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一度でいいからと望んだであろう世界で  作者: すずはっぱ
第3章 ハンター生活
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67 ルノウという人物

今回は短いです。申し訳ないです。


それと皆様、ハッピーハロウィン、です(遅い)

「...あなた、何が目的なの?」


馬車に揺られる中、一番最初に口を開いたのはルノウだった。

リリィに己の命を掴まれているというのに、堂々としたたたずまい。流石は元学園長、と言ったところだろうか。


ルノウのその問いに、リリィは微笑み、答える。


「もちろん、命を狙って」


命を狙って。この場合、僕ではなく、ルノウの命を狙っているのだということは誰にだってわかる。

しかし、わからないのはその理由だ。

もしかしたら、ルノウが学園長をしている時に、何らかしらの恨みを抱かれている可能性もあるのだ。

とはいえ、僕が学園に来てからはそのような話も聞いていないし、それより前の話ならば、僕が知るよしもない。


「どうして私の命を?」


ルノウは続けて、質問を投げつける。

その顔は、かなり余裕にあふれているようだが、何か秘策でもあるのだろうか。


「...見せしめですわ」


そんなルノウの余裕ぶりが気に食わなかったのか、少し苛立ちを見せながら、リリィは律儀に質問に答える。


しかし、途端にルノウの首に添えているだけだった手が、ルノウの首をわしづかみにする。


「...!」

「あなたを殺して、その首をさらせば、この世界はかなりの打撃を受けるはずですわ。『ああ、この世界を護る守護者の一人が死んでしまった』と」

「守護者?」


ルノウとリリィの会話の中で、聞きなれない単語が出てきた。

『守護者』ってなんだろう。


「あら、アイラさんは『守護者』をご存じない?」

「...うん」

「ならば説明してあげましょう」

「ま、待って!」


僕の口からはその単語が漏れていたのか、僕が知らないことをリリィが反応し、その説明をしようとする。

しかし、ルノウがそれを慌てて遮った。


「...あらぁ、もしかして、ですけど。知られたくないんですの?」

「くっ...」


これまで保たれていた余裕の顔は、簡単に崩れ去ってしまった。

ルノウをここまで慌てさせる『守護者』という単語は、この世界では一体どういう意味を持つのだろう。


僕がそう考えているのがわかったのか、それとも説明する気だったのか。リリィはにやりと口を歪ませ、説明を始めた。


「昔、昔。あるところに神様がいました。まあ、この神様は後からそう呼称されたものなのですが、本当の名前は誰も知りませんので。そして、その神様は、世界を作りました。

大地を作り、命を作り、魔素を作り。そして、神様はこの世界を守護することに決めました。しかし、ある日事件は起きます」


ここで、リリィは一息つく。恐らく、僕に理解させる時間を与えているのだろう。

ルノウをちらりと見れば、小さく「やめて」と繰り返している。


「神様は、万能では無かったのです。神様が作った世界で自然に生まれた邪気にあてられた神様は、暴走を始めました。

世界は一瞬で壊れて行きました。これまで長い年月をかけて育まれていた文明も、何もかも全て蹂躙されようとしていたのです。

その時、3人の人間が立ち上がりました。その3人は、人間の中でも破格に優れていて、神様を止めようと立ち向かい、互角に戦いました」


つまり、神様が闇堕ちして、それを止めるために正義の味方が立ち上がったってわけか。

なるほど、どこのアニメだそれは。


「しかし、お互いの力は拮抗し続けているのにも時間の限界があります。仮にも神様なのです。人間とは、力の総量が違います。

そこで、3人は決断を下します。そこで行ったのが、『封印』です。『封印』は、あらゆるものを封じ込めることができますが、これには代償が必要でした。

人間2人分の命です」


...僕にも、この先の話はなんとなく察することができる。

恐らくだが___


「3人のうち1人を残し、神様を封印することで、世界は護られました。めでたしめでたし。___さあ、もうお分かりですわね?」

「うん...ルノウが、その守護者の1人、ってことなんでしょ」

「その通りですわ。愚かにも、2人を見捨て、『封印』を出来るのが自分だけだということを利用して、今もなお生きているこの世界の未来への道標。そんなのを殺せば、この世界は面白くなると思わなくて?」

「...」


この話をしている間、ルノウはずっと小さく「やめて」と言い続け、僕が確信を突くと、それきり黙ってしまった。


この話が本当だとして、ルノウは何年生きてきたのだろうか。

きっと、何百年も、罪の意識にさいなまれ続けたに違いない。このことに関しては、確証が持てる。

根拠は、ルノウだからだ。

恐らくだが、何らかしらの魔法を自信に付与しているのならば、僕が見分けられるはず。しかし、その様子は見られない。

ずっと、ずっと、考えていたのだろう。

そして、同じような過ちを犯さない為に、学園を開き、罪滅ぼしをしていた。


...これは、僕の考えすぎだろうか。


「...失望したかしら」

「ルノウ...?」

「リリィの言うとおり、私はあの2人を見捨てたも同然のことをした。そんな彼らから逃げるために、学園を作った。

失望したわよね。一緒に旅をしている仲間が、こんな裏切りをした奴だなんて。...私のことは忘れなさい。そして、アリスちゃんとどこか静かな場所で幸せに暮らしなさい」

「ルノウ、何を言って...」

「きっと、私はここで殺される運命なのよ。そして、あの2人に会いに行く。...いえ、会えないかもしれないわね。私が行くのは地獄で、あの2人は天国だろうから」


僕には、ルノウが何を言っているのか、少しも理解できなかった。

代わりにわかるのは、ルノウが何かを諦めて、受け入れようとしているということだけ。


ほぼ無意識に、僕は手を伸ばす。

しかし、その手はルノウ自身に弾かれてしまった。


「行きなさい、アイラ。アリスちゃんとどこかに。きっと、幸せになれる未来が___」

「うるさい!」


そして、またもや無意識に、僕は叫んでいた。

そんな僕の行動は予想外だったのか、ルノウとリリィは驚いていた。


ああ、やってしまった。それでも、一度口に出したら止まらない。


「何諦めてんの、ルノウ! まだ旅をしている途中でしょ!

ルノウが昔誰だったかなんて、そんなことはどうでもいい。その時の罪を償おうとしていたのかもしれないし、その時の記憶ごと忘れてしまおうとしていたのかもしれない。

それでも、今ここにいるのは、僕の目の前にいるのは、ルノウでしょ!?」

「...!」


そこまで言い切った僕は、息切れを起こして荒く息を吸う。


僕の言葉をどうとらえたのかはわからないが、ルノウの様子からは、先ほどまでの、何かを諦めていたような雰囲気は感じられなかった。

そこで、よかったと安堵する僕。

しかし、次の瞬間僕が目にしたのは、ルノウの体と頭が、2つに分かれている姿だった。


「やだなぁ、お互いに和解しろって言っているわけではないのですわよ。...まあ、そこで食い下がったのは少々予想外でしたが」

「あ、あ...?」


ルノウの首が、足元に転がってくる。

そのまま転がってきたルノウの頭は、僕の足にぶつかって止まる。

その際に、ちょうど顔が僕の方を向いていて。


「....」


その顔は、嬉しそうな顔だった。


そこから先は、憶えていない。

ハロウィンは過ぎてしまったので、ハロウィンネタは封印です()


なんと言うことでしょう。ルノウの首が胴体とお別れしてしまいました。

アイラはそこから、リリィを殺してしまうのか、それとも、ただ気絶してしまうのか。

どっちなんでしょう。私にもいまいちわからないです()

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