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一度でいいからと望んだであろう世界で  作者: すずはっぱ
第2章 学校編
63/79

52 しばらく見ないうちになんかヤンデレみたいなの出来上がってた

まずは、ユサ達の鎮圧だ。

幸いというかなんというか、僕とやる気なのはユサだけで、サリナはその場にいて、ユサ側として立っていることには立っているが、実際に僕とやるのかと聞かれたらそうではないような顔をしていた。

まあ、サリナとは僕もやりたくなかったから問題は無い。まあ、ユサともやりたくないんだけど。

それは、苦手な相手だからじゃなくて、単純に怪我をさせたくないからだ。


とはいえ、ユサの実力もまだわからない。

この短期間でヒジリを超えるほどの能力を得たんだ。

もしかしたら、という可能性もある。


ユサが大剣を構える。


「ほら、ご主人様も得物を手にしないと、死んじゃうよ?」

「...」


かなりの自信があるとみた。

しかし、今僕の手元には武器は無い。

あるとしても、アイテムボックス内の、とんでもシリーズ僕専用編で作られた1本だけだ。

それで万が一、ユサを斬り殺してしまおうものなら、後悔してもしきれないだろう。多分、そのあと蘇生魔法を作るんだろうけど。


まあ、素手で出来る範囲で頑張りますか。


「いや、僕はこのままで十分だよ。いくらユサが強くなろうともね」

「...ご主人様相手だけど、容赦はしないよ」


ヒジリの方をちらりと見る。

リナとヒジリはただ見ただけじゃ互角のように見えるが、そこにはアリスもいるし、先ほどの小石のせいで魔法の威力がけた違いに上がっている。

あれだけの戦力差で、リナはよくやっているとほめられるべき立場にあるのだろう。授業なら。


というか、ヤンデレと化しているユサをさっさと止めないと、いい加減ヒジリが危ないと思う。


「...それはこっちのセリフだよ」


僕がそういうと、ユサが大剣を振りかぶってこちらに突っ込んでくる。

いつもの防御魔法を張り、ユサが振り下ろす大剣を片手で受け止める。思ったよりも重たい。


「...!?」

「確かに、成長はしているようだね」


少し上から目線のこの口調もそろそろ疲れたな。普通に喋ろう。


「勘違いしないでほしいけど、いくらユサが強くなろうが、僕の隣にいることはできないし、逆に僕から離れることになるよ」

「えっ!?」


これは本当のことだ。

強くなればなるほど、僕から離れてもらう時がくるのが早くなる。

まあ、もともと、ある程度の強さを手に入れてもらったら、そのまま別れる予定だったのだが。


大剣を受け止め、そのまま大剣を手で握りつぶす。


「僕は、ユサとリナには1人で生きていける強さを手に入れてもらったら、そのまま別れようと思っている」

「な、どうして!」


ご主人様のために、ここまでやったのに、まだダメ!?

ユサはそういうが、これは最初に決めたことだ。

それに、こうしてみんなで過ごしてきたことで、僕も決めたことがある。

まあ、それはまだ僕の胸の中に秘めておこうと思う。


「どうしても何も...まあ、そういうことだから。ユサは、近いうちにさよならかな」

「い、いや...わ、わたっ、ごしゅじんさ...」

「...」


僕がそう告げると、ユサは目に見えて動揺し始めた。

持っていた、既に僕に壊された大剣は地面に落としているし、目も焦点が定まっていない。

これはさすがに予想外である。


僕が考えたシナリオでは、さっき言ったようなことを言ったら、シュンとしてくれるかと思っていたのだ。

だが現実はどうだ。そうは重くないってことなのか?

女神さまが僕に与えたのは能力だけで、人生は波乱万丈ってか。ぶっ飛ばすぞ。それならどっちも平均程度にしてほしかった。

この世界での人生の平均だと、かなりひどいことになりそうだけど。


「ま、まあ、もしかしたらそれも変わるかもしれないし、とりあえずリナとユサと3人で話そうか」

「...ん、私もその方がいいと思う」


僕の考えが変わるとも思えないが、今はのんびりユサが落ち着いているのを持つつもりも無い。

なんとかこの場しのぎの打開策を口にすると、サリナもそれに乗ってきた。ナイスだ。


「...」


しかし、ユサは下を向いたまま、微動だにしない。

このままだと埒が明かないな。この場はいったんサリナに任せるとしよう。


「サリナ。僕はヒジリがやばそうだから、あっちに行く。ユサを任せたよ」

「..........わかった」


いつものサリナにしては珍しく長い間だったが、最終的に了承してくれた。

サリナの長い間は、大体僕に何か言いたいことがあるが、それを飲みこんでいる時に出る。

昔は、それに気づいてからはちゃんと聞くようにしていたのだが、今はそんなことをしている暇は無い。


支えていた棒を魔法で固定し、万が一にサリナとユサが棒を攻撃しても倒れないように強化もする。

空間固定だ。まあ、この場で思いついて作ったわけじゃない。

本来の僕の使用用途は、ベッドに寝転がりながら本を読みたいけど、腕を上にあげながら読むの辛いし、それに手が滑って顔に落ちてきたら痛そうというか痛いしで、本を読むためだけに開発された魔法だ。

まさか、こんなところで役に立つとは。ちなみに、ページは魔法でめくるから問題ない。魔法って便利すぎてホントひきこもりになりそう。あだ名でヒッキーとかで呼ばれそう。目は腐ってないけど。


そんなことを考えながら、ヒジリ達の方へと向かう。そこでは既に、戦闘が開始されていた。


ヒジリとリナ、お互いに得物は持っていない。ヒジリがどうなのかは知らないが、リナはもともと2本の短剣の逆手に持つ戦闘スタイルだったはずなのだが、変えたのだろうか。

僕が主なのに、最近の2人をまったく見ていないことが丸わかりだな。


しかし、アリスの姿が見えなのだが、どこに行ったのだろうか。


「アリs」

「ここにいるよ?」

「」


流石にこんな状況でも足元から突然出てくるとは思わないじゃないか。

しかし、特に怪我しているというか、服も汚れていない。何があったのだろうか。


「んっとね、ヒジリが、わたしだけでやりたいって」

「なるほど」


理由は分かった。ヒジリにそう言われて大人しく待機していたが、それでも僕のところに来なかったのは、ヒジリを心配してのことだろうか。


「ますたーがいったから」

「さいですか」


僕が言ったからだった。哀れヒジリ。


しかし、あの2人の戦闘もそう長くは続かないだろう。

僕がユサ達と会話をしている間にも、ヒジリはおかしくなっていたのだし、これはさっさと棒を倒してしまおうか。


そして、ヒジリがリナを殴り飛ばす。


「グッ」

「あハはっ!そんなモんなンダ!」


ヒジリのテンションもだいぶかしくなってきている。そろそろ止めないと本格的にまずいかもしれない。

そう考えていると、ヒジリがフィニッシュ宣言をした。


「もうツまんナいや。死んジゃえ」

「...! ゲホッ」


ヒジリの先ほどまでの楽しそうな顔は一瞬で消え、既に興味を無くしたような表情を浮かべる。

リナも相当強いはずなのだが、あの石を使うとヒジリもこんなに強くなってしまうのか。


ヒジリが、リナのいる方向に手のひらを向ける。

その手のひらに、黒色のボールのようなものが出来上がる。

あれはやばい。あんなの食らったら、ルノウの転移魔法を使う前に体が消し飛んでしまう。


あれだけはなんとしても止めなければ。


しかし、今の状態のヒジリを元に戻す方法なんて知らない。そうさせた原因の石のことに関してもわからないままなんだから。

だから、気絶させる程度の威力の魔法を、直接ヒジリの叩き込む。


出来るだけ素早くヒジリの目の前まで移動し、ヒジリがそれを認識する前に手のひらをヒジリの腹に添える。

ヒジリは、僕が触れた時とほぼ同時に気づいたようだ。


「なッ!?」

「ちょっと眠ってもらうよ。『インパクト』!」


特に予備動作を必要としない魔法を、零距離でぶち込む。

ドン、と音がしたと思うと、ヒジリの手のひらに収束していた黒の球は消え、それが完全に消えたときに、ヒジリの体が僕にのしかかる。

よし、なんとかいったな。正直言って不安だらけだったけど。

気絶させた時に黒い玉が射出されたらどうしようかと思ったけど、ホントに良かった。


「...」


さて、後はリナだけだけど。


「リナ」

「!」


僕がヒジリをアリスに預け、少し呆けているリナに声をかけると、すぐに我に戻った。

しかし、すぐに顔を1つの感情で染める。その感情は、寂しさ。


「...ご主人様」

「わかってる」

「...寂しかったです」

「それもわかってる」

「...私、ご主人様のもう必要ないですか?」

「そんなことない」


僕がリナ無しでは生きていけなるかもしれないし。ハーレム要因の1人にでもなるかもしれない。


リナは、僕とそれだけの会話を済ませると、ルノウの方を向いて、一言言った。


「...降参です」


その声はすごく小さくて、近くにいる僕にしか聞こえない、遠くにいるルノウには全く聞こえないような声量だったのだが、ルノウはそれを聞いていたかのように、ニヤリと笑った。

そして、その直後にリナ達の棒が砕け散る。木でできていたわけじゃないんかい。


「...ご主人様」

「...ん?」


砕けた木が結晶となって風に流れていくのを眺めていると、リナに声をかけられた。

内容は、なんとなくわかる気がする。


「私、必ずご主人様に必要な存在になってみせますから」

「...うん、その時は、改めてお願いするよ」

「はい」


リナは、前みたいにクールに、それでいてほめたら1番顔を紅くして照れて、でも小さくお礼を言ってくる。

そんな感じがリナには似合っている。

まあ、そんな相手が僕以外に、リナが気を許せる相手が出来たなら、積極的に応援しようとは思うけど。


「まずは、第1関門突破、かな?」


まだ競技は、4つ残っている。

捨てている競技を除けば3つだが。


果たして、ユサとリナは主人公から離れていくのだろうか。

私にもわかりません。

え、わかっとけって?


...私にもわかりません!

行きあたりばったりで書いてますから(計画性0)

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