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甲子園4連覇チームを倒す話  作者: @tokizane
第■■■回全国高等学校野球選手権大会東東京大会決勝戦 青海大学付属高校対松濤高校
68/102

7回表 勘違いしているのはそっちのほうです

《青海視点》


(もはやなんの驚きも……なんの感慨もない)

 今村はただそう想う。

 7回表も青海の攻撃は無得点に終わった。


  青海0000000  |0

  松濤000000   |0


 青海の7番8番が淡泊なバッティングで凡退する(三振、セカンドゴロ)。桜相手にチャンスメイクができない。

 格下相手に追いつめられつつある格上。

自分たちの背中を押す学校関係者の応援が今日に限って心理的な圧迫感をあたえる。「なぜいつもどおり得点が奪えない? あの程度のピッチャー、下位打線でも打てないはずがないだろう?」と。

打ち損じてあっけなく2アウト。

 だが9番御手洗。

 インコースのスライダーを引っ張り、打球はファーストの頭上を突破しライトの横を抜ける、ツーベースヒット、セカンドに悠々と到達するスタンディングダブルだ。

 これが7回表にしてこのゲーム初の長打である。

 迎えた打者は佐山。

 相手選手を眼で殺しかねない熱視線。

 身体が大きく見える。

 内野席からのほとんど女性陣から送られてくる声援に応えるでもない。

 笑顔を見せて打席に入るでもない。

 いつもより深く集中している。

 ブラスバンド部が鳴らす日本のヘヴィメタルの名曲も耳に入らない。

 灼熱の太陽が地上にもたらす熱気も。

 球場の全光景も。

 あるのはただバットを素手で握る感触、

 眼に入るのは相手投手の全情報。

 そして脳裏をよぎるのはスタンドで声をからし応援する野球部員の一人、

 泡坂の世代で唯一高校3年間ベンチ入りが叶わなかった一人、■■の存在だ。彼一人だけがプレイヤーとして全国4連覇の栄光に浴していない。

(■■が見ている。この状況で打たずなにが『男』だ)

 佐山はまだ桜がなにをしているかわかっていない。

 初球ストレートが低めに外れる。

 どんなボールがきても打つつもりだった佐山だがこの悪球は見逃す。

 同時に振り返り、

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()姿()()()()()

 佐山は2塁ランナーを止めてから口走る。

「け、敬遠しようとしていた? だが桜は指示を無視しストライクをとりにきていた……」

 キャッチャーが外し、主審が見守る虚空にむかって投球を敢行した。

 片城が敬遠するため外に構えるも、納得しない桜はストライクをとりにきた。

 これは策ではない。

 勇気でもない。

 ただの愚行。

 松濤がタイムをとる。1年生たちがマウンドに集まり、黙ったままの桜が地面を強く蹴る。

「勘違いするな片城!! オレは100パー打たれねー!!」

 中原は呆れ華頂と逸乃が理を諭そうとしている。

 片城は冷たい眼で投手を見ている。

「自分一人のためにこのゲームがあるんじゃないですよ。勘違いしているのはそっちのほうです」

 ファーストの屋敷だけが中途半端な位置、そしてプレイングマネージャー勢源が外野から『馬鹿声』を発揮、伝令者の夙夜にその指示を伝えた。

 夙夜がグラウンドに降りなぜか屋敷と一緒に球審の元にむかっていく。

「えーと、申告故意四球……? です」と夙夜。

「佐山君と勝負しんです(博多弁)。敬遠で1塁を埋めて2番打者芹沢君と勝負」と屋敷。

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