計画26
大広間の大きなテーブルに国王とアーリアは座る。
壁際に、騎士たちやメイドたちが並ぶ。
「では食事会を始める前に、ルーが考案した料理を食べて頂きます。」
「うむ。」
パンパンっとマクスが手を叩くと、サリアたちが料理を運んでくる。
料理がテーブルに置かれ、国王が笑みを浮かべながらそれを見た瞬間、笑みが崩れる。
「・・・これは・・・。」
「竜田揚げ、ですわね。」
アーリアの言葉を聞いて、国王は眉間にしわが寄る。
「マクスよ、これは竜田揚げでよいのか?」
「え、ええ。」
「ふぅ~。」
ため息をついて、眉間に手を置く。
「竜田揚げ・・・か。ということは鶏肉なのだな。」
コトっと竜田揚げの横に白いソースが置かれる。
「うん?こっちは何だ?」
「マヨネーズ、見たいですけど・・・。」
「こちらはタルタルソールになります。」
サリアが答える。
「タルタルソース、ということはルーティン様が考案したのはこちらのソースなのですね。」
サリアはニコっと笑う。
「・・・マクスすまないが、皿を変えてはくれぬか?」
大広間がざわつく。
だが、国王の近衛兵たちは当然というように頷く。
「まぁまぁお父様、一口ぐらいは食べてもいいのではないですか?」
「アーリアよ、私が鶏肉が嫌いなことは知っているだろう。」
「知っていますが、子どもみたいに駄々をこねないでください。ルーティン様の前ですよ。」
「うっ。」
ルーティンを見て、俯く。
「まったくもうお父様ったら。では、先にいただきますね。」
アーリアはナイフとフォークを器用に使い、竜田揚げを半分に切る。
「あら?」
少し違和感を感じたが、気にせずタルタルソースを切った竜田揚げに少し乗せる。
「では、いただきますわ。」
フォークを口に運び、竜田揚げを食べる。
皆の目がアーリアに集まる。
噛んだ瞬間、アーリアは気づく。
「これは!」
1回1回丁寧に噛めば噛むほど、味が鮮明になってくる。
「・・・マグロ?」
「何!?」
国王が驚いて立ち上がる。
口の中の竜田揚げを飲み込む。
「マグロだわ。この竜田揚げは鶏肉ではなくマグロよ。」
今度は近衛兵たちがざわつき、使用人たちが笑みを浮かべる。
「全然臭くなくて、身が引き締まっていてとても美味しいわ。それにこのタルタルソースの酸味が竜田揚げをさっぱりにしてくれているわ!」
「ハハハ。アーリア様大正解です。」
マクスが満面の笑みを浮かべる。
「今回、ルーティンが考案したのはタルタルソースだけでなく、このマグロの竜田揚げもです。国王陛下、どうぞご安心ください。」
「う、うむ。」
国王は竜田揚げをそのまま食べる。
口の中に広がるのはマグロの味である。
「ふぉぉぉ!」
国王の目が見開かれ、ニ口目に進む。
今度はタルタルソースをたっぷりとつけて頬張る。
「むふぅぅ。」
口の中に幸せが広がる。
噛むごとに国王の心を幸福が押し寄せる。
飲み込んだ瞬間には心の中が幸福で満たさせる。
「・・・美味いなぁ。」
しみじみとうっとり言葉を発する。
近衛兵たちは喉を鳴らし、使用人たちは歓喜に声をあげる。
「やりましたね坊ちゃま!」
ミリアは笑顔になる。
「うん!」
「流石よルー!」
母上が僕を強く抱きしめる。
「ま、ママ!?」
「うふふ。」
母上は嬉しくて僕の頬にいっぱいキスをする。
「マグロに刺身と焼き魚以外の料理法があるとはなぁ。」
国王はもう一口食べて、笑みを浮かべる。
「ええ!本当ですねお父様!生臭くもないマグロ料理があるなんて知りませんでした。それにこのタルタルソースがまた美味しさを上乗せしています。」
「うむ。確かにそうだな。」
国王は笑みを浮かべながらタルタルソースを見る。
「ハハハ。喜んでいただき安心しました。・・・国王陛下、実はお話があるのです。」
大広間が静かになる。
「なんだマクス?」
「実は今回、ルーティンにこの料理を考案してもらったのには理由があるのです。」
「ほぉ、何だね?」
「はい。実は近頃、マグロが不漁なのです。獲れたとしても小さなマグロばかりでとても国王陛下にお出しできないと考えておりました。ですが、リリスの言葉やルーティンの発想のおかげでこの料理が出来上がったのです。」
「うむ。そうだったのか。・・・原因は何か分かったのかね?」
「横からの発言、失礼いたします。」
マリネがマクスの横に来る。
「原因につきまして、様々な可能性を考慮し、現在調査中であります。」
マリネが頭を下げる。
「ふむ。つまり原因は未だ不明だと?」
「おっしゃる通りです。」
「マリネよ、頭を上げなさい。」
マリネはゆっくりと上げる。
国王が真剣な目になる。
「まずは突然の訪問を謝罪しよう。」
頭を下げる。
近衛兵たちがざわつく。
「静まれ。次にマグロ不漁についての調査だが、王国からも支援しよう。必要なものがあれば申せ。早急に準備しよう。」
「ありがとうございます国王様。」
「次に今度のルーティンの誕生パーティーについてだ。誕生パーティーでのマグロについては私の方で他の者たちに話を付けよう。気負うことないようにな。」
「ありがとうございます国王陛下!」
マクスが頭を下げる。
「ただし!」
チラッと国王を見る。
「この竜田揚げは出してくれるとありがたいがな。」
国王はニコっと笑った。
「はい!」
また使用人たちから歓喜の声が上がる。
「うむ!では食事会にしようぞマクス。」
「ハッ!国王陛下!」
その後、料理が次々に運ばれてきて、立食パーティーになった。




