↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1/8

プロローグ

もうすぐ今年も終わりです。

少しでも息抜きができればと……数話で終わる予定です。

 今日はハント王国、王立高等学院の卒業記念パーティーだ。隅々まで磨かれ飾り付けられた大広間には、煌びやかな衣装で着飾った若者達が溢れている。ハント王国の次代を担う若い紳士と淑女達ばかりだ。


『はあぁ。退屈……』

 華やかな雰囲気が溢れかえっている大広間で、壁に凭れて溜息をついた。

「あ、あのう、シレリア嬢。ぼ、僕と踊って」

「あ、間に合っていますので。お気遣い無く」


 目の前に現れた、どこか見たことある青年にすげなく答える。


「じゃあ、ベランダの方で休みま」

「いいえ、ここが良いので。お気遣い無く」


 重ねてお断りをすると、何か言いたそうに顔を見られた。麦わら色の髪に、薄いペリドットの瞳が涼しげな顔立ちの青年だけれど。


『誰だっけ? ()()()()()()()()()かなぁ』


 目の前の彼を見上げたまま、記憶のひだを探っていた。


「シレリア? こんなところにいたのか?」

 微妙になった空気を一掃する様に、爽やかな声に呼びかけられた。

「フェリウスお兄様」

 目の前に立つ麦わらの彼の後ろから、聞き慣れた声と共に煌びやかなオーラが差し込んできた。


 フェリウス・ウォーレン・バーバリンド。バーバリンド公爵家の嫡男。今年18歳になる。

 そう私、シレリア・アーマンダ・バーバリンドの兄だ。バーバリンド家の特徴でもある純金色の派手やかな金髪は、頭の高い位置で一つに結わえられ背中までサラリと落ちている。それに、切れ長の瞳の色は、真っ青な海色。理知的な額にキリリとした美しい顔立ちは、少し冷たい印象を与える。


「シレリア? 知り合いか?」

 フェリウスお兄様は、ずいっと麦わらの彼を押しのける様に私に近づいた。

 ああ、何か変な空気が漂っているけど、麦わらの彼は少し委縮した様にお兄様を見てから、私に救いを求める様な目線を寄こした。

 寄こされたけど……


「ああ、一人でいた私にお気遣いをして下さったのですわ。お兄様がいらしたので、もう大丈夫です。ありがとうございました」

「えっあ、ああ、いや。そうだね、兄上がいらしたのなら大丈夫だね。じゃあ、失礼するよ。シレリア嬢」

 お兄様の視線から逃れる様に、彼はそそくさと離れて行った。でしょうねぇ、生徒会副会長のキランキランオーラにはなかなか抗えないでしょう。こう見えて、フェリウスお兄様はとても心配性なのだ。特に私には激甘で、若干シスコン気味な感じがしないでもない。


「それで、君はいつまでこんな所にいるんだい? 私の友人達にも紹介したいから、一緒に行こう」

 そう言って、手を差し出してくれますけど、お兄様? ()()()()()()()()()()()()()がこれから起きるんですわ。オニイサマこそ私になんか構っている場合じゃないんだけど。


「あの、お兄様。私の事はご心配なさらないで? もう少しここで休んでから伺いますわ。ちょっと人混みに酔ったみたいですの」

 少しだけ肩を竦めてそう言うと、お兄様は困った様に眉を寄せた。ほら、心配そうな顔だ。

「大丈夫ですわ。お兄様ったら本当に心配性なのですから。もう少ししたら、アンシェル殿下もいらっしゃいますでしょ? お兄様は殿下のお傍にいらっしゃらないと。あと少しだけ休んでから行きますから」

 何とか兄を説得して、私はこの場所に留まることにした。そして、兄をアンシェル殿下のお傍に行かせなければ。だって、フェリウスお兄様は生徒会長であるアンシェル様の側近なのだから。


 そう。これから起きる()()()()に、お兄様も参加しなければならないのだから。





 実は私……シレリア・アーマンダ・バーバリンド。




『ときめきイケメンパラダイス!!薔薇色王立学院』 



 恋愛ゲームアプリの、()()()()()()()したらしい。




 た・だ・し、()() ですけど。

 






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。