どこか、遠い場所での話
どこかの誰かの話。おまけ。
人は欲を持ってしまったのなら、それ相応の強さを持たないといけない。
それが、欲を持ってしまった人間の業であり、宿命なのだ。
*
私は、この世界に散らばる宝を探す、所謂冒険者というやつだ。
「ふぅ……」
目の前には、襲ってきた盗賊達の死体。頬についた返り血を腕で拭い、盗賊達の荷物を漁り始める。
「あ、写真」
ある1人の盗賊の懐には、写真があった。
仲睦まじく写る、親子の写真。──恐らく、この男の嫁と娘だ。そっとその男の懐に戻してやり、金目のものだけ手に、また道を歩き始める。
今のご時世、こういう事は多い。
腐った貴族は多く、民の少ない懐が、すっからかんになるまで税として搾り取り、ただ私腹を肥やす貴族。領民を領民とせず、奴隷の様にしか思っていない。
何でも、貴族のせいでどこか遠い国が潰れたという噂も耳にする位だ。
それに……かく言う私も、貴族のせいで村が潰れ、旅に出るしかなかった口だ。
冒険者なんて、好きでやるもんじゃない。死ぬ可能性の方が高いし、出来るなら定住して、日々に余裕を持って生活をしたい。
冒険者という仕事柄、色んな場所に飛んでいく為に定住権も獲られず、街に滞在するだけでかなりのお金が取られていく。かといって、街の仕事は定住権がある人優先だから、どこからともなくフラッと現れた人には夢のまた夢だ。
そんな消去法でなった冒険者。勿論、楽しい訳がなかった。
「なんでこうなったかな……」
出来れば、もっと楽しい仕事を……と、そこまで思って、彼女は、小さい頃に祖母がいった言葉を思い出した。
『いいかい?人は、欲を持ってしまったんば、強くならないと喰われるだけさい。……だから、あんたは強くならなあかんば』
村特有の方便が入った祖母の言葉は、今でも鮮明に覚えている。
当時の私は祖母が大好きだったから、祖母に従って強くなる努力をした。──結果、私は何とか冒険者と生きられ、盗賊に襲われても大丈夫だった。
「欲、欲かぁ」
先程の盗賊の写真を思い出す。彼はきっと、家族を守りたかった。……きっと、そういう欲を持ってしまったのだ。
人間は、欲からは抗えない。
現に私も、『生きたい』という欲を持っている。
盗賊の彼も、生きたかっただろう。生きて、家族と一緒にいたかったのだろう。
でも、結果は私は強かった。だから、私は生きている。
生きたいという、欲を満たせている。
「結局、人は強くないとダメなんだな」
そんな、小並感を呟きながら。
───今日も私は欲を抱いて、歩き始めた。