好きなように断罪しているとか,ありません.このような,・・・(あまりにも正論過ぎる発言のため,中略)・・・.罪人アビゲイルはすでに死んでいるとはいえ,もう一度死刑にでもするしかありません.冗談じゃありません,主席断罪官はどう思われたのですか?」

すでに10周分くらい,ひとりで熱くアビゲイルの所業について語っていた.

「うん,昨日の夜は私も同じ気持ちだったよ,次席断罪官.とにかく,一回椅子に座って,お茶を飲んで落ち着こうよ.その前に,扉を閉めてきてよ.開けっ放しだよ.」

振り向いて,自分が怒りのあまり,とんでもない粗相をしてしまったことに気づき

「申し訳ございません.私としたことが,怒りのあまり我を忘れて,とんでもなく失礼なことをしてしまいました.大変申し訳ございません.」

「ううん,いいよ.私たちも昨日はそんな感じだったよ.」

メアリーがお茶を入れると,セリーナはお茶を一気に飲み干し,

「それで話を戻しますが,」

エリーはさっきの長い話がまだまだ続くのかと一瞬思ったが,

「罪人アビゲイルの日記の日付と,市庁舎にあった前市長の部下が残していた断罪裁判の公式記録と比較してみました.」

「どうだったのかな?」

「完全に一致しました.日記の信ぴょう性は高く,記載内容は自白書として有効です.完全に“黒”です.」

「さすが,次席断罪官.激怒していても,抜かりなく仕事は進めてくれていたんだ.よし,あとは周りを固めて,罪人アビゲイルを断罪裁判にかけよう.う~ん.次席断罪官,証人が必要かな?」

「ええ,その方がよいです.日記に登場していた人物を特定して,証言をお願いすれば,何人かは証言してくれるのではないでしょうか?」

「うん,そう思うよ.すでにメアリーが4人ほど特定してくれているんだよ.私が直接会って,お願いに行こうかと思っているよ.」

「主席断罪官が直々にですか?私もお供致します.」

「ありがとう,心強いよ.では,一番証言してくれそうな両手の骨を折られた針子さんのところに行こうよ.」


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