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元婚約者が浮気相手と結婚式を挙げた日に私は王子様と出会った  作者: 蔵前
第五章 魔王と王子のエスコート

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シンデレラのドレスを選ぶ

 ナオキ君のママは魔女だった。

 魔女にしか見えなかった。

 物凄い美人なのだと思うが、アニメの魔女カテゴリーに入る外見で、どうしても魔女にしか思えないのだ。妖艶なる美女って迫力あって凄い。


「大丈夫だよ。ママの魔法はお洋服を選ぶだけ、だから」


 ナオキ君はママに突き飛ばされていた。

 真っ青な瞳が奇麗な目の瞼には真っ青なアイシャドーが塗られ、ぽってりとした唇には真っ赤なルージュを塗られている。

 そんな何処から見てもマダムで魔女で貴婦人は、うふふんと笑って見せると、適当な二着のワンピースを持って来た。


 幾何模様が緑色とベージュ色で描かれたロングワンピースと、裾がフリンジになっているちょっとミニで白地に紺色のラインが入っているツウィ―ドのスカートと紺色のブラウスが合体したワンピースである。


 どちらも気に入りどちらも試着したのだが、ロングワンピースの方は共布でウェストを縛るだけなのに、私がスラっと背が高くなって見えただけでなく、細くスタイルがよく見えるというものだった。


 合体ワンピースの方は、紺色のブラウスは袖がバルーンであるからか上半身が華奢に見え、飾りボタンなどディティールがとにかく可愛い印象の服だ。

 着てみると短かすぎると思った丈が、少し膝の上という丁度良い長さだった。


 これは一体どこのブランドなのだろう。

 ちびこい私が着れるサイズがあるのも凄いし、どちらも絶対に欲しいって思うぐらいに素敵なワンピース。


「気に入って頂けて?」

「はい。このお洋服はどこのブランドですか? これからも欲しい。破産したっても新作を買いたいって思うぐらい、いい」


 魔女がとっても艶めかしい笑い声をして、これから取って食われるんじゃないかなってぐらいの迫力で、私の耳に真っ赤な唇を寄せた。


「私がデザイナーよ」


「頑張ってお金貯めます」


 私達は手を握り合っていた。

 いえ、私が彼女の手を掴んでいた。推しを見つけた放すものか、って感じ。

 さて、落ち着いたならば私はワンピースを選ばねばならない。

 だけど私はとっても悩むばかり。


 二枚とも買うが、どちらを着ていくかで悩んだのだ。


「どうしよう」


 ナオキ君ママは私に微笑んだ。

 運命を動かす魔女みたいに。


「ナオキとマサオにジャンケンさせて、勝った方のワンピースにしたら?」


 私はそれでいいですと言っていた。

 すると二人はとっても仲が良いのか、ジャンケンするどころか紺色のブラウスのワンピの方を掲げて見せた!


「あら、そっちの方が好みなの?」


 二人とも同じ服を選んだことに驚いたが、イレーナは鼻をふんっと鳴らした。


「日本の男の子って、可愛い方が好きよね」


 お母様、身も蓋もありませんよ。

 あなたのお子さん方が恥ずかしそうに、あら、どこかに消えてしまった。


「あら、彼等は」


「服が決まったみたいだから帰ったのよ。あの子達も着替えなきゃでしょう。マサオは店の子供達のご飯もあげなきゃだしね」


「え、でも、私はどうやって帰れば」


 ここまではマサオ君のお店のバンに乗って来たのだ。


「迎えに来るわよ。今日はあなたの召使だもの、あの子たちは。じゃあ、あなたも着替えましょうか。店の上が私達の自宅よ。シャワーを貸してあげる。それから、化粧も私がしてあげるから心配しないで。大丈夫、魔女の化粧にはしないから」


 ああ、それで替えの下着や化粧品も持って行くようにと、マサオ君が言ってきたのか。

 あ。

 私はそこで茶々の顔が浮かんだが、ペレットは餌箱に入っているし、牧草も言われるがまま入れてあったと胸を撫で下ろした。

 モルモットは食いだめが出来ないから、餌を忘れることが命取りになるのだと教えてもらっていたからだ。


「ハハハ。よろしくお願いします」


 安心した私は、シンデレラな気持ちで魔女に全てを委ねた。

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