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魔物の飼い方

「それで、この卵がどうしたんですか?話の流れからすると、お使いに関係あるんですよね?」


 シューリンガンの話には触れず、シアンが卵について聞いた。


「うん、思いっ切り関係あるよ。何しろ、この卵の為にお使いをしてもらってたからね。」


「どういうこと?」


 言っている意味が分からずに聞き返すと、すぐには答えずクレアは卵に近づいた。


「お使いの理由を話す前に、お兄ちゃんたちはペット用や召喚用以外で魔物を飼う方法を知ってる?」


「それは知らないな。シアンはどうだ?」


「漫画みたいに力を示したり、波長が合うというか気が合うというか……ようは向こうから勝手に懐くという話なら聞いた事があります。」


「他にも飼いたい魔物を調教してもらうなんて方法もありますが、そちらは大金が必要だから活用する人は限られていますね。」


「へー、そんな商売もあるんだ。初めて聞いたな。」


「俺も初耳。」


「利用者が少ないうえに、調教師になるには国の厳しい試験を合格しなければなりませんからね。二人が知らなくても仕方ないですよ。」


「ちなみに私はシューリンガンちゃんに聞いてたから、もう知ってたよ。もし魔物が言う事を聞かないなら、腕のいい調教師を紹介するって言われたんだ。」


 ラーシェからの調教師についての説明が終わると、ついでのようにクレアが言ってきた。

 そしてそれを聞いたラーシェが、訝しむように眉根を寄せる。


「……腕のいい調教師を紹介するとか言ってますけど、厳しい審査や山のような手続きを済ませないと呼べない筈なんですけどね?そのシューリンガンさんの家は、どれだけ大きいんですか。」


「この国一番と言っても過言じゃないくらいか?シューリンガンはあだ名だから知らなくても仕方ないけど、家名の方は誰でも知ってるくらい有名だからな。」


「誰でも知ってるくらい有名な家……。だとするとシューリンガンさんの家は限られてきますが、いったいどの家の事を言ってるのでしょう。」


 暈しながら伝えたとはいえ、貴族の出もあってか瞬時に有名な家の候補を考え始めるラーシェ。

 その姿にシューリンガンの正体を知った時を想像して少し笑っていると、クレアとシアンにジトーっとした目を向けられてるのに気付いた。


「なんだよ、その目は。何か言いたいことでもあるのか?」


「いえ、別に……ただ、悪い顔をしてるなと思って。」


「死神の漫画に出てくる、主人公みたいな笑い方だったよね。」


「もしかしてアレクさん、真っ黒なノートを持ってたり、林檎が好きな死神が視えたりしてる?」


「んな訳ないだろ。もしノートを持ってたら、この場で真っ先にカゴットの名前を書いてるよ。」


 人を悪役扱いするカゴットに殺害宣言をすると、思考の海に沈んだラーシェを引き上げて話を最初の質問に戻す。


「それでクレアは、なんで魔物を飼う方法を聞いたんだ?なんかお使いにも関係あるとか言ってたけど。」


「実はシアンお姉ちゃんと先生が言ってた方法以外にも魔物を飼う方法があって、それを実践する為に魔力が必要だったの。だから毎日、使用人の人たちにお使いに行ってもらってたんだ。」


「だからあんなにお使いを頼まれてたのか。」


「クレアの場合、蓄積魔法で食べた物を魔力に変換できますからね。通りで一日に何回も頼まれる筈ですよ。」


 始めはお使いの回数が多いと口にしていたラーシェとカゴットだったが、クレアの話を聞いて納得していた。


「とりあえず魔物を飼うのに魔力が必要なのは分かったけど、そんなに魔力を蓄えてどう使うんだ?まさか産まれたばかりの魔物に圧倒的な力を見せて、恐怖とかでペットにするのか?」


「もう、そんな訳ないでしょ。魔力を蓄えていたのは、こうする為だよ。」


 半分冗談で言った俺の言葉に呆れた様子でクレアが返すと、魔力の使い方を見せる為に優しい手付きで卵に触れた。


「見た感じ特に変化はないけど、何をしてるんだ?」


「今は私の魔力を卵に注いでるんだけど、こうすると産まれてくる子が私を親と認識して言う事を聞いてくれるんだよ。」


「へー、そんな方法があるのか。それは知らんかったな。」


「私も魔物の飼う方法は幾つか知っていましたが、この方法は初めて知りました。よくクレアは知っていましたね?」


「ネフィーさんが教えてくれたの。今は滅んでいないみたいだけど、この方法で魔物を従わせていた古の部族の秘術だって言ってたよ。」


「なんで学園の校長が、そんな秘術を知ってんだよ。普通そういうのは、専門の学者とかが知ってるものだろ。」


「普通の校長ならそうですけど、相手はネフィーさんですからね。お城にも伝手があるみたいですし、そこから仕入れた可能性もありそうですよ。」


「だとしても、滅びた部族の秘術なんて簡単に調べられないと思うけどな。」


「そこはルーベルさん理論だろ。あの人も、どこで仕入れたのか分からない知識を大量に知ってるんだからさ。」


「そこで兄さんを出すか……。」


 カゴットに言われて納得したような口振りで言葉を漏らす俺だが、本当は兄さんの知識が前世の物というのを考えながらも話す訳にもいかず、これ以上余計なことを喋らないようにと口を噤んだ。

お読みいただきありがとうございます。


次回もお楽しみください。

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