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伯爵夫婦、初の夜 2

 寝室へと連れていかれて、私はポツンと1人になりました。朝からずっと人に囲われていたので、変な感じがします。


 フィラント様が去って、程なくして私室に来訪がありました。フローラです。それに侍女達。あれよあれよという間に、ドレスを脱がされて、侍女達が運んできたお湯で体を洗われました。


 突然の出来事に戸惑っていたので、あっという間。


「朝から疲れたでしょう? あらかた挨拶は終わったから休んで大丈夫。フィラント様、レグルスやお兄さんと話が終わったら来るわ」


 ハッとしたら、フローラとソファに並んで座っていて、侍女達はいません。目の前のテーブルには紅茶。


 私が着させてもらった寝巻きは新品みたいです。以前、フローラが買ってきてくれたデザインに似ているので同じお店のものでしょう。レースやフリルが少ない、可愛いというより綺麗な寝巻きです。


「私、フィラント様にお兄様がいらっしゃるとは知らなかったわ。とてもよく似た顔立ちで、驚いた」


 兄弟のことさえ知らないのに、今日から夫婦。私は小さなため息をつきました。張り切ってフィラント様に質問をしていますが、未だにフィラント様の好みのこの字も見つけられません。フィラント様は基本的に、返事が曖昧。


 サンドイッチは好きですか? それだけなのに、気難しい表情で「食べられます」と言われました。食べられる、食べられないという問いかけではなかったのに、実に不思議。フィラント様の欠点は、話を聞かない事だと思います。仕事で疲れて上の空かもしれません。それなら、休める環境作りが必要です。


「私も詳しくは知らないけれど、色々複雑みたいよ。困ったらレグルス様に相談すると良いわ。それにしてもエトワールって結構大胆なのね。挙式、驚いたわ」


 何のことを言われたのか分かって、私の体が熱くなりました。フローラ、ニヤニヤ笑っていそうなので、顔が見れません。


「私は悪女になることにしたの。フィラント様の優しさにつけ込んで、妻の座に居座って、最終的に本物の妻になる。こっちを向いてもらえたら、酷い事じゃなくなるから頑張ろうと決めたの。完全拒否、となったら諦める」


「そんな話、していたものね。なら今夜は頑張ってね」


「そうよ、頑張らないと。フィラント様は私に触らないわ。自ら脱いで……抱きつく……無理そう……」


 お母様に、もう夫婦が夜に何をするのか教わりました。あんなことや、そんなこと。恥ずかしくて無理そうです。想像がつきません。


 かつて、叔母さんの宿屋で男に売られそうになった私。何をされようとしていたか分かったら、余計に男性を苦手に思うだろうと、お父様とお母様は性的なことから私を遠ざけていたそうです。しかし、今回の縁談。そして私のフィラント様への好き好き雰囲気。お母様はこれは、やはり教えておかないとと思ったようです。


 服を脱がされて、裸で抱きしめられるなんてとんでもない。そんなことよりも、もっと、うんと、恥ずかしい事でした。世の中の男女がしていて、そのうちしたい事になるらしいので大丈夫。


 問題は、フィラント様が私に負い目がありすぎて、何もしないだろうことです。それで、私にもそのようなこと、突撃する勇気もありません。キスで精一杯。


 昔、私を買おうとした男性を思い浮かべたら、気持ち悪くてなりません。しかし、フィラント様だと嬉しい気がしてしまいます。キスも……2回目は何故かフィラント様からでした。思い出したら、もう1回したいです。私って現金で、フィラント様限定なら中々破廉恥?


 これなら、夫婦の営みも突撃出来るかも……キスとは次元が違います。


 今夜を逃すと、私とフィラント様には大きな溝が出来そうです。今夜、フィラント様に突撃すると、やはり溝が出来る? フィラント様の表情とか、様子を見ながら決めましょう。


「そんなに心配しなくても、エトワールの予想や妄想とは違うことになると思うけど。ふふっ。正直な気持ちを伝えれば大丈夫よ」


 せっかく相談したのに、フローラは今のままで大丈夫としか言いません。私の行動は、正しいらしいですが、自分では全く自信なし。でも、フィラント様へ勝手に近寄る作戦は続けます。でないと、会話すら出来なさそうです。


「七転び八起きっていうもの。私、面と向かって嫌いとか、別れろとか、ポイッて道端に捨てられない限り諦めないわ。だって、フィラント様は私にとても優しいもの。同情みたいだけど、嫌われてないならいつかきっと何かが生まれるわ」


「何か、じゃなくて恋とか愛ね。私、応援しているからいつでも相談してね。エトワールのおかげで、仕事人間で浮気者のレグルス様が私に構ってくれるの」


 可愛らしいウインクを残して、フローラはティーセットを持って部屋から出ていきました。レグルス様が浮気者? 今度その話を聞きましょう。いつも、私の話ばかりだったので、フローラの悩みも解決したいです。

 

 フローラは、フィラント様は来ると言っていました。しかし、来ない可能性は高いです。その場合、迎えにいかないとなりません。


 とりあえず、あれこれ想定して会話の練習をしようと思います。


 お母様から説明されてから、私の頭の中はこの件ばかり。毎晩、色々と会話の想定をしていました。


 私、今まではあまり欲のない娘だと自負していましたが、蓋を開けてみたら煩悩まみれでした。おまけに自分本位。


 フィラント様が、私を好きにならなくても、自分は他人からとても好かれる人間なんだと気がついて欲しいので頑張らないとなりません!


 私としても、どこかの知らない好きでもない男性のところへ嫁ぎ直しさせられるのは嫌です。

 

 ヴィクトリアや侍女達、フローラに男性の誘惑方法をあれこれ聞いて学びました。


 今夜、実践あるのみです!

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