計画10
「では、ご案内しますね坊ちゃま。」
「うん!」
「まず、この場はレシピ室になります。」
「レシピ室?」
「はい。この部屋で食堂担当のメイド、私を含めて4人と2人の料理人が話し合い、新たなレシピや、アレンジレシピを作ります。」
「うんうん。」
「一応紹介させていただきますね。料理長のライオット・ボーマン。」
「よろしくな坊ちゃん!」
ライオットと呼ばれた髭の生えた中年ぐらいのおっさんがニカッと笑う。
ボーマンということはサリアの父親なのかな?
髪の色は白に近い銀髪だと思われる。
理由は髭がそうだからである。
腕が太く、腹は俗にいうビール腹である。
頭には髪の毛を落とさないためにバンダナを巻いている。
「隣に座っているのが、料理長補佐のグリム・ボーマンです。」
「こんにちわ坊ちゃん。」
グリムと呼ばれたライオットとは対照的に細い男が会釈する。
目が細く、少し神経質そうな印象っぽく見えるがそんなことはなさそうである。
とても優しい口調だ。
髪の色はサリアと同じ銀色である。
兄妹?それとも姉弟?
「2人は私の父と兄になります。最後に食堂担当メイドの3人です。右からリズ、ビビ、リカです。」
3人のメイドが立ち上がり、スカートの裾を持ってお辞儀する。
「以上6名で働かせていただいています。」
「は~い。」
「では、隣の部屋に行きましょう。」
サリアに続いて隣の部屋に入る。
「ここが、厨房になります。ここでは父と兄が調理をし、我々メイドが坊ちゃまたちにお食事を運ばせていただいています。」
厨房には食器や調理道具が綺麗に整頓されている。
というか冷蔵庫がおられる!
・・・いい時代だな。
というか日本にあった家電は結構あるな。
無いものと言えばテレビぐらいか?
エアコンはあったしな。
関係ないけど車もなかったな。
馬車は車には入らないよな?
おっと、サリアの話を聞かないと。
「もし、嫌いな物、苦手な物がありましたら私たちメイドにお伝えしていただければ父たちにお話し、料理から外すこともできます。」
「そうなんだ。」
といっても僕は特に好き嫌いはないな。
前世でも好き嫌いがないことが自慢だったし。
う~ん苦手かなと思うのは虫料理かな。
イナゴの佃煮とか、蜂の子とか見た目が嫌だよね。
「そういえば坊ちゃまは何でも食べますよね?」
「そうですね。坊ちゃまが食べ物を残しているところを見たことないです。」
「料理がおいしいからだよ~。」
ニパッと笑う。
「その言葉、父様が聞いたら喜びます。」
お!なんか誇らしい顔になってるね。
サリアもお父さんが好きなんだな、きっと。
「坊ちゃまは偉いですね~。」
「みんなは嫌いな物があるの?」
「そうですね。確か旦那様は紅茶が苦手で、奥様は辛いものが苦手です。ルクス坊ちゃまはナスが嫌いで、マリネお嬢様は苦いものが嫌いですね。」
「へ~。」
「他にもありますが、それはメモしてありますので、ご興味がおありでしたらお聞きください。」
「うん!」
大切なことなのでよく覚えておこう。
でも、姉上は苦いものが苦手なのか~。
てことはコーヒーに砂糖とミルクを大量に入れる派だな。
僕は砂糖少々入れるのも好きだし、ブラックで飲むのも好きだな~。
でもミルク、テメェだけは認めねぇ。
「ねぇねぇミリアたちはいつご飯を食べてるの?」
「私たちですか?私たち使用人は朝は坊ちゃま立ちより先に済ませます。お昼ご飯は休憩の時間に軽めの物、夕ご飯は坊ちゃまたちが食べた後ですね。」
「パーティの時はお昼ご飯を抜くこともあるし、夕ご飯が夜遅くの時もあるわね。」
「そうよね~。旦那様たちが盛り上がると夕ご飯も抜くことがあるし。」
「でも、ご飯食べられないより私は夜遅くに寝るのが嫌ね。お肌に悪いもの。」
サリアは自分の頬を撫でる。
「そうかな~私はご飯が抜きの方がヤダな~。」
ミリアはお腹を撫でる。
うん、サリアは団子より花で、ミリアは花より団子かな?
でもサリアの肌って言うほどかな?
綺麗なんだけどな~。
そう言えば以前に付き合ってた娘にそんなようなことを言ったら滅茶苦茶怒られたな~。
やっぱりどの世界でもお肌の手入れは大変なんだな~。
「ミリアやサリアは嫌いな物は無いの?」
「私はありませんね。牛乳は少々苦手ですが、日々の努力の為にも飲んでいます。」
サリアが両手でグッとガッツポーズする。
日々の努力って・・・。
おっと、これ以上は踏み込んではいけない。
「私は王国にある“納豆”という料理が苦手ですね。あのねばねばが慣れません。」
ミリアは照れ臭そうに笑う。
なんと!納豆も存在するのか!ぜひ、食べたい!
「納豆食べてみた~い。」
「え!?う、う~ん。サリア、何とかなる?」
「え~っと、少々難しいかもしれません。」
なぜだ!?
「どうして?」
「納豆は宮廷料理なんです。普段は王族しか食べれません。たまに王族が出席するパーティで出されるぐらいですね。」
マァジ?
「私はマリネお嬢様のパーティの時にお嬢様に進められて食べたことしかないのですが、あの一度っきりで結構です。」
「私もマリネお嬢様の時ぐらいですね。私は嫌いではないですが、レシピがわかりません。申し訳ありません坊ちゃま。」
サリアが頭を下げる。
「そっか。残念だね。」
誠に遺憾である。
納豆が納豆様だったとは。
元日本人としては朝ご飯に納豆とみそ汁は鉄板なのに。
そこに漬物、特にたくわんと焼き魚があったら最高です。
「最後にこちらが食糧庫です。」
「ここには保存のきく物が多くあります。また、地下にはワインセラーがございます。」
ほぉ、地下があるのか。
「ワインセラーも見れるの?」
「残念ながら旦那様の許しがないことには入れません。父様なら入れますが、失礼ながら坊ちゃまにワインはまだ早いと思います。」
だよね~僕もそう思うよ。
うんうん、子供はお酒を飲んではいけない。
ん?そういえばこの世界は何歳からお酒が飲めるんだ?
「坊ちゃまも15歳になれば飲めますよ。」
ナイスだミリア!
てか、意外と早いな。
でも、日本も昔は立志式とか何とかで大人の仲間入りするんだしそうでもないのかな?
・・・たぶん。
でも僕はワインよりカクテル派です。
甘いお酒最高だよね?




