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「で、これが……その……取材先のヒーローチームの新しいコスチュームの案ですか……?」
ここは、ショッピングモールのフードコート。
向いに居るのは、大学の頃の特撮研究会の後輩だった古賀。
俺は、その古賀に、取材先から渡された資料(と言っても、流石に機密情報は入ってないが)を見せている所だ。
はっきり言って、古賀は、呆れ顔だ。
「いくら何でも、俺達や、それより齢上の特撮ファンに媚び過ぎでしょッ⁉」
俺のノートPCの画面に表示されているのは……昔の戦隊モノのコスチュームを、対異能力犯罪広域警察の「レンジャー隊」の強化服風にアレンジしたモノ。
いや、「レンジャー達」の強化服そのものが、昔の戦隊ヒーローっぽいけど……それ以上に……その……。
「装甲すげ〜薄そうですけど……」
「多分、特殊な繊維か何かで……」
「すげ〜スリムなデザインですね」
「何が問題なんだ? 格好いいだろ?」
「スーツの中に人工筋肉とかは入ってない?」
「言われてみりゃ……」
民生用の強化服や、一般的な「正義の味方」が使ってるそれらの強化服の改造機は……たしかに、ボテっとした感じだ。主に、古賀が言ってる人工筋肉なんかを組み込んでるせいで……。
「電動モーター式のパワーアシスト機構も見当りませんね……」
「だな……」
「でも……重量は、昔の特撮ヒーローのコスチュームと同じと仮定すると……」
「いや、だから、きっと、丈夫で軽い特殊繊維か何かでな……」
「じゃあ、銃弾や打撃や刃物に対する防御力は問題ないと仮定しましょう」
「何か、『棘が有る』と『心配事が有る』が半々ぐらいの口調だな」
「このマスク、防毒じゃないですよね?」
う……言われてみれば……大概の「正義の味方」のマスクは、顔の下半分は防毒マスクになってる。
しかし、この資料に載ってるスーツは……格好良さ重視で、防毒機能が有るようには思えない。
「催涙ガスを使われたら、一発でやられるとか……そんな事は……」
「え……えっと……その……きっと中身がすげ〜奴なんだよ」
「催涙ガスを食っても大丈夫な何かの能力を、メンバー全員が持ってるんですか?」
「催涙ガスを使うような卑怯な敵なんて、そうそう……」
「あの……『魔法使い』系への対処方法としては、催涙ガスは定番ですよ。精神集中出来なくなったら、魔法を使えなくなるのが大半だし、『魔法』の中でも『気功』系は、呼吸が重要な筈……」
「だから、これは、俺達が考えるヒーローの参考にするだけで……」
「ああ、そうですか。で、話戻しますけど、スーツの性能は、下手したら民生用の……」
「スーツの性能がヒーローかどうかを決める訳じゃないだろッ‼」
「でも、どう考えても、民生用の高性能人命救助仕様の強化服の方が性能が圧倒的に上にしか思……」
「だから、性能は決定的な要素じゃないって、さっきから何度も言っ……ん? どうした?」
古賀は、しばらく考え込む。
考え込む。
まだ、考え込む。
えっと……。
その……。
何だ……?
言いたい事が有るなら……。
「あの……じゃあ、このヒーローって、変身無しなくても、すげ〜奴が、正体隠す為にコスチューム着てるだけ?」
「え……えっと……そうなるな……」
「それって、変身ヒーローって言うんですか?」
「変身ヒーローだろッ‼ 変身してるッ‼」
「スーツに着替えてるだけ……」
「それ言ったら、アメコミのスーパーマンは、背広脱いでるだけだろッ‼」
「でも、スーパーマンはヒーローですけど、変身ヒーローじゃ……」
「うるせ〜よッ‼ 何が不満なんだッ⁉」
「あの……これって、俺達が観たかった変身ヒーローなんですか?」




