22.踏破者、Cランクになる。
ギルドマスターにテゲスの事を任せてから俺たちは依頼報告窓口に並んでいた。
どうも報告の多い時間帯らしく、結構待つことになった。
気が付くともうギルドマスターもテゲスもいなくなり、通常運転に戻っている。
「お待たせいたしました。報告をお聞きします。」
営業スマイルの受付嬢にタグと依頼書を渡す。
「この依頼の達成報告をしたい。」
「はい、ジークさんお疲れさまでした。【北の森の魔物の間引き】の依頼ですね。ん?ああ!ジークさんですね!!新しいタグを渡しますので少々お待ちください。」
そう言うと受付嬢はぴょんと何かから飛び降りるとそのままバックヤードへ消えていった。
どうやらずいぶんと身長の低い女の子だったらしい。
おそらく受付カウンターの下には足場があるんだろう。
そんなことを考えているうちに受付嬢が戻ってくる。
「シファさんもタグ回収させてもらえますか?こちらが新しいものになります。」
そう言いながら受付嬢は金色のタグプレートを2枚カウンターに並べる。
俺とシファの名前が掘られたCランクのタグプレートだ。
「ああ、ありがとう。」
俺とシファはその金色のタグプレートを首につける。
「では依頼の処理を進めますね。討伐証明部位の提出をお願いいたします。」
「これだ。」
俺はカウンターに革袋を置く。
「これは…また大量ですね…。数量の確認をしますので少々お待ちください。」
そういいと受付嬢は再びカウンターを離れ、バックヤードへ消える。
これはしばらく窓口を独占してしまうな。と思って周りを見ると5カウンターある依頼達成受付窓口は俺も含め3組が待ち状態であった。
どうやら少々の待ち時間が生じるのは日常茶飯事らしい。
特に気にする必要もなさそうだ。
そのまま数分待つとニコニコしながら受付嬢が戻ってくる。
「依頼達成を確認しました。噂のオーガの角も入っていましたが、買い取りを希望されますか?」
「オーガの角も売れるのか?」
高位の魔物は素材としての価値も高くなる傾向がある為、亡骸があれば売れるケースがあるというのは聞いていたが、オーガ程度でも需要があるのだろうか。
「オーガの角は滋養強壮作用があるので薬品の素材として需要があるんですよ。流石にゴブリンの耳やウルフのしっぽに需要はありませんが…。」
「なるほど、ではそれも売却で。」
「承知しました。では依頼達成報酬として3,000ギラ、オーガの角売却金として一本10,000ギラが5本になりますので、計53,000ギラですね。お納めください。」
ほう。Cランクの魔物素材でもそこそこの金額になるのだな。
っと忘れる所だった。
「そういえば【地竜】も狩ってきたんだが、素材売却頼めるか?」
「はい勿論可能ですよ。【地竜】でしたら竜玉は80~100万ギラ、鱗は大きさと保存状態にもよりますが一枚数万ギラになりますよ?って【地竜】んんんんんんんんんんんんんんんんんん!?」
ニコニコしていた受付嬢の目が見開かれ、カウンターに乗り出してきている。
小さいのに結構な迫力だ。
魔物にもひるまない俺が一歩後ずさってしまった。
「あ、ああ、【地竜】で間違いない。シファ、出してくれ。」
そう俺が言うとシファはギルド内で人が居ないスペースへ移動すると空間魔法を発動させる。
一瞬にして現れたアースドラゴンにギルド内が騒然となる。
「見ての通りそのまま回収してきた。竜玉だけと思ったんだがどこにあるかわからなくてな。」
「……はっ!?」
目だけでなく口まで全開で停止していた受付嬢が動き出す。
「す、すみません!!少々お待ちください!!」
そう言うと受付嬢は再々度バックヤードへ消える。
…竜玉の位置聞きたかったんだがな。
「またお前らか。」
さっき話したばかりのギルドマスターのアセットが受付嬢に連れられてやってくる。
若干の呆れの入った表情をしているが、仕方ないだろう。こっちは金欠なんだ。
「間違いなく【地竜】だな。北の森に居たやつで間違いないか?」
「ああ、オーガを倒した後で近くに寄ってきていたのを見つけた。」
「…森の奥に足を踏み入れたわけじゃねぇなら注意も出来んな。外縁まで出てきていたのは想定外だが討伐してくれて助かった。他への被害がなくて良かったよ。…素材回収班を呼んで査定させろ。」
アセットは近くのギルド職員に指示を飛ばし始める。
「しかし【地竜】も相手にならんのか…。」
そうつぶやくとアセットは腕を組み何かを考え始める。
査定を始める職員を横目にしばらく考え続けていたが、しばらくして話しかけてきた。
「ジーク、シファ。ギルドからの依頼を受けてくれんか?【指定依頼】だ。」
アセットは徐にそんなことを言い始めた。
受付嬢は色んな種類の人を出していきたいですよね!!
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