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1. 記憶を取り戻したら、公爵令嬢でした(ただしモブ)

本日2話目です。

 いつもの帰り道。残業終わりに寄ったコンビニで、遅めの夕飯を買い込んだ。明日は土曜日だから、今夜は夜更かしもし放題だ。でも、さすがに疲れた。上期の決算業務は、会社創立以来の最悪の決算になりそうだとの噂だし。


「はあぁ。いつまで続くんだろう……まさか、クビになんかならないよね?」


 街灯が仄かに明るい歩道を、エコバッグを下げて歩く。


 私の名前は、森下(もりした)美奈子(みなこ)。都内の企業に勤める23歳のOLだ。

 財務部に所属して、只今決算業務に忙殺されている可哀そうな女子。まあ、お給料はそこそこ良いし、繁忙期でなければ基本定時で仕事は終わる。まあ、ビバ! 働き方改革? らしく、先輩たちから言わせると今はパラダイスらしい。それでも、この半期決算時期は忙しい。何と言っても新システムを導入したせいで、不慣れな事業所からデータ収集に遅れが出てしまっている。それに追い打ちをかけるかのような、世界的な経済の停止が発生したのだから、会社は存続できるのかどうかの瀬戸際と言われている。この冬のボーナスも減っちゃったし……


「まあ、でも土日は休みだから、今日はご飯食べてからゲーム三昧だね」


 エコバッグの中のお握りと、レンチンの鶏だんごの野菜たっぷり汁、そしてご褒美アイテムの期間限定さつまいものモンブランを思い浮かべた。そうだ、今日はそれに()()のビールも1缶付けたっけ。思わずにんまりと頬が緩んだ。

 そうです。これが、ささやかなOLの週末ですよ? 皆がみんな、金曜日の夜を謳歌しているなんて無いんです。私の楽しみはゲームだから、引き籠りOK。ステイホームならお任せよ。ってな感じでゲームに没頭する予定。



 今はまっているのは、『ときめきイケメンパラダイス!!薔薇色王立学院』。何ともベタなタイトルだけど、ターゲットの男子達がイケメン揃いで美麗なイラストが素敵なのだ。内容はよくあるパターンで、王子の婚約者である公爵令嬢をヒロインで平民出身の男爵令嬢と、真実の愛に目覚めた王子が断罪するという話。私がハマったのは、悪役の公爵令嬢が実は常識ある賢令嬢であって、最後は素敵な伴侶に出会えるというスペシャルエンディングを迎えられるから。だって、この男爵令嬢のヒロインちゃんは天然、純真のチート持ちの愛されキャラではあるけれど、大人女子にはすこぶる評判が悪いんだ。努力無しで、王子と結ばれたりなんて、やってられねぇでしょうが?


『まあ、私も相当ひねくれてるよね』


 因みに私の推しは、王子の側近である公爵令息。このヒトは数少ない公平な人物で、見た目も私の好みのイケメンなんだ。ただ、少しシスコンの気があるらしいけど、そんなのは大した事じゃない。家族愛に溢れていると思えば、なーんの問題も無いし。


 しかし、何度やっても公爵令嬢のハピエンルートに行かないのよ。もう何回プレイしているか判んないけど、一向にそっちに行かないのは、何かが足りないのか。それともまだ隠されたキャラやイベントがあるのか。


 ああ、早くプレイしたい。私は急ぎ足で大通りの横断歩道を渡り始めた。





 ピロローン!


『あっ、ゲームからのお知らせだ』



 条件反射で立ち止まり、ポケットからスマホを取り出して軽くタッチした。


【新コラボ発生!!「異世界転移 聖女様出現します!」×「♡イケパラ薔薇色王立学院」】


 明るい画面に、見たことのある黒髪の少女のイラストと、イケメン達の美麗スチルが現れた。


『へえ、新企画始まるんだ。コラボだって、オモシロそう……』




 そう思った瞬間、眩い光と大きな衝撃音が響いた。








 視界一杯に、大きなトラックが見えた。眩い光はヘッドライトの光だった。




『あっ、まずい!?』



 そう思ったのを最後に、私、森下美奈子の記憶は途切れた。





 そして、次に目を覚ました時、私は()()()()として目覚めたのだ。

























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