Episode.2-3
「こんにちはー」
と、ハが笑顔で扉を押す。
木製の重たそうな扉は、ギィッと音を立てて俺たちに道を開けた。
「ヤウ、ガイロウか? …… 押すな! 外に開け! 何回言ったら覚えるんだ!」
小柄な体躯にシャツの上からでも分かるほど逞しい筋肉。茶色の長い髭を二本の三つ編みにしたおっさん。ドワーフだ!
「でも、内にも開くじゃん」
と、悪びれる様子もないハ…やう? カイロウ?
「元々は外開きだ! お前がいつも押して入ってくるから、内にも開くようになったんだろうが!」
まったく……と、ドワーフのおっさんは呆れ顔だ。禿げた頭が明かりを反射して、部屋がいっそう明るくなっている。ような気もする。
まぁいい、とドワーフのおっさんは諦めて要件を聞いてくる。
「今日はどうした? 嫌に機嫌が良さそうだが……」
「冒険者になったんだ。さっき」
後ろから見ている俺にはハがどんな顔をしているのかは分からないが、きっといつもの笑顔を浮かべていることだろう。
ハに反してドワーフのおっさんの表情は、目を見開き口をパクパクさせて、かなり驚いたようなものだ。
「驚いた。また塔に潜るのか……そうか」
驚いていた。ドワーフのおっさんは少し間を開けて、なにかに納得したようにさっきまでのような調子に戻る。
「それで、後ろのはパーティーメンバーか?」
ドワーフのおっさんは俺を見てそう言うと、つま先から頭のてっぺんまで値踏みするように見てくる。
「そう。新しいマスターだよ」
マスター? ハは何を言っているんだろう。俺は主人になったつもりは無いが……
マスター、可愛い女の子になら言われたくはある。ご主人様とかも悪くない。むしろ良い……けど、こんなおっさん相手じゃ嬉しくも楽しくもない。
「そうか。それじゃあ、ここに来たのは勧誘目的ってことか……いいだろう、表に出な」
どういうことだろう。ドワーフのおっさんは両手斧を担いでやる気満々だ。
俺たちは言われるがまま外へ出る感じに……
ギィッと音を立てて扉が開く。
「ヤウガイロウ! 出る時は押せぇ!」
ドワーフのおっさんが叫んだ。
やっぱヤウカイロウって呼んでるよね……名前呼ぶ度にめっちゃ笑ってたし、からかわれてたのか……




