第37話 新スキル・聖槍
ボルケーノゴーレムの溶岩流が再び飛んでくる。
一体であの威力を放ってくるとはな。
並の冒険者なら一撃で葬られるだろう。
「だけどなッッ!!」
フルクが託してくれた『レベル』を無駄にはしない……この聖槍で仕留める。俺は右手に力を篭めて、思い切り助走をつけて投げつけた。
『聖槍・プリムスウィクトール!!!』
技名を叫ぶと同時には、槍はボルケーノゴーレムの灼熱の体躯を穿ち、目映い聖光がヤツの体内で大炸裂――浄化の限りを尽くした。
アンデッドモンスター相手でもないのに『浄化』とな……。この槍は、モンスターそのものを灰燼にしてしまうらしい。
ボルケーノゴーレムは塵となって、地面に大量のドロップアイテムを落とす。すげぇ数だ。レアアイテムも沢山だな。未鑑定も含めれば10、15個はある。
「や、やりましたね……! アウルムさん!」
「あ、あぁ……って、まずい! 次のボルケーノゴーレムが接近してきている。こ、こうなったら槍を――しまった、魔力切れか! この槍はMPを消費するのかよ……」
「いえ、MPではありません! だって、レベル投げは魔力を消費しないんですよ」
「あぁ、そうか。じゃあ、なんで?」
「聖槍に関しては『AP』を消費するんです。詳しい事は後でお話しますから、撤退しましょう。無茶はいけません」
「そ、そうだな。EXダンジョンへは何度も入れるし、十分な収穫もあった。今回はこれで満足しておこう……!」
早々にアイテムを回収し、アベオの葉を使って帰還した。
◆
屋敷の庭に出て、俺は仰向けに倒れる。
フルクも同じように隣で呼吸を荒くしていた。
「……第二エリア、ヤバかったな」
「……はい。あんなに高難度だとは思いませんでした。第一エリアは二人でも何とかなっていたのに、もう二人では攻略が難しいのかもしれませんね」
「そうだなぁ。いくら槍の一撃があるとは言え、魔力には限界があるとはな……いや、違うな。さっきフルクは『AP』と言っていたな。それは一体なんだ」
体をこちらへ起こし、申し訳なさそうな表情で説明してくれる。
「アニマポイントです。つまり、魂の力ですね」
「魂の?」
「ええ、レベル投げ自体は、本来はレベルを犠牲にするものです。ですが、アウルムさんは『レベル0』ですから消費しません。でも、聖槍の使用には魂の力が必要……それ故に『AP』が必要なんです」
「そうだったのか。魔力とは違う力なのか?」
「ええ、魂です。簡単に言ってしまえば……魔力の上位互換ですね。なので、APを使うスキルの方が単純に効果が強いんです」
なるほどな。魔力は知っていたが、魂力は知らなかった。多分、本来は聖女の力なのだろう。それを俺も使用できるようになるとはなぁ。
「分かった。そのAPを回復できるようになれば、槍も使いたい放題ってワケだな?」
「端的に言えばそうなります。ですが、魂の力はそう簡単に増幅できるものではありません」
残念そうにフルクは俯く。
そう簡単にはいかないか。
「どうすっかなー」
これからどうするか悩んでいれば――
「で、でも……」
なんだか顔を赤くしてフルクは俺を見つめる。というか、なんか近づいて来ているような……。アレ、顔近くね!?
「……ど、どうしたのさ」
「……アウルムさんは、APがどうしても必要なんですよね」
「あ、ああ……」
「分かりました。それでは、カエレスエィス帝国にいる黒の聖女『アマデウス』様とメディオクリタース共和国にいる白の聖女『カルディア』様を訪ねてみましょう」
フルクは何やら不思議な事を言った。
黒と白の聖女……?
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