計画28
そうだった。
“ルーを愛でる会”なるものがあることを知ったんだ。
あれには驚いた。
会員は姉上だけでなく、ミリアやサリア、ラムザもそうだけどまさかアーリア様まで既に入会済みとは思わなかった。
そしてこの会の会長が母上なのも驚きだ。
母上は全てに関して優先だったしな。
まぁ幸い男性陣が少ないことは良かったかな?
髭もじゃのおっさんに頬にキスなんて絶対に嫌だからな。
確かその後・・・。
「どうシンシア?入会するかしら?」
姉上が胸を張る。
「・・・もう少し詳しくお聞きしても?」
「構わないわ。」
シンシアは結構慎重派なんだな。
「この入会に際し、何か支払うものはあるのですか?」
「ないわ!」
流石にお金を取るようだったら僕も口を挟むところだったな。
「ただし、先程も言った通りこのカードを肌身離さず持っていてもらうわ。もし、紛失した場合・・・。」
「ふ、紛失した場合・・・。」
シンシアの唇が震える。
「退会してもらうことになるわ。」
「た、退会!?」
「当然よ。カードを紛失するということはルーを愛していないに等しい行為よ。」
マジかよ。
「また、今後一切の入会も出来なくなるしルーに会うこともできないから気をつけることね。」
厳しいなおい!
てかそれって俺の意志関係ないの!?
「る、ルーティン様に会えなくなる。」
シンシアが恐怖に震える。
「それだけこの会は厳しい掟の元、ご褒美も大きいのよ。」
「ご褒美とは?」
「その資料にも書いてある通り、ランク毎の恩恵もそうだけどお友達に紹介することでこの“ルー人形”がプレゼントされるわ!」
どこから出したのか不明だが、姉上の手の上には僕にそっくりな人形が乗っている。
「これは!」
「可愛いでしょ?」
「ええ!」
シンシアのテンションが上がる。
てかこの人形は誰が作ってんの!?
視界に入った母上がピースサインする。
母上えぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!
「ですからシンシア。ルーを愛でる会に入りなさい。そうすれば私はこのルー人形を貰えるのよ。」
だからアーリア様が悪い顔になっていたのね。
って納得するか!
「・・・先程の資料といい、今のお話といい、まだこの会はできて間もないのですか?」
「ええその通りよ。この会はできて間もないわ。今からちょうど一ヶ月ほど前よ。」
結構最近だ。
「私たちもこのような会を表だって立てるとは考えていなかったわ。けれどこれは必然だった。」
必然なの!?
「・・・できれば経緯を聞いても?」
「ええ。・・・ルーが体力つくりをするようになってからよ。」
僕の体力つくりがどう関係してるんだよ。
「ルーが体力つくりをすることで、広場に出る機会が増えたの。その結果、ルーの姿を見る者が増えたわ。そうなってくると皆、ルーの可愛さにあてられてルーの専属メイドになりたいというものが殺到したわ。」
「想定できることですね。」
シンシアが頷く。
アーリア様も頷く。
僕は頷かない!
想定なんてできるわけねぇーだろ!
「それだけだったらいいの。けれど、中にはよからぬことを考える者も出てきたのよ。・・・ルーを誘拐しようと企てた者がね。」
「誘拐!?」
シンシアが驚いて口元を押さえる。
マジで!?っと僕も驚く。
「ええ。まぁ誘拐は未然に防いだわ。・・・その後その者を見た者はいないわ。」
怖ぇーーーーー!!!
「そのことを家族会議した結果、母上が管理する会、“ルーを愛でる会”が設立したのよ。もちろん父上も全面的に支援してくれるわ。」
親馬鹿通り超えて大馬鹿だろ!
嬉しいけどね!
「なるほど。そのような経緯があったのですね。」
「ええ。だからこそ私たちは信用できるものにこの会に入会を勧めているわ。その点、シンシアは合格よ。」
審査ありかい!
シンシアが息を吐き、優しい目で姉上を見る。
「マリネお嬢様。」
「何かしら?」
「私も入会させてください。」
シンシアは丁寧に頭を下げた。
「もちろんよシンシア。じゃあ手続きをしましょう。ラムザ、ルーをお願いね!」
「畏まりましたお嬢様。」
ひょいっとラムザが僕を抱っこする。
ラムザの首からは会員カードが垂れ下がっている。
ランクはカッパーらしい。
「この身に変えましてもお守りいたします。」
「よろしくね。ではシンシアいきましょう。アーリア様も特典の受け取りに来て頂いてもよろしいですか?」
「ええ。」
そうして彼女たちは笑顔で向かった。
僕はもう何も言わない・・・泣きてぇ。
そういう流れで今僕はラムザに抱っこされてるんだっけ。
チラッと上を見ると、可愛い寝顔である。
けれど腕は外れない。
・・・どこにこんな力があるんだろう。
「坊ちゃまどうぞ!」
ミリアが竜田揚げを口に運んでくれる。
僕は迷わずに食べる。
うん、美味い。
やはりタルタルソースは素晴らしいな。
竜田揚げを噛みしめながらふと思う。
・・・ラムザって言うほど胸が小さいかな?
確かに見た目はスレンダーだけど出るとこは出てるし、何より頭に当たるこの柔らかい感触。
B・・・いやもしかしたらCはあるかもしれないぞ!
なんか寝てる女性の・・・いやこれ以上は言わないでおこう。
罪悪感がより増すからな。
今は無邪気に料理を頬張ろう!
美味しいな~。
僕は考えることを止めた。




