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 旅をしていると、巨大ムカデ三匹と戦闘になった。

 巨大ムカデは、固い殻をしているらしく、その表皮はロザミアの剣を弾いた。巨大ムカデの尻尾に叩かれ、ロザミアの体が地面に叩きつけられ、跳ね返った。ロザミアは何とか立ち上がったが、足がふらつき、目の焦点が合っていない。危険だ。

「ロザミア様」

 アイザが呼びかけるが、当のアイザも、別の巨大ムカデの足に剣を突き立て、せめぎ合っていて、助けに行くことができない。このままでは、ロザミアがやられてしまう。アイザの腕でも、巨大ムカデの表皮に浅い傷をつけるのが精一杯のようだった。

 おれは自分の目の前の巨大ムカデを一撃で倒し、ロザミアの方へ走った。

「やめてえ」

 ロザミアの前にリーゼが立ちふさがり、巨大ムカデに尻尾で叩き飛ばされた。

「リーゼ」

 おれは叫んだ。巨大ムカデは、幸い、ロザミアを狙っているようだ。ロザミアの方に近づいていく。

 ロザミアはまだふらふらしており、剣をかまえることができずに、ふらふらと揺れていた。

「ロザミア」

 おれは、ロザミアに向かって叩きつけられた巨大ムカデの尻尾を体で受け止めた。ばしんっと音がしたが、まったく痛くはなかった。

「まこと、大丈夫か」

 ロザミアが声をかけてくる。

「まこと、ふんばれ」

 巨大ムカデと戦っているアイザが叫んだ。アイザの加勢に向かった神さまも、巨大ムカデに尻尾で吹っ飛ばされていた。

「大丈夫だ、なんともない」

 おれは二匹目の巨大ムカデを一撃で倒し、ロザミアとリーゼの安全を確認した。

「めかけは大丈夫なのです」

 リーゼは傷つきながらも、元気な笑顔でそういった。

「とああっ」

 ぐさっとアイザの剣が巨大ムカデの殻を突き抜け、なんとか、三匹目も仕留めたようだった。

 ふうっ、今回は苦戦した。おれが油断したからだ。気をつけないといけない。

 三匹の巨大ムカデの死体を前に、おれたちはぐったりと座りこんだ。

「ロザミア様、大丈夫ですか。あまり無理はなさらないでください」

 アイザが責めるように進言するが、ロザミアはどこか遠くを見ていた。

「今回は死ぬかと思った」

 ロザミアがいった。

「わらわはまことが助けてくれなれば死ぬところであった」

 ロザミアが虚ろな目で空に向かってしゃべっている。

「ロザミア、本当に大丈夫か」

 おれが声をかけると、ロザミアはこちらを向いた。虚ろな目をしていた。

「実はな、わらわには許婚がいるのじゃ」

 突然、ロザミアがそんなことをいった。

 皇帝の娘として生まれたロザミアに許婚がいても、不思議なこととは思われなかった。

 おれは話のつづきを待った。

「それがな、その許婚は、決して悪人ではないのだが、まことのようには、心が強くないのだ」

 いったい何の話か、よくわからなかった。なぜ、おれの名前が出てくるのだ。ロザミアは少し顔を赤らめているようだった。

「まこと、わらわはその許婚と結婚するべきであろうか」

「それは、すればいいんじゃないのか?」

 おれが答えると、ロザミアは怒った顔をした。

「なんじゃと。まことはわらわがどうなってもいいというのか」

 いったい何の話か、よくわからなかった。

 ロザミアは怒って、おれを突き飛ばし、アイザの方へ行ってしまった。

 おれは困ったので、リーゼに相談した。

「なあ、リーゼ、ロザミアはいったい何がいいたかったんだ?」

 リーゼは笑っていた。

「それは、めかけが教えることではないのです」

「うーん、でもなあ、ひょっとして、ひょっとしてだよ」

 おれは口ごもった。

 リーゼはおれが話すまで待っていた。

 ひょっとして、ひょっとしたらだけど。本当におれも何かの気のまちがいかと思うんだけど。

「ひょっとしたら、ロザミアって、おれに、気が、気が、あるんじゃないのかな」

 思いきって、リーゼに相談してみた。こんなことを聞けるのはリーゼしかいない。

 だが、リーゼは笑って答えた。

「めかけが思いますに、それは救世主さまの気のせいです」

「そうかなあ。急に許婚の相談なんてされたから、何かと思っちゃったよ」

 リーゼは真剣な顔をしていった。

「めかけが思いますに、絶対にそれは救世主さまの気のせいです」

 ということなので、この話はおれの気のせいだということで終わった。

 横で聞いていた神さまが、ロザミアのところにいって話しかけた。

「ロザミア殿、許婚の問題で悩んでおるそうだが、我輩は一度、人間というものと結婚してみたいと思っておるのだが。我輩ではどうかな」

「お主は黙っておれ! これはわらわの問題じゃ」

「そうだぞ。神さまのくせに生意気だ」

 ロザミアとアイザに速攻で断られる神さまだった。


書くことがなくなったんで、ちょっと早いけど、フラグを立ててみました。

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