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勇者はいる、主人公はいない  作者: 虹鳥
第1章・のどかな草原トラストリン

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無理はある、躊躇は無い

依頼の受注が完了し、7人で目的の場所へ

久しぶりに街の外に出て風を感じながらタスメさんの馬車に乗って洞窟に向かっている最中

もともとスリーピーの人達は馬車をレンタルしてに乗って行くらしかったけど、合同パーティーなら…と一緒に行くことにした、本当だったら雑談をしたかったけど

スリーピーの人達は……名前の通り、結構寝るらしく

何度も俺たちに「申し訳ない」と謝罪したのちに座席に座って寝てしまった

電車内で寄り添って寝ているようなそんな光景

三人について深堀して知ることができたらてぇてぇを感じれたのかも?と思うような光景で

俺たちは小声で雑談して過ごした

…しかし、俺達がヒューラルに来た時の事を考えると

勇者の近くで寝れるというのは結構信頼されている証だろうか?


「そういえば、品子さん」

「どうしたの?千斗?」

「今回品子さんは小型剣で行った方がいいかも」

「ん?どうして?」

「今から洞窟の探索になるけど、多分大きな武器だと戦いにくい可能性がある

大剣とか振るだけで周囲の壁に当たったりとかするかもだし」

「あっ………………それで、落としちゃう可能性が高い………からね」

「分かったよ!」

「私の弓は…………大丈夫でしょうか?」

「蜜巳さんなら大丈夫だと思う、敵が接近してもしっかりと狙いをつけて当てられるから遠近問題ないと思うし…チルスさんが『似たような武器を使う』と言っていたから、行けると思う」

「分かり…………ました」

「でも千斗?」

「ん?」

「千斗の…えっと、マスカットってどうするの?槍って長いし」

「……ああ、槍のマクスラスのことか

今回の依頼は魔法中心で行くことにする

槍も振るよりかは突く戦い方がいいと思うから」

「が………がんばってください」

「応援するよ!」


そして魔物も盗賊も出会うことなく、洞窟にたどり着くと3人とも起き上がった

ここから先は大きな洞窟にはなっているけど馬車は入れない、それにタスメさんは戦うことができないから……


「じゃあここで待っているッス」


外で寝るときに使っていた野営用の魔道具でバリアを張って馬の世話をしながら待機することにしたらしい、そして俺たち6人でこの先の洞窟に入っていくことにした


「行ってきまー」

「行ってくるよ」

「行ってくるわね」

「行ってきます」

「行ってきまーーーす!」

「行ってき……ます」


そう言いながら進んで行く、今まで3人のパーティーで戦っていたけど6人パーティとの大所帯かもしれない、それも2パーティ合致パーティーだからちょっとした不安はあるけど…マクスラスをあまり扱えない俺が足を引っ張らないかという不安が

そう思いながら進んで行くと、前方を進んでいたナイヴォさんが一度立ち止まった


「勇者様方、この先で魔物が出て来ましたら

どのように戦うんだ?

俺とヒノムはいつも速攻で前に出るから、何の相談もしないと衝突事故が起こるかも」


たしかに、ナイヴォさんはかぎ爪の暗器でヒノムさんは小手&レーガスの肉弾戦

近距離でも結構身軽そうな様子だし、速攻で前方に行きそうなのはなんとなく分かる


「いつもは私がみんなに補助魔法した後に盾でツッコんでいるよ!」

「その後には…………私が後ろから弓矢で………援護をして………………」

「俺はいつもだったらマクスラス……槍で戦ったり魔法で戦ったりしています

………ちょっと今は洞窟内なので魔法ばっかりにになるかと思いますが」

「バランスのいいパーティーだな」

「それに仲が良さそうで偉いわね」

「状況判断もできていーじゃん」


めっちゃ褒められてしまった、「ありがとうございます」と3人で言いつつもなんだか照れ臭い


「じゃあ、勇者アキハラシナコが盾でツッコんで食い止めている時に俺とヒノムと勇者ソラアミセントが近場の敵を倒していく、そして勇者コヌマミツミとチルスの2人で後ろから援護

……その形なら行けそうかな?」

「俺達…息を合わせられるでしょうか?」

「それなら心配だったらそれぞれのパーティーで1回ずつ戦って、動きを見るのもいいと思う」

「分かりました」


にしてもチルスさんは「後ろから援護」と言っていたけど見た感じ武器を持ってはいない

どんな戦い方をするのか気になったけど、いざ本番の時になったら見れるだろう

その時を楽しみにして行こう


「では、行きましょう

ライト」


そう言って真っ暗な洞窟内に魔法で光を灯した、懐中電灯みたいに近場しか分からないけど十分に周囲がこれで見れるだろう


「あれ?アタシのランタン出さなくていいの?」

「本日の俺は槍ではなく魔法で戦うので、普段どおりに行動できないので行かせてください」

「ふーん分かった、光源の方を任せたよ

アタシのランタンもいつでも使えるようにしとくから

でもライトって言ってどーしたの?」

「これは……魔法の名前を言いたくなる俺の性分みたいなものです」

「わかったよ」


そう言いながら進んで行く、洞窟は元の世界でも行った事なくてしっかりを周囲を見てみる

中を見てみると、入り口の方は人の往来が多いからか、それともちょっとだけ舗装されているからか獣道みたいな道が出来ていた、けど奥は結構複雑な形をしていて歪な感じがする

学校での理科で地質学の勉強とかしたけど。石灰岩とか花崗岩とか習ったにしても正直見ただけでは全く分からない、小説作家ってこの辺りよく描写できるな……と思っている

複雑には入り組んではいるけど、1本道に見える…暗いからはぐれたら1人ぼっちになりそうだけど

魔法をいじって遠くまで光らせてみたけど、やっぱり奥まで真っ暗でいびつな形で作られている

光を出している間、マナを消耗し続けていると思うけど単純な魔法だし吸収量の方が多いだろう


「勇者くんちゃんたち、足元に気を付けてね」

「はーい!」

「行きましょう……」

「気軽にいこーよ」


そう言いながら先に進んで行った……


………

………


洞窟内に入って体感数分、見た目のわりには思った以上に歩きやすく進んでいる

けど魔物の気配は感じなくて、静かでずっと不気味だ

俺たちはちょっと雑談をしながら進んでいるけど、それでも魔物が出てくる気配がない


「……ナイヴォさん?」

「どうしたの?」

「魔物ってこんなにも出ないモノですか?予想だと結構内部にひしめき合ってるイメージがあったのですが…」

「今回はあんまりいないと思う」

「今回『は?』」

「ああ、洞窟に入るたびに出てくる魔物が違ってたりしている

洞窟内にいって絶滅させても気がついたら、湧く?ってことかな?そんな状況になることが多いんだ」

「『湧く』ですか?魔王城が出てからそのような事になっているのですか?」

「魔王城が出る前からちょっと魔物がいたけど…魔王城が出てからは急速に増えた感じになったな、それもヒューラルの水が汚染されたみたいに環境に影響が出るぐらいには」

「魔王城から召喚されているのでしょうか?」

「事実は分からないけどその説が結構広がっているね」


ゲームで言う所の魔物が現れる「スポーン」みたいなものだろう

魔王城が出てから洞窟内とかの人がいない所を中心に湧いているのだろう

もしかすると、あの湖の城も魔王城から落ちてきたのかもしれない…スポーンポイントとして、なんだかんだ魔物はどのように出てくるかを初めて聞いたけどゲームに近いのかもしれない

初めて聞いたけど、今までの事からとRPGゲームの知識で何となく予測していたから驚きはそんなに無かった

って思っていると自分達とは違った足音が聞こえた


「…ん?敵か?」

「お!まずは私たちからだね!」

「がんば………ります」


先ほどの雑談中にまずは勇者メンバーで戦うことを決めていた

俺たち3人が前衛になるように立って、進んで行く

すると足音が近寄っていく、走ってきているみたいだ


「みんな!強くするよ!」

「ありがとう品子さん」

「しーちゃん…………ありがとう」


補助魔法をかけた後、品子さんは片手剣と盾を持って前に立って構えている、俺は一応槍を構えて蜜巳さんが弓矢を構える

すると


「キシャアアア!!」


奇声のような声を上げて暗闇か石をもって走り込んできたゴブリンみたいな小ぶりの魔物が数匹いた

けど洞窟内、不安定な足場のせいか動きが外にいた魔物に比べたら遅い


「突撃するまでもないよ!えいや!」


飛び掛かっていた魔物の攻撃を盾で振り払った、地面にベタン!と叩きつけられて

俺は


「ウォーターランス」


脳天を貫いてた倒した

もう1匹品子さんは振り払って倒れていき今度は蜜巳さんが脳天を矢で貫いた

その後は品子さんも短剣で斬りつけていき、俺も前進し魔法で戦っていき

蜜巳さんも弓矢で倒していった

洞窟内の魔物って外に出ているのと比べたらひときわ強いと物語とかで聞いたことあるけど、あまり変わらなかった気がする、久しぶりの戦いだったけど…随分とあっけない気がした


「全部倒したかな?」

「たぶん誰もいないよ!」

「気配…………感じないので…………大丈夫です」


まだ依頼が終わってないからいつものような戦闘勝利の動きもできないがとりあえず一安心かな?


「偉いねみんな!」

「すっげー怪我無く簡単に倒しちゃったよ」

「お疲れ様です、とてもいい戦いでした」

「はい、どういたしまして」

「そういえば魔物の素材ってどうしているんだ?」

「俺達は魔物の解体の文化が無い世界から来たので

いつもだったら、馬車を運転していたタスメさんにお願いしていますが

今はいないので埋めるつもりですが……」


地面は土ではなく黒色をしている岩だけどガーゴイルの依頼の時みたいに上手く動かせば埋めることぐらいはできそうだ


「それなら俺たちが解体するよ」

「いったん魔物の素材は持ってくから依頼終わった後に相談しよ?」

「それまでゆっくり休んでてね」

「ありがとうございま…」

「終わった、じゃあ先に行こうか」

「えっ!?早くないですか!?」


今何が起きた!?あっという間に終わったのか!?

一旦様子を確認してみると魔物の素材を固められており、いらない部分が埋められていた

え?今の一瞬で終わったのか!?


「早めに終わらせれば早く帰れるでしょ!」

「そーだな、早く終わらせるのがいいし」


スリーピーの人達、そういれば「早く」とよく言っていたけど

もしかすると、そうゆう傾向のパーティーなのか?

とにかく早めに行動するって言う傾向なのか?

でも、こちらに強制しないからその辺り良かったけど……

周囲にあった素材を回収して、チルスさんがでっかいリュックの中に詰め再び出発する


「ナイヴォさん」

「ん?どうしました?」

「『早く』とよく言っていますが、ちょっと気を悪くしたら申し訳ないのですが

せっかちなのですか?」

「そうゆう訳ではないかな、遊ぶのが大好きなだけだ」

「遊びですか?」

「ああ、遊ぶためにはお金が必要になるから冒険者をやって稼いでいる

けど仕事をしたら時間が無くなる、その為に急いで仕事を終わらせれば遊ぶ時間が増えるという事だ

いっぱい寝ることもできるし

でも急いでいるわけではないから、勇者達も急がなくていいよ」

「わ、分かりました」


ちょっと思い出した、夏休みの宿題のことを

夏休みをいっぱい遊びたいからと早めに宿題を終わらせるとか言っている人がTwitterとかMisskeyでいた気がする、なんでも7月中に毎年終わらせていたとか

楽するために先に苦労する、そうゆうのもアリだな

俺も配られた時点でやっていたし

会話が終わり、またも雑談中に話していると再び何かが来た


「今度は俺達が戦うよ」

「勇者ちゃんくんは後ろで見ててね」

「がんばるよ」


そう言ってスリーピーの人達が構えていると、再び前方からゴブリンみたいな魔物が数匹出てきた

どんな戦い方をするのだろうか?


「いくよ」

「任せて」

「あいよー」


と言って、まずナイヴォさんとヒノムさんが前進した。

切り込んでいくように入って……え?


「なんか、結構無茶な動きをしている気が?」

「『怪我が怖くない!』みたいな動きをしているみたい!」


そう品子さんも感じた通り、2人の動きは本当に無茶をしている

魔物が攻撃をしているけど、俺達は回避して隙を見てから攻撃をしているのに対して、相手の攻撃を受けながらも反撃をしている様子だ

一発頭を殴られながらも、そっちの方向を見て切り刻んだり

相手に足を殴られても、そのまま見ずに蹴り飛ばしたりとまるでゴリ押しだ

変に失礼なことは言えないけど、それがこの世界の戦い方なのか?

今まではガリウス兵隊長やリストさんにギルドマスタースイトの重役の人達の戦い方を見たし、防衛線の時は遠くで傭兵と兵士の人達が戦っていてよく見えなかったし

ヒューラルへの道中に戦った盗賊は、俺達を見たら逃げまどっていたし、もちろんナイヴォさんとやった演劇の依頼はノーカン

なので一般人の戦いを見るのは初めてだと思う

死んだら生き返る…それが普通だからこその戦い方なんだろうか?

そういえばチルスさんは?背後からの援護と聞いたけど


「いっくよー」


と2人の背後にいたチルスさんはリュックをその場に置くと、何か紐のような物を取り出した…外見はマスクみたいに両側は紐になっているけど、真ん中の方は眼帯みたいにゴムのベルトみたいな部分があった

チルスさんは置いたリュックの中からガラス瓶を出した

いつも飲んでいるポーションは試験管みたいな形をしているけど、こっちは球体型をしている

その球体ガラス瓶をベルトの部分に装着するとブンブンと縦回転をし始めた


「もしかして、スリングって武器なのか?!」

「おっ?そっちの世界にもあるんだね?」


そう言うと、回していたガラス瓶を前方に投げた

スリング自体は正直どうゆう仕組みで投げるのかよく分かってないけど、狙いは正確

魔物のいる所に向かって真っすぐ飛んで行った………でも2人が普通にいる所に


パリン


「おっと毒か」

「チルちゃん偉い!!」


飛んで行ったガラス瓶が割れて周囲に液体が飛び散る、距離感的にどう見ても中の液体が2人にもかかっていたし毒って言っていたのに気にしていない!?

いいのか!?毒を浴びても!?

って思ったけど、2人とも体についた毒をぬぐって武器に付けた!?

ナイヴォさんに至っては結構かぎ爪が鋭いから手を切れているんじゃないのか!?

その後はそのまま斬りつけていく、魔物はまき散らした毒で動きが鈍っていたが2人は平気そうでそのまま簡単に周囲を全滅させた


その後は、勝利ポーズとかせずにサッサと魔物の素材を回収して

簡単に水魔法で自分達と周囲の毒をある程度流して回復魔法をかけたのちに終わりにした


「どうかな?今の戦いで一緒に行けそう?」

「……」「……」「……」


正直……自分達と戦い方が逆で行ける気がしない

なんて答えようか俺も2人も考え中だ


「えっと、勢いイイね!でもその勢いに乗れるか心配だからほかの魔物が出ても交互に戦おうよ!」

「わーたよ」

「アキハラシナコちゃん、ゆっくり戦った方がいい?」

「うーん、でも変に私たちに合わせたらみんなが怪我しちゃうかも」

「怪我は気にしなくていい、治せばいいから」

「でもやっぱり迷惑かけたくないからそれぞれで戦おうよ!」

「わかった」


品子さんのコミュ力の高さで何とかこの場を切り抜けることができた

ありがとう

ちょっと、無理をしているようなスリーピーの様子に心配になりながらも先に進んで行くことにした

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