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甲子園4連覇チームを倒す話  作者: @tokizane
松濤高校野球部
18/102

ムカついてきたな

  練習試合の結果



  松濤1000040|5

  青海210026×|11



 アダムと俺の二人がそれぞれの最大長所、駿足と技術でもって苦労して置鮎から1点をもぎとったというにこの試合は両チームあわせ5本のホームランが飛び交う『空中戦』となり、初回の1点の意味あいが薄い大味な展開となった。



(1回裏)桜は立ち上がりを攻められ4番風祭に被弾、2ランホームランであっさり逆転を許す。


「……」と桜。



(2回裏)1番打者に適時打タイムリーを打たれるも最少失点に抑える。青海のリードは2点に広がった。


「桜君はまだ折れてませんよ」と片城。



(4回表)先頭の俺がクリーンヒットを放つも後続が3者凡退でホームを踏めない。例の『優男』の比叡は凡退するとぐぬ顔で走者ランナーの俺を見るのだが、味方の俺じゃなくて敵の置鮎を意識して欲しい。


「どうしてあいつに打てて私には打てないの……?」と比叡。



(5回表)松濤の7番~9番を秒速で仕留めた置鮎はこのイニングでベンチに下がる。終わってみれば5回1失点、被安打3、与四球0、投球数39の好内容(普通の投手にとってはだが)。その不満げな顔を見る限り青海主力として満足のいく結果ではなかったようだが。


「おっかねぇ。本番であいつ投げたら超警戒されるじゃん俺ら」と勢源。



(5回裏)なんとか2死(ツーアウト)ランナーなしの状況までこぎつけた桜‐片城のバッテリーだったが3番にヒットを許すと直後、4番風祭がこの日2本目のホームランをライトを守る比叡のはるか上空に放ち、桜はマウンドに崩れ落ちた。風祭は悠々とベースを一周する。これでリードは4点。松濤の勝率が著しく下がったと俺は認識した。したのだが……。


「ここまで味方が打たれるとムカついてきたな」と俺。



(6回表)青海の二人目の投手を立ち上がりから連打し無死ノーアウト1、3塁のチャンス、そして打者は俺。相手は1年生ピッチャーだ。年下相手に俺が遅れをとるはずがない。3球目ストレート。柵越え。3ランホームランで1点差! 次の打者の比叡は2球目だった。高めに浮いた変化球をとらえソロホームランで一気に同点に追いつく。うーん、たかが練習試合でツキを消費しすぎでは?

 ……松濤の幸運もここまでだった。


「マジでオレが投げんの!?」

 口を大きく開け自分の顔を指さすのはアダムだった。



(6回裏)マウンドを降りたがらず渋る桜(疲労困憊)をなだめて外野に回らせ、松濤の二人目のピッチャーは先制点に貢献したアダムが務める。


「オレ目立ちたくないんだけど……投手とか注目の的じゃねぇか」とアダム。


「チームの事情だ。残念だがおまえに選択権はねぇ」と勢源。


 ほとんど投手としてのトレーニングをこなしていなかったアダムは交代時の投球練習で剛速球を片城のミットにたたき込み観衆を沸かせたが、

 いざ青海打者と対戦となった途端その直球は全球ストライクゾーンを大きく外し、四球でランナーをベースに溜めると今度はストライクをとりにいったボールを全球ライナーで外野まで運ばれ複数失点。

 4番風祭に打順が回ると主砲ロングヒッターはその剛力を発揮しセンターバックスクリーン越えの特大の2ランホームラン(これで風祭は4打数3安打3本塁打6打点)。これで今度こそ試合の趨勢は決した。


「青海が相手だし、仕方ないんじゃないかなって……」と逸乃。



(7回表)青海の3番手投手(3年)がアダムと俺にヒットを浴びながら無失点でしのぎきりゲームセット。



 5対11で松濤高校は敗れた。

 初の対外試合、絶対王者青海相手に終盤まで善戦するもこの結果……そして内容をどう精査すべきか……。

「試合の反省会なんて終了直後、そのときその場でするべきじゃねぇ。敗北してストレスマックスな選手にそんな余裕はないからな」(勢源・談)



 置鮎「青海相手に4の4とか化け物だなおまえ。どうして中等部で辞めたんだ?」


 俺「か、風祭センパイから深刻なイジメを受けて……! うっ、こんなこと戦った相手に言うことじゃない……けど。くっ、今までずっと隠してきた――」


 風祭「そんな事実はない。ないからな置鮎! 二年間一緒にやってきた俺とさっき会ったばかりのこいつどっちを信頼するんだよ! くだらない演技をするな屋敷」

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