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俺達で変身ヒーロー特撮を復活させる……筈が……アレ?  作者: HasumiChouji
第1章:堕落への旅路(ヴィランズ・ジャーニー)
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「大丈夫ですか?」

「いえ……おかまいなく……」

「あ……あの……インタビューとかは……少し休まれて、体調を回復してからの方が……」

 体力が落ちてる上に、外の気温は30℃台後半。その状態で、6階建てのビルの屋上まで階段で登り、そして下りて、隣のビルの4階まで、またしても階段で登る。

 目的地らしい部屋に辿り着いた途端、眩暈がして倒れてしまった。

 意識を取り戻した時には、休憩スペースらしい場所のソファの上。額には濡れタオル。

「あ……ああ、そうですね……はははは……」

 そこは……普通の雑居ビルの一室だった。置いてあるモノなんかの違いは有るが……それを除いたら、俺の昔の職場と大して変らない。

 オフィス用の机。オフィス用の椅子。

 オフィス向けの機種らしいノートPC。下手したら、退職金で買った、俺のノートPCの方が性能だけは上かも知れない。……いや、撮影後に、その場で、即、仮編集とかやりたいので、軽いけど動画編集もそこそこ出来る程度の性能のヤツだから、ワープロ打ちがメイン目的のPCより、俺のノートPCの方が性能が上なのは、当然だけど。

 サーバーらしい機器は有るが……まぁ、中小のオフィス向けっぽい。俺の昔の職場に有ったファイル・サーバーよりも、結構、高性能っぽいが、そんなに特殊な機器とは思えない。

 だが、普通の中小企業のオフィスにしか思えないここは……現実に存在する『正義の味方』のアジトらしい。

「すまん、スポーツドリンクか何か買って来てくれ。2〜3本な」

「はい……」

 男の方の「正義の味方」がそう言うと、女の方が返事する。

 机は多いが……ここに居るのは、この2人だけ。

「え……えっと……たった2人だけ……?」

「いえ、私と彼女は後方支援チームです。前線に出るメンバーは、今、ここには居ません。お互いに信頼関係を築けてから、紹介しましょう」

 なるほど……慎重だ。

 たしかに、ヒーローの正体がバレたら……本人や身近な人間に危険が及ぶ。

「何か、映画かドラマを撮影するので、現在、活動している一般的なヒーローの実状が、どんなモノか知りたい、との事でしたが……」

「え……ええ、その通りですけど……」

「すいません。あらかじめ、おわびしておきます。私達のチームは『一般的なヒーロー』じゃ有りません」

「へっ?」

「他のヒーロー・チームは秘密主義が過ぎる。そうせざるを得ない理由は判りますが……それでも、危険過ぎる。そう思って、我々は、既存のヒーロー達の組織を脱退して、新しい組織を作ろうとしてるんです」

「え……?」

 いや……ちょっと待て……。

 たしかに、昔のようなヒーロー特撮を復活させるにしても……今のヒーローがどんなモノかを反映した方が良い。

 そう考えたのは確かだ。

 何せ、現実に居る「ヒーロー」達は、仮面ライダークウガのグロンギ族が出現しても、メ集団ぐらいまでなら、クウガの手を借りずに撃破出来そうなのがゴロゴロ居る。

 仮面ライダーファイズのスマートブレイン社みたいな組織が有っても……会社ごと潰すのは無理でも、そんな組織が裏で何かやってる事を、あっと言う間に突き止め、妨害工作をやるだろう。

 異世界からやってくる魔物を退治する魔法騎士や魔法少女か何かの組織が存在する……そんな設定の話を作るとしても、困った事に、ヒーローであれ、ヴィランであれ、「魔法使い」系はゴロゴロ居る上に、現実の「魔法」は、どちらかと言えば「心霊術」と呼んだ方が良いモノか、悪霊祓い系が主流だ。本当に、異世界から魔物や悪霊が現われても、対処はお手の物だろう。20年以上かかったとは言え、実際にマジで、「正義の味方」の組織が主導する事で、九州最大最悪の心霊スポットと言われた国立第5魔法学園跡地の内、約50%の「浄化」に成功している。

 昔のようなヒーロー特撮を、今、作りたいなら……現実の「ヒーロー」達が、何が出来て何が出来ないかを調べておく必要が有る。

 だって、今の時代、人間の犯罪組織であれ、怪人であれ、悪霊とか魔物とかであれ……そんな奴らが出現しても、どこからともなく、ヒーロー達が駆け付けるのが……今の時代の現実における「当り前」なのだ。

 敵をどんなタイプにするのであれ、「対処出来るのは主人公達だけ」って理由付けを、ちゃんと考えとかないと、話が不自然になる。

 そう思っていたのだが……。

 ええっと……ヒーローはヒーローでも、取材相手が反主流派のヒーローだとしたら……俺にとって必要な情報は入手出来るんだろうか?

「私達の新しい組織は、これまでと違い、警察その他の公的機関と積極的に連携していく方針です。一般人の皆さんには身元を明かさないのは、これまで通りですが、警察などの信用出来る公的機関には、我々がどこの誰なのかを登録するつもりです」

 う……う〜ん、たしかに、これまでの「ヒーロー」みたいな……法的には「黒と見分けが付かないグレー」状態は抜け出せるんだろうが……その……。

 けど……この男の次の一言で……俺達が作るべき作品のコンセプトが決った。

「だって、おかしいと思いませんか? 違うチームのヒーローさえ、『中の人』が、どこの誰なのか全く知らない正体不明の何者かが、護国軍鬼のようなフザけた戦闘力を有した個人兵装を使ってるんですよ? たった数人で、数百人規模の犯罪組織やテロ組織やカルト系魔法結社を潰せる化物達の中身が、どんな人物なのか、他のチームのヒーローさえ知らないんですよ? マトモな状態じゃない。いつ、ヒーロー達が暴走して、社会の敵となるか知れたモノじゃない。ヒーローという存在が、この社会に必要なら……そのヒーロー達は、ちゃんとした公的機関が管理・指揮すべきです」

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