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98.事情聴取


「ただいま、帰りました」


「あっ、皆さん。よくぞご無事で……!」


 家に入ると、真っ先に玄関へと駆けてくるアリシアさん。

 あれから色々と探し回っていたのだろう。


 表情に少しばかり焦りが見えていた。


「せ、聖剣は……どうでしたか?」


「有益な情報は手に入れることができました。ですがその前に、あの場にいた使用人の方全員をリビングへと集めていただけませんか?」


 そうアリシアさんに話すと、俺は最後に一言付け加えた。


「これから、緊急会議を開きたいので……」




 ♦


 

 俺たち一同はリビングに集結していた。

 俺とソフィアとイリア、そしてアリシアさんとあの場にいた使用人全員だ。


 これから当事者たちでイリアの事情聴衆を含めた緊急の会議が行われる。


「イリア、詳しい話を聞かせてくれないか? 覚えている範囲でいい」


「う、うん」


 イリアはコクリと頷くと、自分の知る限りの情報を皆に教えてくれた。

 あんなことになった経緯やそして犯人がどんな人物だったかまで。

 

 記憶にあること全てを吐きだしてもらった。


「……わたしが覚えている情報はここまでよ」


「そんなことが……」


 この話で一番衝撃を受けていたのはアリシアさんだった。

 イリアが説明を終えるのと同時に、アリシアさんは口を開いた。


「申し訳ありません、イリア様。私の不手際で、お辛い想いをさせてしまって……」


 滅多に見ないアリシアさんの懺悔だ。

 表情もいつものクールさはなく、かなり落ち込んでいるようだった。


「あ、謝らないでくださいアリシアさん! わたしなら大丈夫ですから……」


 イリアはいつにも見ないアリシアさんの雰囲気に少々焦りを見せていた。

 

 とにかく、話を端的に纏めるとこうだ。


 その人物が犯行を犯したのは休憩中だった。

 俺たちが別室で休憩をしている中、イリアはたまたま一人部屋に入っていく使用人の姿をみたとのこと。


 ちなみに部屋内は特殊な結界で守られていたから、誰も入れないはずだったのだが、その者は悠々と中に入っていったらしい。

 そこで怪しんだイリアも様子見で中へと入ったことで、犯行現場に遭遇。

 

 たまたまとはいえ、目撃したイリアは犯人を捕まえようと試みるが、逃がしてしまい、王都内に逃げ込まれた。

 イリアはそれを追いかけ、例の都内公園へと追いつめたのだが、その際に数人のローブ集団と会し、返り討ち。


 それから数十分後に俺たちに発見された、というのが大まかな流れだ。


 要するに犯人は使用人に紛れ、誰もいない時間を狙い、結界を破壊して部屋内に進入し、聖剣を奪ったということになる。


 犯人たちの特徴は使用人の恰好をした者以外、全員黒ローブを羽織っており、フードを被っていたためか、顔までは分かっていないらしい。


 ただ、使用人に扮していた人物は女で蒼髪で顔立ちは20代くらいだったとのこと。

 暗闇で明瞭には見えなかったが、とにかく若い女が事件の犯人らしい。


 ちなみに他には特に犯人たちを象徴づけるものが何もなかったためか、それが犯人を識別する唯一の特徴となった。


 あとイリアがいうには聖剣を運ぶ際にアイテムボックスが使われたのこと。


 まぁ現実的に考えて、聖剣(あれ)を手に持って逃げるのは現実的ではないからな。


 あとはローブの集団が男だったってところくらいか。

 理由は体格的なところと、去り際に仲間と話しているところを聞いた時の声質が男っぽい感じだったらしい。


 返り討ちに遭って意識が朦朧としていたからか、内容までは覚えていないとのこと。


 結局、そっちに関しては黒ローブを着ていたということ以外は証拠になるものはなさそうだった。


(黒ローブの集団か……)


 最近やたらと出てくるワードだ。

 でも共通しているのはほぼ間違いないと言ってもいい。

 

 こんな状況でこんな事件が起きれば、犯人は王都占領計画を企てている一味……そう考えるのが自然だ。

 

 と、なるとあのアジトにいた誰か、ということになるな。


 でも動機が分からない。 

 そもそもなぜ聖剣を奪ったんだ? 


 それに屋敷には護衛の騎士も一定数いる。


(どうやって忍び込んだというんだ……?)


 考えれば考えるほど、頭が痛くなってくる。


「蒼髪の使用人か……アリシアさん、その人物に心当たりってあります?」


「いえ、それが記憶にないのです。わたしは屋敷にいる使用人全員の顔を名前を覚えているのですが、そのような特徴を持った者は……」


「そうですか……」


 これは外にいる護衛騎士にも話を聞く必要があるみたいだな。

 う~んと頭を悩ませ、考えていた……その時だ。


「あ、アリシア殿! 大変です!」


 急にリビングの扉がバタンと開き、護衛の騎士たちが慌てて中に入ってきた。


 どうにも普通じゃない様子だが……」


「ど、どうなされたのですか?」


 恐る恐るそう聞くアリシアさんに騎士の一人が少し早口で答えた。


「う、裏庭に人が……人が倒れているのを発見致しました!」

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