第29話 レベルダウンの効果
最高値の『運』となった俺は――
思いっきり振りかぶって、それを投げた。
『レベル投げぇッ――――!!!』
物凄い魔力の塊が飛んでいく。
だが、ザ・ビーストも本気なのだろう、俺の攻撃を上手く躱す。ならば、と俺は『レベル投げ』を連射しまくる。
「レベル投げ、レベル投げ、レベル投げ、レベル投げ、レベル投げ!!!」
『おのれ、乱発しおってからに――む!?』
段々とザ・ビーストの動きが鈍くなる。
やはりか……!
「効果が出て来たようだな」
『なんだと……これはどういう事だ!!』
「お前には一度、レベル投げを的中させている。その時、お前のレベルは下がったんだ……今も下がり続けているはずだ」
『馬鹿な! レベルを下げるだと!?』
レベルが下がるという事はつまり、能力値もそれに伴って下がっていく。弱体化していくんだ。
「敵のレベルは900から300まで落ちていますよ!」
フルクが教えてくれた。
レベルは最大999まであるのだが、そこまで落ちていたとはな。そして、奪ったレベルの分を更に俺の『レベル投げ』の火力にする事が出来る。
だから、こっちのレベル投げの力はどんどん増幅していた。
『クソ……クソ、クソがぁぁッ!!!』
暴れながらも真正面から突撃してくるザ・ビースト。大チャンスだ。ここを狙う。
「くらいやがれ……レベル投げッ!!!」
『そんなものぉぉぉォォ……』
だが、ヤツの動きはどんどん遅くなっていた。俺のレベル投げも命中するようになり、更にレベルダウンが加速。敵のレベルが俺の火力になった。
これで決める!!!
『うぉぉぉぉぉぉッ、レベル投げッッ!!!』
超爆発的なレベルをブン投げ、ザ・ビーストの腹を穿った。
『――――ば、ぶあぁかなぁぁぁあッ!!』
空へ打ち上がったビーストは、空中に舞ってそのまま大爆発に巻き込まれた。爆発四散したのだ。
「……勝ったか」
もう邪悪な気配はない。
確実に打倒したようだ。
「アウルムさん! お怪我は?」
「大丈夫だよ、フルク。俺は無事だ」
ペタペタと顔とか触られ、俺は照れる。
「そうですか。もし具合が悪かったら、直ぐに言って下さいね」
「ああ、頼む。それより、モエニアも助けてくれてありがとう」
冷静な顔でモエニアは――
「これくらいお安い御用さ。まさか、魔王軍の大幹部が生き残っていたとはな……第二勇者は何をしていたのだ。おかげで犠牲者がこんなに……」
「そうだな……。勇者とはいえ、魔王の幹部を取りこぼすか普通。全部倒してから旅を終えるものだろう。なのに……」
第二勇者・セクンドスは、それを怠った。最初からヤツは魔王を倒す事しか眼中になかった? ――いや、これは何かある。
仲間だったオリエンスとインゲルスさえ見捨てている。本当にヤツは勇者なのか? 断じて違う。ヤツは勇者なんかではない。
「アウルムさん?」
心配そうに俺の顔を覗き込んでくるフルク。俺は、怒りに燃えていた。どうしようもない連中だったとはいえ、オリエンスとインゲルスがやられちまった。ルードスも酷い目に遭ったと聞く。
あぁ、本当にどうしようもないヤツ等ではあったけれど……俺は、第二勇者・セクンドスを許せそうにない。
「きっとザ・ビーストも利用されたに違いない。第二勇者・セクンドス、サフィラス伯爵……見つけ出してぶっ倒す」
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