#13 【神聖な水/Hallowed Water】
(R!)
水脈がすかさず駆け寄ってきた。
(無力化できたんだから、もういいでしょ!)
(いや、肝心なのはこれからだ)
Rはバジルを射竦めた。
(さて子羊、まずはこの家に来た目的を話せ)
(お、お姉様……)
(おいおい)
Rは素早くバジルの両足も切って地面に転がした。四肢は、切断こそ出来ないが、10秒のあいだ機能不全に陥らせることが可能だ。
(ちょっとR!)
(よく見ろ、ダメージは最小限だ)
Rは横向きに倒れているバジルを見下ろすと、レイピアを額に突き付けた。
(口への潤滑油は十分だろ? 聞かれたことにだけ答えるんだ、いいな)
(わ……、分かりました)
バジルは弱々しく頷いた。
※ ※ ※
【神聖な水/Hallowed Water】
青白/レベル2/ロークラス
分類:回復
効果:対象のアバターかユニット1体を3点回復し、身体異常を元に戻す。
効果:ユニットがアンデッドだった場合、回復の代わりに3点ダメージを与える。このダメージによって退治したときは、「攻1/速1/生1で特徴《快速:2》《飛行》」を持った「サイズ:小」の精霊ユニットを、自分の支配下で出す。
特記事項:青と白を1レベルずつ持つ呪文とみなす。
「味方は人生の癒し。敵は人生の潤い」 ――ケンタウロスの教え
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収録版:EV
※ ※ ※
(まず、バジル……いや、現実では美登里か。お前はなぜここに来た。渚の命を狙っていたのか?)
(違いますわ。市ヶ谷マホロバ女子学院の友達として、お兄様が亡くなられたのを少しでも慰めに来ただけです)
(嘘だな)
一刀両断したRは、わざと語気を荒らげた。
(俺との関係を知っていて来たんだろう!? 仲良くなって取り入ったあと、一家皆殺しにするためにな!)
(そんな!)
Rのカマ掛けに、バジルは今までで一番激しく反発した。
(お姉様といえど心外ですわ! それに、もし出会った直後にお姉様が忍び込んだエージェントだと知っていたなら、水脈ちゃんを逃がしてます!)
(む)
図らずも自分がバジルの無実を証明した事に気付き、Rは顔を顰めた。
(だが、Rという名前から、類推ぐらいはしたはずだろ)
(お姉様自身が仰ったことを信じましたわ。「格好いいRさん」とは縁もゆかりもない、と)
(――チッ)
駄目押しの逆捩じまで食らう。
(そうだとしても、今は知ったわけだろ。俺とお前は敵同士で、自分は身動きできない現状だ。水脈を逃がさなくていいのか?)
(大丈夫ですわ。お姉様は卑劣なことをする方ではないと分かりましたので)
(誰に聞いた)
(聞いたのではなく、見たのですわ。――たった今まで、わたくし自身が)
バジルの真摯な眼差しに、Rは鼻白んだ。
(仲間は何人いる)
(叔父様のお手伝いをされている研究員の方々でしょうか。それとも、叔父様が雇用している鴉身防犯会社の人達でしょうか)
(荒事はどっちが強い)
(それなら防犯会社の方達ですわ。少数精鋭と言いましょうか、そちらは6名全員が手強いです)
(そいつらの、仕事時のアバターは)
(リーダーが鴉で、サブが牛、他は猿と蛇と馬と羊ですわ)
(ふむ)
――参ったな。Rはレイピアを消して頭を掻いた。
話した感触で分かったが……、どうやらコイツ、マジに知らねえぞ。
Rは【無の領域】を解除すると、四肢の使えるようになったバジルを助け起こした。
(すまねえな、バジル。あまりにタイミングが良すぎた)
(いえ、お姉様との蟠りが解けて何よりですわ)
握手がてらのフレンド登録を交わしたのち、バジルは身嗜みを整える。
(けれどお姉様、御園居研究所が呪文を盗んだというのは誤解ではないのですか?)
(残念ながらな)
(そうですか……)
顔を曇らせるバジルに、Rは人差し指を立てた。
(1つ聞いていいか。なぜ素直に話した。敵であるはずの俺に)
(それは……。お姉様が、ナギちゃんのお兄さんだからですわ)
(ああ、そう捉えたか)
温順な推論に、Rは苦笑した。
(俺はな、うっかり彼の記憶を持っちまっただけのNPCだ。俺自身もちょくちょく間違えるが、ただのコピーデータなんだよ)
バジルは意味を反芻するかのように静かに目を閉じた。しばらくしてから瞼を開けると、Rの手を優しく握ってくる。
(それでは、尚のことナギちゃんに会ってあげて下さいませ。色々な思い出を語ってくださるだけでも、辛さが和らぐと思いますわ)
(さて、どうかな。変態野郎はお呼びじゃねえらしいからよ。……ん?)
そのとき、【衛星球】の視界に、〈蛇人〉と〈馬人〉の姿が飛び込んできた。地表50mほどの東の空から、それぞれ【敏速】付きの【金属の翼】と《天使の羽》を使って接近中で、まさに「飛んで」来ている。
蛇の衣装は中世ファンタジーから抜け出してきたような薄汚れた革鎧で、馬の方は社交界から抜け出してきたような黒のスーツだ。どちらも御園居研究所に居た奴で、一目散にこの場へ向かっている。
(おい)
Rの眼光がやにわに鋭くなった。
(蛇と馬が飛んできたぞ。胸には……、ああ、バッジが見えたぜ)
(えっ?)
蛇がクルクルと錐揉み状態を披露してくれたおかげで判明した。格好付けは、大抵アホの証明にしかならない。
バジルは困惑の表情を浮かべた。
(な、なぜ、防犯会社の人達が……?)
Rの方を気遣わしげにみるバジルだったが、ハッと何かに気付いた素振りを見せると、胸元に手を当てた。奴らが来る原因に思い至ったらしい。
手動に切り替えた【衛星球】を縦横に向けるが、他に接近する飛行物体はない。
(バジル、俺のことを誰かに話したか)
(えぇ。先ほど、二人だけ……)
(誰だ)
(一人はナギちゃんです。もう一人は……)
バジルは思考を途絶えさせた。
(言え、バジル)
Rの催促に、バジルは口元を押さえた。
(も、もう一人は……。お、叔父様、です……)
バジルは小刻みに全身を震わせた。
(一瞬で呪文を放つ凜々しいお姉様がいることを……、興奮しながら、叔父様にお話し致しました……)
水脈と違い、【精神感応】での暴露はないが、潤んだ瞳は何よりも雄弁に物語っている。あのハイテンションで打ち明けたのであれば、恋愛感情はともかく、気の置けない仲であったのは確かだろう。
しかし、情報が漏れたのは確実にそこからだ。
(何故ですか、叔父様……? どうして、本当のことを仰って下さらないのです……?)
(さてな。だが、それで俺の殺害が目的だと分かったら、どうする気だ)
バジルは瞑目して頭を振った。
(分かりません……。ですが……、この件でお姉様と敵対したくはありません……)
堪えきれなかったのか、バジルの目から涙が零れた。
(叔父様の会社がお姉様を殺めたという事だけでも胸が張り裂けそうなのに……。もし、再びお姉様を亡き者にしたら……、ナギちゃんに、会わせる顔がありません……)
――亡羊の嘆、ってやつか。
Rは、バジルにつけた【寄生虫】を解除し、完全に自由にした。
この昏迷具合が演技だとしたら、俺は自分の見る目の無さを呪ったあと、お前を完膚無きまでにロストするだろうよ。
湿っぽいのが苦手なRは、慰めるのは水脈に任せて上を向いた。青いオーラの蛇と赤いオーラの馬が、少し離れた場所で着地体制に入ったのが肉眼でも見てとれる。吹き出しによると、蛇にドメインはなく、名前は「蛇燻・ダブルタング」。馬の方はドメインが【繁文縟礼】で、名前は「瑪瑙・エ・ノコブ」らしい。
(【終了】しろ、バジル。そしてしばらく入るな)
(いえ……、彼らに尋ねてみます)
(そうか)
完全に立ち直るには暫く時間が必要だろうが、濡れた瞳には悲壮な決意が宿っている。
(危なくなったら声を掛けろよ)
(はい)
目を充血させたバジルが奴らに近づくのと入れ替わりに、Rは水脈の前に立った。
(水脈、お前は【終了】しておけ)
(大丈夫、危なくなったらちゃんと出るわ。それよりも、バジルの結果を見届けたいの)
(お前な……。水質保全なんか出来ねえぞ)
ったく、へなちょこスライムのくせに……。
Rが嘆息しながら首を巡らせると、蛇が先割れの舌をチロチロと覗かせながら、嬉しそうにバジルの出迎えに応じていた。
「よぉよぉ~、バジルちゃ~ん。その岩ウサギをよく見つけてくれたね~ぇ。【追跡】は楽だったけどさぁ、途中で消えたら追えないじゃないか~。フレンドリストにもなかなか来なくて、焦っちゃったよ~?」
「バッジを、【追跡】したのですね……」
淡々と告げたバジルは、つと顔を背けた。
「これは、叔父様が親切心で付けてくれたものですわ。悪用するためではございません」
「悪用? いやいや、してねえじゃ~ん」
蛇は、バジルの逸らした視線の先にニュルリと立ちはだかった。
「俺らはよぉ~、バジルちゃんを助けに来たんだぜ~? それによぉ、【芳香】付きのバッジとかさ~、『【追跡】してくれ』って言ってるようなもんじゃ~ん?」
「もし本当に助けてくださる気がお有りなら、もっと早くお越し頂かなくては。間に合ってませんわよ」
冷ややかに見据えるバジルに、蛇はヘラヘラしてみせた。一方、その後ろにいた馬の方は、胸に手を当てて頭を下げる。
「これはこれは、手厳しい……。誠に失礼致しました、バジルさん」
上辺こそ折り目正しい〈馬人〉だが、節々から慇懃無礼さが滲み出ている。すでにドメインの【繁文縟礼】はRの【不毛の地】が壊したが、これを選んでいたということ自体がムカつき具合に五割増しだ。
胡散臭い微笑みを見せつける馬は、体を抱き竦めるバジルに対して優しく歩み寄った。
「私達が遅れたのは弁解のしようもございません。ですが、ここまで来られたのは、そのフィアンセさんが貴女を尊いものだと念頭に置いておられたおかげですよ? 誠に良かったですねぇ」
「本当に、叔父様の指示なのですか?」
「もちろんですとも」
能弁を垂れる馬は、大仰に頷いてみせた。
「愚かな盗人に鉄槌を下すのです。正義は我らにあり、ですよ」
「それは、殺すほどの悪事でしたか?」
「おや、悪党の肩を持つと仰る?」
「いいえ。ただ、罪に対して罰が重すぎると言っているのですわ」
「おぃおぃ~。つれないなぁ~、バジルちゃ~ん」
蛇が馴れ馴れしくバジルの肩を叩いた。
「マホロバは、無法が法なんだぜ~? それとも、弱い奴は泣き寝入りしてろってのか~い?」
「たしかに、無法が法ですわね。新しい呪文に、余所様が開発したシステムを無断使用するのですから」
「ありゃ~? あのオッサン、バラしちまったのか~? しょうがねえな~」
悪びれる風もなく、蛇は薄っぺらい舌を出し入れさせた。
「この業界、パクりパクられが当たり前だよな~? 特に、古巣から追い出されたオッサンが、腹いせに盗むんだぜ~? 他人がどうなろうと、知ったこっちゃね~よな~!」
よっぽど面白かったのか、蛇は頤を解いて嘲弄した。品のない笑い声が辺りに響き渡る。
「なるほど……。そう、でしたか……」
ぐっと左胸の羊毛を押さえていたバジルは、口惜しそうに背を向けた。
「ならばわたくし、お姉様とはもう戦いません」
「あっれぇ~? そうなの~?」
「はい。少なくとも、叔父様から直接お話を伺うまでは」
「あ~りゃりゃ~……。まあ、バジルちゃんも、あんな男女にやられたらショックか~」
蛇は意に介した風もなくシャーシャーと笑った。
「しょ~がねぇな~ぁ、瑪瑙~。俺らだけでやるかぁ~?」
「やむを得ませんね、蛇燻」
蛇と馬が、Rに向かってニタニタと笑みを浮かべながら近寄ってきた。
(水脈、下がってろ)
流石に弁えていたのか、水脈はこくんと頷くと、即座に10mほど後ずさる。
対照的に、一歩前進したRは、増援のなかった二人に向かって大袈裟に呆れてみせた。
「おいおい、2対1かよテメェら。囲んでボコるしか脳がねえくせに、その程度の頭数でいいのか?」
「ハハッ、ほざくな~、オマケの分際で。3対1でクタばっただろ? ハンデだよ」
「言うに事欠いて、ハンデとはな」
Rは耳をかっぽじりつつ片目を眇めた。
「そういうのは、せめて1VS1張ってから言えや」
「え、なに? 悪ぃ、聞こえねえわ、雑魚の声なんざよ~」
蛇は金色の瞳をギラつかせて舌なめずりをした。
「気付いてるかィ、オマケのRちゃ~ん? テメーの表示は、NPCになっちまってるんだぜ~? そぅ~よ、雑魚の代名詞になぁ~? ――いや、《不死》を使っても死ぬあたり、マヌケのRかな~?」
「いえいえ、蛇燻。幽霊なのですから、オバケのRですよ」
「おぉっ、ウマいな、瑪瑙~」
蛇に褒められた馬は、顎に手を当ててしたり顔を披露したのち、その手でRを指差した。
「まぁ、二人で散々イジらせてもらいましたがね……。Rさんを買ってるんですよ、私達は」
「はあ?」
胡乱な目で睨むと、馬は貼り付けたような笑みを浮かべた。
「浮かばれない存在になったことで、随分と価値が上昇したようでしてね、大化けのRさん。浮き草稼業の雇い主が、『やったやった』と殊の外浮き立ってましたよ? いやあ、あなたは素晴らしい」
「歯の浮くような台詞だな、浮ついた駄馬。全部グラついてるから、総入れ歯にしろや。浮き世じゃなくて、あの世でな」
Rは手早く計算した。蛇は青に馬は赤。御園居研究所で見たオーラと同色とはいえ、こんな逃げ場の多い場所で【大海嘯】に【灼熱地獄】といった大味な魔法をブッ放してくるほどアホでもあるまい。当然、呪文構成は変えてきているだろう。
と、馬のスーツの胸ポケットから、「緑のハンカチーフ」こと、【森妖精】が顔を出した。すかさず彼女と自前の魔力を用い、【狐の手袋】をマナップしてくる。
――ちっ、当世流行の緑赤か。Rは顔を顰めた。
「紳士のくせにサイコロ振るのかよ」
「嗜み程度ですがね」
赤い光が弾けるや、余裕ぶった馬の傍らに狐人間のユニットが出現した。ソンブレロにポンチョという西部劇スタイルで、革手袋をした手には一辺20cmほどの六面体ダイスを持っている。
馬は流麗な手つきで、次なるキーカードの【サイコー!】を準備し始めた。
「さ~て、オマケちゃん。こういうのはどうかな~?」
入れ替わりに、蛇が【無知】をマナップした。青レベル2の領域呪文で、【呪文の達人】系の特技の意味をゼロにする効果だ。吸血鬼時代には、トコトンまで辛酸を嘗めさせられた呪文でもある。
――やれやれ、なんで【無知】はレベル2なんだよ。軽すぎンだろクソが。EVが出始めの頃、カッチリ極まって死にかけたわ。
「ありゃ~、キマっちまったなあ~」
当然Rの逸話は知っているのだろう。舌を気色悪く波打たせた蛇は、【無知】が決まって嬉しそうに小躍りした。【無の領域】なら解除できるが、生憎とレベル4のため、単純に張り合うと魔力消費量の多い黒が負ける。向こうは消し合いになっても張り直せるよう、おそらく3枚は積んでいるだろう。
直後に馬が緑の光を放ち、【サイコー!】をジギーに付与した。祝福系の魔法で、付与されたユニットまたはアバターの確率系能力が「最高」となる効果だ。つまり、六面ダイスを振れば6が出るのである。サイコージギーの屋台骨だ。
「おやおや~? オマケちゃんの呪文構成は、【呪文の達人】が銀2に黒1、【魔法熟達】もおんなじでチュよね~ぇ? アラアラ、呪文が撃ちづらくなっちゃいまチュたね~ぇ」
巷に出回る「有名人の呪文レシピ」でも覗き見したのだろう。幼児に話すかのように、舌足らずな言葉で蛇が囃し立てた。
ジギーは、ダイスの出目分のダメージをユニット1体かアバター1人に与えられる。つまり、【サイコー!】が付与されたジギーなどは真っ先にツブす必要があるのだが、そこを蛇が執拗に妨害するスタイルなのだろう。【無知】によって一発あたりの呪文コストが重くなったため、Rの除去呪文を蛇が軽い【中止呪文】で叩き落としてくると不利だ。そこでモタついてるうちにダイスが大回転すると、あっという間に死の淵へ転がっていくだろう。
また、折角【無知】を張るなら、蛇燻も【森妖精】を忍ばせるべきだが、フェアリー系は脆弱なため、一掃されるのを嫌って予め出さないという戦略もまァ理解できる。蛇はユニークタレントに《二重魔法》があるため、マナさえあれば一度に二体出せるからだ。先にRを動きづらくしたのちに隙を見て展開し、じっくり甚振る腹積もりだろう。
ここまでを速断したRは、全くもって見当違いの彼らに対し、鼻で笑った。
「無知、か……。まさにお前らだな、何も知らねえときた」
「なにぃ~?」
Rは、二人の死角で構えた右手でコッペリアをマナップした。たまゆら静かになった戦場だが、即興で二重奏の哄笑が響き渡る。
目を細めた馬が、閑雅にRを指差した。
「おぉっと、失笑でしたね、オマケさん……、もとい、コッペパンマスターのRさん。――あのぉ、ひょっとして、【踊る自動人形】のレベル、ご存じないのですか?」
「存じ上げてるぜ、よ~~~~くな」
Rはコッペリアを飛び掛からせた。直後、ジギーがダイスを振る。出目は当然のように6で、ダイスから特大の炎が巻き起こった。一直線にコッペリアへと襲い掛かるが、Rは【放棄】して逃がす。
――こいつら、俺が蘇ったことは何故か知ってやがったが、《速射》や魔力の瞬間回復については知らねえな。仮に知ってたら、こうも余裕ぶった態度は取れねえ。
Rは、後ろ手で三コマ待ってからコッペリアを瞬間召喚した。すぐさま攻め立てるが、蛇の【巨大な盾】が割れるだけで、ダイスを拾ったジギーが再びサイコロ遊びに興じ、キッチリ6を出される。Rは先程同様にコッペリアを戻す。
「は~い、これでオマケちゃんは打ち止め~。大人しくしまチョうね~」
蛇が手を叩いて冷やかした。たしかに、魔力の容量は8しかないから、レベル4の【踊る自動人形】を2回出した以上、召喚はお休みだ。蛇と馬の攻撃に備えるべく、【死の衝動】を使ってマナの回復を図るのが精々である。
――とか何とか、シケたこと思ってンだろうな、こいつら。
Rは冷笑した。
「無知なテメーらに、知らない世界を教えてやるよ」
Rは堂々とマナップし、3度目のコッペリアを呼び出した。




