運営、お許しください! 2
「ただでさえ全世界顔良し選手権覇者であらせられるドロータスちゃんがクラシカルロリィタセットをお召しになられた辺りから尊みの鎌足がすぎてエナドリ100万本飲んだのかなと勘違いするくらい大興奮状態だったというのに更に顔面天才眷属が二人も追加されて画面内の幸福指数宇宙最高峰かよ全米が泣いたと拝んでるところにおや何だか距離が近いな~チューしそうなくらい近いな~怖いな~怖いな~という雰囲気チラつかせ始めたもんだから戦々恐々としつつ見守ってたらガチでチューしちゃったじゃんかどういうことですか本当にチューするやつがあるかバカあああああああああと百合のオタク一同画面の前で大絶叫しちゃいましたね流石にまさかこのゲームでここまで女女がイチャつく様を見られるなんて想定以上でした本当にありがとうそれしか言う言葉がみつからないといった具合でしかも推しファミリー内でそれが平然と行われている事実に頭が全然ついてこないし軽率にスキンシップ見せつけてくる度に室内阿鼻叫喚で情緒破壊し尽くされちゃってますからねボボボボボこの泥沼深いッあとこのゲーム結婚システムありますし同性婚も重婚も可能ですから是非是非ご利用くださいませちなみに私はドロ絡み全カプ箱推しリバ派です」
「あはい」
……どうしたらいいのこれ?? 美人のお姉さまが急に私推しの早口限界強火オタクに変貌した時の対処法って検索したら出てくる??
「あっ、ダメもう無理限界っ……お顔が最強すぎて間近で直視し続けるの全然無理……! 私頑張った……!」
「あはい」
「あ、あのっドロータスちゃん……」
「あはい」
「あくっ、握手っ! してもらっても、いいいいですか……!?」
「あはい」
「ありがとござまひゅッ!! はっ、はっ、はっ、はっ、はぁっ……!! ッスゥ~~~……ヤバいヤバいヤバい生ドロータスちゃんのおてて美しすぎるぅ……顔ちっちゃ……まつ毛長……尊っ……ぐすっ……とうと……わァ……あ……」
泣いちゃった!!!
ちょっと誰か助けてください!! 一人くらい見てるでしょスタッフさん! あなたんちの子ですよ!! アイドルの握手会で剥がし係がいる理由、身を以て理解できました!!
***
「失礼しました。推しを目の前にして、思わず取り乱してしまいました」
「あはい」
取り乱したってレベルじゃねえぞ! 私も顔がいい女に興奮してるときあんな風になってんのかな……気を付けよ。
あの後、天から複数の女性の声で「主任!! お触りは協定違反ですよ!!」「推しを見守る壁としての矜持を忘れたかこの外道!!」「職権乱用で総務部に訴えてやるかんな!!」「鼻からエナドリ一気の刑執行ですね、これは……」「ドロータスちゃん!! 好きです!!」等の激おこメッセージが届き、押野さんは正気を取り戻しました。主任なんだ……。この人が広報部主任で運営大丈夫??
しかも限界化は解除されたものの、「すみません。これ以上直視したら精神がもちませんので……」とか言って目は逸らしたまんまになっちゃった……。ドロータスちゃんは邪神か何かかな?? 武器がああなったばっかでタイムリーですね。
で、やっとまともに(?)会話可能となったところで、質問タイムに戻りました。あと聞きたいことは大まかに四つ。
■一般的なトップ層の実力
■私の他にもこんなこと(オブラート)になっちゃってるプレイヤーはいるのか。
■節穴おばさんコロコロしちゃったけど何かまずかった?
■今回の話を受けたとしたら、今後ドロータスちゃんはどんな存在として立ち回る予定なのか。
どれも可能な範囲で教えてくれました。ちょっと「顎クイとかしたら何でも教えてくれそうだな……」とか好奇心が疼いたけど我慢した。えらい。
まず、正攻法なプレイヤーの実力。一般的に最前線組と呼ばれる人らの攻撃パラメータが二千未満、ダメージはおよそ二万以上三万未満程度。ボリュームゾーンは更に一段下と。
お、思ってたよりだいぶ弱ぇ……。いや、サービス開始からまだ十四日だしそんなもんなのかな。これ普通にバトルロイヤルなんて参加したら、ゲーム名が『ドロータス無双』とかに変更されちゃう……。聞いといて良かった。
二つ目、他の凄いことになってる(オブラート)プレイヤーは存在するのかだけど、現状は私のようにスーパー異常空間を乗り越え一騎当千みたいになってる人はいないらしい。ランダムで開始した人の中で最前線組より強いプレイヤーはごく一部いるものの、複数人で挑めば対処可能な範囲とのこと。
まだ無垢な頃のドロータスちゃんもね、それくらいを目指していた、はずだったんです……。いや、後悔はしてないけども。
三つ目。おばさん倒しちゃった♡ ごめんなさい(土下座)
本来はほっとくと封印から解放されて各地で暴れ回り、最終的に私が戦った時の約1.5倍~2倍のステータスでレイドイベントとかに発展する予定だったそうです。いやほんと、申し訳ございません……。
押野さんは、想定外のルートが開拓されるかもしれないのでむしろアリって笑って許してくれました。優しい……。
ちなみに、おばさん戦は自作のドロータスちゃんうちわを持って応援上映してたらしいです。ガチのファンの方じゃん……。やっぱ顎クイくらいしてあげるべき? よし、やるか。
そして最後、これが重要。今回のレイドイベントは混沌側のお披露目みたいなものだったらしいんだけど、ドロータスちゃんは今、混沌勢力に中指立てた状態になってるんですよね。
じゃあ半公式化のお誘いを受けたとしたら、運営的には人族側か魔物側のどちらかに付く方がいいのかなーとかそういう感じのことを聞きたい。
「そうですね。こちらの提案を承諾して頂いた場合、次回イベントの際は『混沌勢力とは敵対しているが、現状では敵でも味方でもない第四勢力』として登場してもらう形になるかと思います。今後片方に味方するのか、或いはどちらにも明確に肩入れすることなく第四勢力として立ち回るのかはドロータスちゃんにお任せ致します」
「!!」
その時、ドロータスちゃんに電流走るッ! 第四勢力いいじゃん、と!
思わせぶりなこと喋りながらプレイヤーや勇者とかにちょくちょくちょっかい掛けつつ、利害の一致でたまに共闘したり、はたまた敵対したりする独立勢力ポジションの強キャラ。……メチャクチャ美味しい役回りでは??
そう、例えば――プレイヤー達が混沌ボスを倒したと思った直後、そのボスが切り札を使って超強化。やべーアレ倒せんかもとお通夜ムードが漂う中、颯爽と登場してボスを一捻りするドロータスちゃん。
「何故……俺達を助けた?」と聞かれ、姫様スマイルで「勘違いなさらないでください。私は目障りでしつこい染み汚れをお掃除しに来ただけですよ。それでは、ご機嫌よう」とか言い残して優雅にクールに去っていくドロータスちゃん……!
キャーーー!! 素敵ーーー!! ドロータスちゃ~~~ん!!
ヤバイ、超楽しそうそれ。私やる!! それ絶対私がやるかんな!!
「今回のお話、受けさせていただきます!!」
「え……? あ、はい、ありがとうございます。何が決め手だったのか分かりませんが、ドロータスちゃんが楽しそうなので良かったです」
とりあえず契約に関しては、私が未成年かつ金銭が絡んだりする内容のため、リアルの方で両親を交えて改めて話し合いの場を設けることになりました。
あとはふと思いついて「ドロータスちゃん公式グッズって押野さん達の趣味入ってませんか?」って聞いたら、何もないはずの天井見上げ始めて「そのようなことはありませんよ?」などと供述しておりました。おい、私の目を見て喋りなさい。
そんなわけで、これからドロータスちゃんはイベントに顔見せしながら、誰にも尻尾を振ることなく気に入らんやつはしばき倒すアンタッチャブル陣営目指していきますよ。へへっ、俄然面白くなってきやがったぜ。
ちなみに。
お話の終わり際、座ってる押野さんへおもむろに近づき、顎クイしながら姫様モードで「今後ともよろしくお願いしますね♡」ってウィンクしてあげたら「よろこんでえええええええええええええええええええええええ!!!!!!」と絶叫しながらひっくり返り、天からは「ギャーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!」と悲鳴が響き渡りました。
こんな感じでファンサ交えつつ、茶目っ気たっぷりに立ち回っていきたい所存。イエーイ。




