運営、お許しください! 1
それで、邪神とはなんぞや? その謎を探るべく、我々調査隊はアマゾンの奥地へと向か――わずとも、頼れるマイファミリーのビャクレンが教えてくれた。
この世界の土着神ではない神で、どの勢力にも属してないけれどちょっかいを掛けるのは好きという、迷惑極まりないはぐれ者らしい。あ~……混沌側の神ボコって食ったし、変なのに気に入られたかもしれんね。
で、肝心の武器の性能はというと。
【武器】混沌邪神の泥(固定)
属性:混沌、地、水
HP+4000
MP+2000
STR+3500
INT+3500
DEX+500
LUK+800
・破壊不可
・攻撃時、確率で相手に呪い、毒、麻痺、混乱、衰弱、恐怖を付与。
・攻撃時、確率で相手に即死効果発動。
・全種族に対して与ダメージ+20%増加。
・混沌属性の相手に対して与ダメージ+20%増加。
・相手に与えたダメージの3%分、HPとMPを回復する。
混沌絶対殺すマンかな?? もうそろそろインフレには驚かんぞ。即死も付いて、もしも災禍の魂外すことになっても安心。そんな時が来るかは知らんけど。
後はおばさんがドロップした装備か。
【武器】戦魔神の大剣 (レジェンドレア)
属性:混沌
HP+3000
STR+6580
VIT+500
AGI-800
・破壊不可
・人族、魔物族、善神に対して与ダメージ+20%増加。
・混沌以外の属性に対して与ダメージ+15%増加。
・クリティカルダメージ+25%増加。
【体防具】エリスディアの戦装束 (レジェンドレア)
[布装備]
HP+5000
MP+3000
VIT+2500
INT+600
MND+3500
・破壊不可
・相手から受ける全属性ダメージ15%軽減。
・全状態異常耐性+20%増加。
・MP自動回復。
・スキルのクールタイムが20%減少。
インフレには……驚かんぞ……!(瀕死)
とりあえず防具は人数分欲しいから、おばさん周回確定しちゃったな。無駄に会話せずさっさとぶん殴ればいいか。
大剣はドロータスちゃんが泥武器にセットして使おうと思います。女の子がデカい武器使ってるの好きなので。女の子がデカい武器使ってるの好きなので(思想強め)
ヴァージニアちゃんに剣術教えてもらって、大剣術は自力で頑張るかな? あ、神核は素材だから一旦放置で。
さて、ドロップ品の確認が済んだところで、ひとまず先に進んでみようかな。ヤバそうなら戻ればいいしね。威力偵察ってやつですな。
「様子見も兼ねて先に行ってみようと思うんだけど、二人とも大丈夫そ?」
「はい、問題ありません」
「はーい、元気でーす!」
「かわいっ、ン゛ン……よーし、それじゃレッツゴージャスティーン!」
『強固な封印が施されていて、進むことが出来ない』
「oh……」
うん……なるほどね? そりゃ、神だのなんだのを封じ込めるくらい強力なんだから、外からも入れないわな? ということは、おばさんって本当に遠くない内に解放されちゃう予定だったのかも。
あれ……? 私ってもしかして、この先に用意されてたイベント……潰しちゃった……? そ、そんなの知らなかったし! ちゃんと言わないのが悪いんだからね! ドロちゃん悪くないもん!
『ピコン♪』
なんか聞き慣れない音がしたな。……フレンドメール?? ホワイ? フレンドなんて未だに一人もいないんですけど。……ちょっと悲しくなっちゃった。
で、いないはずのフレンドさんからメールとはこれ如何に。何? ホラー?
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宛名:開発・運営スタッフ
件名:【重要】ご相談したい件がございます。
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「ほぎゃーーーーーーーーー!?!?」
「ほわっ!? なになに!?」
「ひ、姫様!? 如何なさいましたか!?」
なになにいかがと聞かれたら……えーと、そう……そうね~……。
「――運営から、お話があるんだって……」
あの、怒られが発生しちゃう感じ、ですか……?
***
「お時間を頂き誠にありがとうございます、清泉様。開発・運営チーム広報部の押野沼子と申します」
担当の方の自己紹介から始まり、ただ今、運営専用空間にて個別面談の真っ最中でございます。スーツに眼鏡の仕事出来そうな知的美人お姉さまと個室で二人きりなんて役得では??
結論から言うと、何らかのお叱りを受けるとかでは全然ありませんでした~。今後の私の立場に関しての提案と、再来週の土日で開催されるバトルロイヤル形式のPvPイベントについての話だった。
「――え~と、次回イベント本戦への参加を見送る代わりに、勇者一行を含めた本戦上位1000位以内によるエキシビションマッチを追加。そこにプレイヤーであることを明かさず、ユニークモンスターとして参加してほしい、と」
「はい。勿論、こちらに関してはお断りいただいても構いません。現在の清泉様の状況を鑑みた上で最も波風が立たず、且つゲーム的に盛り上がる展開へ持っていきたいという運営側の都合が多分に含まれておりますので。当然ですが、お詫びと報酬の品はご用意しております」
まーそうだよね。イベントでは全員レベル100固定みたいだけど、それでもドロータスちゃんが出てったら大惨事になるのが分かりきってるもん。真っ当なプレイヤーがどの程度の強さかは知らないけど、神をボコれるほどじゃないだろうし。
チート野郎呼ばわりされるのもめんどそうだしな~。この前、お気持ちクレーム送った時点の状況なら問題なかったんだろうけど。
「本題の方も含め、検討して頂けないでしょうか」
「要は、ドロータスちゃんの半公式キャラクター化ですか~……」
内容的にはこんな感じか。
◼️他プレイヤーの前ではなるべく姫様ロールプレイ状態、且つドロータスちゃんがプレイヤーであることを故意にバラすような振る舞いは極力避ける。バレてしまったらその時々で対応。バレたからといって特にペナルティー等はない。
◼️今後もイベントには演出の一環として参加してほしい。報酬もあるよ。
◼️これらの活動について開発・運営側が可能な限り支援。必要な情報の開示、簡単な台本の用意等。
◼️それ以外はこれまで通りプレイしてもらって構わない。
◼️試みが上手くいきそうなら、公式グッズとか出させてほしいな~(チラッ)
半分企業勢VTuberになるようなもん?
イベントに自由に参加出来なくなるのはう~ん……だけど、冷静に考えて私が競争要素でブンブンしたら、絶対勝てないクソゲー扱いで人離れが起こるかもだからな~。いや、私の頑張り物語の結果ではあるんだけど、ネトゲプレイヤーなんてそんなもんだし(偏見)
それが影響してサービス継続困難とかになったら、ドロータスちゃんは消えちゃうしウチの子とイチャつくことも出来なくなる。最悪じゃん。
それにある意味、公認で暴れてオッケーの許可が下りるってことでもあるし。この話、受けた方がいいかもしんない。
でもまぁ、ちょっと聞きたいこと聞いてからだな。
「あのー、いくつか質問いいですか?」
「はい、私共がお答え出来る範囲であれば」
「じゃあ。まず、プレイヤーって普通に識別されちゃうんじゃないですか?」
ほら、ステータス画面とかキャラ名とかでなんかプレイヤー特有の表示とかあるんじゃない? 見たら一発でバレちゃうんじゃないの?
「その点に関しましては、現在清泉様のキャラクター識別表示はNPCと同じものになっております」
「えっ、どういうことでしょう……?」
「ゲーム上の仕様で、スタート地点の町の神殿に立ち寄っていない、又はチュートリアルクエストを終えていない場合、ゲーム内における相手からの認識はNPCと同様になります。ですので、本来プレイヤーはキャラクター名が水色で表示されるところ、清泉様は白になっているかと思われます」
……マジか~。他のプレイヤー見たことないから知らんかったわ。
チュートリアルからハブられ、プレイヤーとも一切関りを持たない穴倉生活がここに来てそんな効果を発揮するとは。もう二度と、チュートリアル受けれないねえ。
「それと運営側は『ケイオス・イヴがNPCかPCであるか』については一切明記しませんので。勘違いなさる方々が一定数出てしまうのは仕方がない事です。プレイヤーであると発覚しても、『特異なプレイヤーをスカウトしての実験的な試みだった』という事にすれば良いだけですよ」
わぁ、綺麗なお姉さんスマイルなのに黒い笑顔に見えてきたぞ。全然アリですね。好き。
そして次の質問。私的には最も重要かも。
「私、本当に今まで通りプレイしてて大丈夫なんですか……?」
そこなんだよな~~~。ガチでゲーム壊しちゃわない?? 嫌じゃ! 妾は怒られとうない!
「むしろ、自由にプレイして頂きたいです。その辺りも含め、ワールドシミュレーターとして観測しておりますので。本来ならこうして、こちらの都合で実質プレイに制限を設けるような提案も本意では無いのですが……」
懐が深ぇ~~……! でも押野さんちょっと苦笑気味。対応考えるの苦労したのかな~。お仕事って大変だね! 大人になりたくね~よ~。
「と言いますか、開発・運営チームは毎回腹抱えて……失礼、楽しくプレイを拝見させて頂いてますよ。ごく一部の上役は胃や頭髪を気にしておりますけど」
……おっと~? プレイを拝見させて頂いてます??
そりゃこんなん重要観察対象だろうし、見られてても不思議じゃないけども。それ自体はいいんだよ。
ただ、そうなるとですね……。スタッフの皆様方が、ご覧になってたってことですかね……?
マイ眷属とのアレやソレを――――!!
「すみません、ちょっと……」
「はい、何でしょうか」
「もしかして、なんですけど……ビャクレンやヴァージニアちゃんと、イチャついてるとこ、とか…………見てました?」
だとしたら恥ずかしすぎんでしょ!! いや、私はむしろ全然見せつけていくスタイルだけれども! 誰も見てないと思ってたらバッチリ見られてたってのはまた話が違うんだよな~~!
意識の問題っていうか、水着と下着の差っていうか――――
「はいッ!! 最の高でしたッッ!!」
…………流れ変わったな?
上役:公式で暴れられる場所用意するんでイベントだけは破壊しないで……(懇願)




