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どこか、遠い場所での話

どこかの誰かの話。おまけ。



 人は欲を持ってしまったのなら、それ相応の強さを持たないといけない。

 それが、欲を持ってしまった人間の業であり、宿命なのだ。



 私は、この世界に散らばる宝を探す、所謂(いわゆる)冒険者というやつだ。


「ふぅ……」


 目の前には、襲ってきた盗賊達の死体。頬についた返り血を腕で拭い、盗賊達の荷物を漁り始める。


「あ、写真」


 ある1人の盗賊の懐には、写真があった。

 仲睦まじく写る、親子の写真。──恐らく、この男の嫁と娘だ。そっとその男の懐に戻してやり、金目のものだけ手に、また道を歩き始める。


 今のご時世、こういう事は多い。


 腐った貴族は多く、民の少ない懐が、すっからかんになるまで税として搾り取り、ただ私腹を肥やす貴族。領民を領民とせず、奴隷の様にしか思っていない。

 何でも、貴族のせいでどこか遠い国が潰れたという噂も耳にする位だ。


 それに……かく言う私も、貴族のせいで村が潰れ、旅に出るしかなかった口だ。


 冒険者なんて、好きでやるもんじゃない。死ぬ可能性の方が高いし、出来るなら定住して、日々に余裕を持って生活をしたい。

 冒険者という仕事柄、色んな場所に飛んでいく為に定住権も獲られず、街に滞在するだけでかなりのお金が取られていく。かといって、街の仕事は定住権がある人優先だから、どこからともなくフラッと現れた人には夢のまた夢だ。


 そんな消去法でなった冒険者。勿論、楽しい訳がなかった。


「なんでこうなったかな……」


 出来れば、もっと楽しい仕事を……と、そこまで思って、彼女は、小さい頃に祖母がいった言葉を思い出した。


『いいかい?人は、欲を持ってしまったんば、強くならないと喰われるだけさい。……だから、あんたは強くならなあかんば』


 村特有の方便が入った祖母の言葉は、今でも鮮明に覚えている。

 当時の私は祖母が大好きだったから、祖母に従って強くなる努力をした。──結果、私は何とか冒険者と生きられ、盗賊に襲われても大丈夫だった。


「欲、欲かぁ」


 先程の盗賊の写真を思い出す。彼はきっと、家族を守りたかった。……きっと、そういう欲を持ってしまったのだ。


 人間は、欲からは抗えない。


 現に私も、『生きたい』という欲を持っている。

 盗賊の彼も、生きたかっただろう。生きて、家族と一緒にいたかったのだろう。


 でも、結果は私は強かった。だから、私は生きている。


 生きたいという、欲を満たせている。


「結局、人は強くないとダメなんだな」


 そんな、小並感を呟きながら。



 ───今日も私は欲を抱いて(生きたいと願って)、歩き始めた。

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