計画20
公館は漁師たちで賑わっていた。
「領主様直々に集められるなんてな!」
「だな!なんだろうな~。」
「おい!浮かれてんじゃねぇよ!もしかしたらマグロのことかもしんれねぇーだろ!」
「まったく若い連中はお気楽だな。」
「なんだと!」
「やんのか!ああぁ!!?」
「くだらんな。お前たち若造は静かに待つことも出来んのか。」
「うるせぇ!じじい!」
「やめろよお前ら!なぁ、リガントは何か聞いてないのか?」
「う~ん。」
リガントは腕を組んで考える。
「やっぱりマグロのことじゃないか?この前までは豊漁だったのに、つい最近になって不漁になっただろう?その原因調査とかじゃないか?」
「やっぱりそうだよな。俺たちが不甲斐ないばかりに領主様たちはマグロを食べれてないもんな。」
「え!?領主様たちは館にマグロがまだ残ってるって言ってなかったか!?」
「あれは嘘だよ。俺たちぐらいになれば、献上した量ぐらいだいたい把握してる。」
「そ、そうだったんですか・・・。」
「マズいな。未だに不漁の理由がわからないのに・・・。」
先程までの賑わいが嘘のように重い空気が漂う。
ガチャッ。
扉が開かれ、セバスが入ってくる。
「皆の者!静かに!領主様の入室である!」
全員が立ち上がり、お辞儀する。
「皆の者、面を上げ、席についてほしい。」
言われたように行動する。
「今回、集まってもらったのは他でもない。マグロの漁についてだ。」
全員が息を呑む。
「皆が一番知っていると思うが、最近のマグロ漁は不漁だ。それについては報告書も上がっている。相違ないな?」
全員が重く頷く。
「リガント。」
「はい!」
「不漁の理由について、何か分かっていることはあるか?」
「申し訳ありません領主様!原因はわかっていません!」
「ふむ。ロンじぃはどうだ?」
「すまんな領主様。ワシにもわからん。」
「ロンじぃにもわからないのか・・・。他の皆はどうだ?」
気まずそうに誰も答えない。
「つまり皆、わからないのだな。」
マクスはため息をつく。
「隠していても仕方がない。皆にはハッキリと言っておく。」
皆の視線が集まる。
「実は3日後、息子であるルクスが帰郷する。」
「ルクス坊ちゃまが?」
「それでマグロを!」
「ルクス坊ちゃまには悪いけど・・・。」
「ま、まぁでも小さいのでいいならまだあるしな。」
「おいおいそんなこと、この場で言うなよ!」
皆がざわつく。
「問題はそこではないんじゃろ領主様?」
ロンじぃの声に静かになる。
「鋭いなロンじぃ。」
「ふへっへっ。ルクス坊が帰ってくるぐらいで公館に集めないじゃろ。」
「じ、じゃあいったい・・・。」
「実はな、ルクスが帰ってくるときに一緒に国王様がご訪問なされる。」
静寂が訪れる。
全員、マクスが何を言っているのか理解できない。
ロンじぃだけは理解し、胸を押さえている。
「・・・こく、おう、さま?」
「国王様!?」
公館が阿鼻叫喚になる。
「ふーっ、ふーっ。こ、国王様じゃと!?大事じゃないか領主様!?」
「その通りだロンじぃ。」
若い漁師はよくわかっていないのか首を傾げている。
「リガントさん、何で国王様がご訪問されることが大事なんですか?」
「馬鹿野郎!お前!国王様はマグロ好きで有名だろうが!」
「え!?そうなんですか!?」
「そうだぜお前!ここに訪れるたびに、国王様はマグロを満足そうに食べて帰るんだよ!ここから王国までは遠いからな。新鮮なマグロが食べれず、王国に対して不満に思ってるんだぞ!」
「本当ですか!?」
「マジだって!」
ロンじぃは深呼吸して自分を落ち着かせる。
「そうなるとじゃ。ここに集められたのは国王様がご訪問される前に何としても立派なマグロが必要じゃからじゃな。」
「ああ。なんとしても立派なマグロを手に入れてほしい。できないだろうか?」
漁師たちは全員視線が彷徨う。
唯一ロンじぃだけは真っすぐにマクスを見る。
「領主様の頼みじゃ。断りはせん。だが、獲れるという保証も出来ん。」
ロンじぃは背中を椅子に預ける。
「明日にも報告しようと思っとったんじゃがな。」
「何だロンじぃ?」
「実はのぉ。最近は不漁すぎて稚魚ぐらいしか獲れんのじゃ。」
「何だと!?どういうことだ!?」
「すみません領主様。俺たちも原因がわからないんですが、1週間くらい前からマグロが獲れてないんです。だから、船を出してマグロを探す範囲を広くしてるんですけど・・・。結果は思わしくないです。」
「くっ!」
マクスは拳を握りしめる。
「それでは皆の者もマグロを食べれていないのか?」
「備蓄の分のみですね。」
「そうだったのか。私は何も知らなかったのだな。」
マクスは頭を下げる。
「すまない皆、領主として、事実を知らなかったこと、深く謝罪する。」
漁師たちが動揺する。
「や、やめてください領主様!?俺たちが報告しなかったのが悪いんです!」
「そうじゃぞ領主様、あんたに責任はない!ワシらの責任じゃ!」
「そうだよ!」
「そうだ俺たちが悪いんだ!」
「領主様すまねぇ!」
皆が謝罪の言葉を投げかける。
「皆・・・ありがとう。よし!どうにかして1匹でもいいから立派なマグロを獲るぞ!」
「オーーーーー!」
領主と漁師たちは一致団結した。




