90.踏破者、新しいスキルを得る。
片手間で作成した召喚の魔法陣も思い描いたとおりにできている。
だいぶ召喚魔法も使ってきたし、熟練度も結構上がってきてる気がするな。
俺の魔力をたっぷりと注ぎ込んだ魔法陣はやはり複雑な紋様に変化し、しかし今度は黒い煙を吐き出す。
「あれ?」
これは予想外。
これまでの法則からいえば天使たち神族を呼び出したときはもれなく白い煙だった。
当然今回も白い煙が出るものだと思っていた。
しかも、煙の量が多い?
天使たちやミカエル、パズズやラマシュトゥまで遡ってもこれだけの煙は出ていない。
やがて全て吐き出された煙によって召喚されたものがその姿を顕にする。
そこに現れ、青い双眸でこちらを値踏みするようにじっと見つめているそれは漆黒の体躯のドラゴンだった。
『儂を呼び出したのはお主か?』
お、すぐに襲い掛かってくるかと思いきや対話できる雰囲気だ。
しかも、別段襲い掛かってくるような気配もない。
そして、なんというかどこかで存在そのものが俺とつながっているような気がする。
「確かに呼び出したのは俺だ。お前は?見たところ【竜種】のようだが…?」
『儂は【幻竜王】だ。呼び出す対象のことを知らんとはどういうことだ?』
「ん?説明が難しいんだが、【有翼獅子】を召喚しようとして失敗したらお前が出てきた。」
『ふむ。さっぱりわからん。』
そりゃそうだろう。
少し話しても特に敵対的なところもないので腰を据えて詳細を説明することにした。
「いや、まさか幻獣召喚が成功しているとは思わなかった。」
話を聞くとバハムートはれっきとした幻獣で、今現在俺の魔力を消費して顕現しているそうだ。
最初の存在があれとつながっている感覚はその繋がりの影響で間違いないだろう。
『驚かされたのは儂の方だ。何千年ぶりに我を呼び出す術者が現れたと思ったらお呼びでないとは。こんな経験これまでにしたことがないわ。」
バハムートはそう言って快活に笑う。
『とは言えこれも縁だ。契約はしていくのだろう?』
「ああ、もちろんだ。一度契約を結べば確実に呼び出しを出来るんだろ?願ったりだが、そっちはいいのか?」
『無論だ、そもそも我を呼び出す実力のものなどそうはいない。儂にとっても数少ないチャンスなのだ。それに、お主についていけば面白いものが見れると儂の勘が言っておる。』
「よし、じゃあ契約成立だ。」
契約は術者と幻獣の双方の合意で成される。
体感としては、繋がりがちょっと強くなったかな?くらいのものだ。
「あ、ちなみにバハムートと契約することで得られるスキルとかってあるのか?」
『あるぞ?【竜人化】と【終焉の息吹】だな。』
ずいぶん物騒な名前だな!!
っていうがブレス!?
人が口から吐くのか!?
それは絵面がやばいことになりそうだ!!
『ブレスは結局魔法だからかざした手からでも使用可能だぞ?』
「お前もエスパーかよ。」
『両方とも今付与完了しから使ってみたらどうだ?』
そう言われてジークはステータスを確認する。
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ジーク
種族:人族
才能:なし
年齢:17
Lv.:1117
魔力量:2870812699
スキル:剛腕Lv.MAX. 空歩Lv.MAX. 鉄壁Lv.MAX. 縮地Lv.MAX.
重力魔法Lv.MAX. 再生Lv.MAX. 闇魔法Lv.MAX. 眷属化Lv.MAX.
召喚魔法Lv.2 竜人化Lv.1 終焉の息吹Lv.1
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「確かに付与されてるな。じゃあまずは…。」
俺は竜人化を発動させる。
途端にビキビキと音を立てて体が変質する。
全身が鱗に覆われ、硬質化する。
『【竜人化】は身体強化だな。単に筋力や敏捷性だけでなく視覚や嗅覚と言った感覚も含めてすべての能力を跳ね上げるスキルだ。代わりに魔力を凄まじい勢いで使用するがな。』
「なるほど、確かに。剛力と鉄壁の併用の更に倍くらいか?全部使いっぱなしにすると2週間くらいで魔力が枯渇しそうだな。」
『…は?』
「だが、確かにこの力が溢れ出てくる感じはすごいな。どれ。」
俺は辺りを見回し、1km程離れた所にちょっとした家位の大きさの岩石を見つける。
確かにはっきりと見えるな。視力の強化は良好。
縮地を使用し岩石前まで移動する。
おおお!!移動距離がエライことになっている!!
通常だと一度に移動できる距離は20m位のものだったが、1kmを一回で行けてしまった。
あまりにも向上し過ぎている気もするが、シナジーのなせる業だろうか。
次に俺は剛力を使用し岩石を殴りつける。
ゴゴン
これは予想外。
てっきり爆散でもさせれるかと思っていたが、力が集中し過ぎたのか、綺麗に腕がめり込んだ穴が開くだけで岩石は破裂したりしなかった。
ならこれならどうだ。
俺は岩石を蹴り上げた。
ズガン
これも予想外!!
岩石は蹴り上げた蹴りの軌跡に沿って真っ二つに割れてしまった。
ただ、威力はそれでも少し伝わったのか、真っ二つになった岩石はそれぞれ左右に分かれて上空へ飛び、10mくらい離れた場所に落下した。
今回分かったのは、力が強すぎると逆に爆散させるのは難しいという事だな。
次は終焉の息吹も試してみるか。
おれは今吹き飛んだ岩石の片割れに対し手をかざす。
「【終焉の息吹】」
この時の俺は竜人化の全能感に酔っていたのかもしれない。
終焉の息吹の説明も聞かずにスキルを使用したことを悔いることになる。
竜人化は全身の皮膚が硬質化してうろこ状になるという表現をしていますが、顔の見た目はほぼ人のままという設定です。顎したとか頬を少し変質させるくらいですかね。
顔変えちゃうと後で「貴様あのときの!!」みたいな展開が出来なくなってしまいますから。
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