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白翼の堕天使  作者: 紡未夏樹
第四章
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第三部 〈紫と同棲の予感〉

 突然の転入生が現れたその日の放課後、またも面倒な事態に巻き込まれた黒羽。

「北条君! 君はどれだけハーレムを作るつもりだいっ!?」

 早々に帰り支度を始めていた彼の元に現れたのは、先日激闘を繰り広げたような気もする、イケメンだ。

「何の用事ですか」

 黒羽は、心底面倒くさそうにして、その言葉に応じる。

「また君の周りに女の子が増えたらしいじゃないか」

「え、アレ、カウントするんですか」

 いきなり現れた紫蘭をなぜカウントするというのか。

「分かってないなー北条君は! こういうのは増えてくものだよ?」

「はあ」

 何の話をしているのだろうか。

「これ、北条。そなた今、私の事をアレ呼ばわりしただろう」

「げっ」

 いつの間に現れたのか、黒羽の背後に紫蘭が立っていた。

「お前いつの間に……」

「監視なのだから当然じゃろう」

 何をおかしなことを言っておるのだ、と紫蘭。

「そもそも、今、帰ろうとしていたじゃろう。帰るときは私に声を掛けるのじゃ。付いて行くからの」

「何でだよ」

「監視じゃ」

 仕事に真面目なのか、融通が利かないのか、何を言っても通じそうにない。

「じゃあ、先輩、そういう事ですので、また今度」

「ああ、また今度。上手くやりなよ」

「何をですか……」

 時たま理解しがたい言動をするこの先輩は、今回も何を言っているのかさっぱり分からなかった。


「ところで北条」

 帰路の途中にて。

「この娘はなんじゃ?」

 当たり前と言うか何というか、黒羽の背後には彩芽が居る。

「聞きたいのは私なんだけど……くろにぃ、誰なの? この人」

 彩芽は彩芽で、不機嫌さを隠そうともせずに黒羽に問う。

「あー、そうだな、転入生だ。俺の監視をするらしい」

「は? 監視? 何で?」

 黒羽の端的な情報では、いまいち状況が呑み込めないらしい。

「北条の魔力が危険という事で、なぜか私に白羽の矢が立ったのじゃ。全く、上の人間も臆病じゃのう」

「ほー、なるほど。くろにぃ強いもんねー」

 納得したとばかりに首を大きく振る彩芽。

「そして、こいつは俺の幼馴染の大神彩芽だ。俺の家に居候してる」

「なんと、年頃の乙女が男と同棲とな?」

「その言い方は止めろ。別に何も起こらん」

 という黒羽の言葉に彩芽は、

「そんなこと……」

 ない、と続けようとして、彼女の気持ちに気付きながらも、本当に何も無かったことを思い出し、落胆する。このままでは進展が無い。もっと刺激を与えねば。

 静かに決意する彩芽である。

「ところで京極院」

「紫蘭で良い」

「じゃあ紫蘭。もう家に着いたんだが、まさか家の中にまで入ってくるつもりか?」

 流石にそんな面倒なことはしたくない。今日も今日で色々あったのだ。少し休みたい。

「ふむ、今日はこの辺にしておくかのう。また後日、上がらせていただくぞ」

「そうか、じゃあな」

「うむ」

 紫蘭はそう言って、元来た道を帰って行く。どれだけ仕事に律儀なのだろうか。というか、特殊な術を掛けるのっではなかったのだろうか。

 面倒事に巻き込まれたくはないため、追及はしないのだが。


「……ふぅ……」

 今日は特に疲れた。関係ないと思っていた転入生が、まさかここまで関係してくるとは。

 今日の出来事、主に紫蘭関係の事を思い出していた。

「監視……ねぇ……」

 とはいえ、黒羽も何か事件を起こそうと考えているわけではない。力が暴走する可能性は無きにしも非ずだが、今のところ、そんな予感も無い。

 ——バンッ!

「北条! 何をしておる!」

「紫蘭っ!?」

 黒羽はぎょっとする。突如開かれた扉から現れたのは、件の監視者、紫蘭だった。

「ってお前、何で入って来てんだ!?」

 慌ててタオルで前を隠す黒羽。

「お主こそ、そこで何をしておる!」

「風呂入ってるだけだよ! 何でお前が来てるんだ!」

「なに? 風呂じゃと?」

 怪訝そうな顔で黒羽を見る紫蘭。その眼が、前を隠しているタオルに止まる。

「おおおお、お主! 何て恰好をしておる!」

「さっきから風呂だっつてんだろ!?」

 なぜ黒羽の周りの女性は話を聞かない者が多いのか。


「——で、何の用だ。何かあったのか?」

 落ち着きを取り戻すまで数分。

 紫蘭には脱衣所まで戻ってもらう。遅れて登場した彩芽も同じく脱衣所だ。

「そなたに仕掛けていた術が、急に動かなくなったのでな、様子を見に来たのじゃ」

「いつの間にそんな……」

 そんな素振りは一切なかった。どういう仕組みだろうか。

「服のポケットを見るがよい」

「あー、彩芽、頼む」

 流石に裸で出ていくのはまずい。

「? なんか金属の破片みたいなのが出て来たよ?」

「それだな。私の術の触媒じゃ。急に動かなくなったからどうしたかと思うたら、こういう事か」

「いつ入れたんだよ……」

 恐らく、ポケットに入っていたために、脱衣所から動かない触媒を、不審に思った紫蘭がこうして突撃してきたという事なのだろう。

「——しかしこれでは不便よのう……」

 何やら思案顔をする紫蘭。

「これでは何かあってもすぐには来れぬし、そもそも何をしておるのか把握できぬ」

 監視するものとしてのプライドだろうか。

「決めた! 北条、私もここに住むぞ!」

「はあ!?」

 何を言い出すのだこの女は。つい、そう考える黒羽。

「それが一番手っ取り早いぞ! 私は天才じゃな! 早速千春殿に連絡せねば!」

 そう言うが早いか、彼女はそそくさとその場から立ち去る。

「また面倒なことになったね」

 彩芽の言葉も、若干疲れているように聞こえた。

何だかよく分からない話になりました、夏樹です。

実は、活動報告にある通り、新たにこの作品を書き直すことになりました。詳しいことは活動報告を読んでいただければと思います。

新たに出来上がった場合、活動報告と、Twitterにてお知らせしますので、お気に入りユーザ登録、もしくはTwitterのフォローをしていただければと思います。

ではでは新生・白翼の堕天使でお会いしましょう!

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