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23/218

23.踏破者、護衛任務に出る。

「…9998…9999……10000…!!」


スリアドのギルドマスターであるアセットからの【指定依頼】を受けてから2日過ぎた。

依頼のスタート時期が未定の為、スリアドで待機状態が続いている。


「…1…2…3…!!」


この間他の入りも受けることはできないため、【アビス】で行っていたトレーニングをこの早朝に宿裏で行っている。

重力魔法の【(プレス)】を自身にかけてのトレーニングだ。

(プレス)】は作用範囲を狭めればかけることのできる圧力を高めることが出来るため、自身1人分の可動範囲まで絞って重力の50倍ほどの負荷をかけて素振りを行っている。

重力魔法は本当に便利だ。


「対象は今日発つようだぞ。」


そこへシファが現れる。


「お付きの者共が支度を始めた。次の目的地までの行程を考えると昼までには出るだろうな。」


「そうか。じゃあ俺たちも準備して出発だ。」


そう言い、俺たちはトレーニングを打ち切り宿へと戻る。


今回の【指定依頼】は簡単に言うと極秘の護衛依頼だった。

なんでもこの町には各地を巡視中の高位貴族が居るらしく、間もなく次の目的地へ向けて旅立つとの事だった。

全体の行程としては王都からフレンブリードは辺境伯領を巡視して帰還する途中という事で、このスリアドを発った後はフレンブリード領を離れ、まだいくつかの領地を巡視して王都へ帰るらしい。

だが、アセットはこのスリアドを離れた後の貴族一行に襲撃があるという情報を入手したとの事。

信憑性は五分五分といっていたが…


念のためと、貴族の護衛の騎士に情報の提供とハンターを護衛に雇うよう進言したが、ハンター登用については断られたらしい。

まぁ、見ず知らずのハンターが周りにいたんじゃそっちも注意しなければいけないし、逆効果だろう。

で、それでもと思ってアセットから俺たちに護衛依頼が出されたという事だ。


この依頼は貴族一行とは少し距離を置いて行程に同行し、有事の際には貴族一行に助太刀するというもの。

貴族に関わりたくないと言うのが本音だが、目的地が同じなので受けることにした。

まぁ有事が起こらなければそれでいいし、シファの【探索(サーチ)】があれば貴族一行から大きく距離を取ることもできる。

それに、貴族一行が発つまでの待機期間も拘束期間という事で受金できるしな。


俺たちは怪しまれないように貴族一行に先行してスリアドを徒歩で発ち、道中で馬車の貴族一行に追い抜かれた後は気付かれないよう一定の距離を開けて追従するというプランだ。

これもシファの【天翔(フライ)】があれば問題なくついて行けるらしい。


「よし、準備は整ったな。行くぞシファ、シュラ。」


「わかった。」


『うむ。』


そして俺たちはスリアドを出発した。




◇◇◇◇◇



スリアドを出発し、西へ向かう街道を歩く。

王都メリルローズに近づくにつれ、街道などの設備は整っていくのだが、辺境伯領であるこの辺りはまだそこまで整備が行き届いていない。

だが、近隣のハンターギルドの活動により街道沿いの魔物は定期的に駆逐されており、往来の危険はかなり低くなっている。


その街道をしばらく歩いていると、シファが後方から接近する集団を検知した。

対象のお出ましだ。


後方から迫る集団が近くまで来ると、俺たちは街道の脇に行き道を譲る。

絢爛豪華な馬車が1台、その前に堅牢そうな馬車が1台、後ろには普通の物よりやや大きな馬車が3台。

馬車群の周りには乗馬した兵士が20名程。

おそらく先頭の馬車内には歩兵が、後ろの馬車には旅物資や従者がいるんだろう。

かなりの大所帯だ。


先頭の騎兵は道を譲った俺たちに感謝を表して通り過ぎる。

俺たちを追い越した馬車群はそのまま街道の先へと消えていった。


「よし、ミッションスタートだ。シファ。」


「承知した。【天翔(フライ)】」


俺とシファは1mほど宙に浮くと、馬車と同じくらいの速度で飛んでいく。

往来する人々に騒がれたり、貴族一行に見つからないように街道脇の林の中を移動する。

シファには【探索(サーチ)】も併用してもらっている為、馬車群を見失う事も無ければ襲撃者が居ても事前に察知可能だろう。


そうしてしばらく馬車群に追従していた時だった。

もうそろそろフレンブリード領を出て、隣領に入るという頃合い。


「主殿、馬車群の先に多数の人が居る。すぐに接触するぞ。」


「マジで襲撃者か。ギルドの情報網ってスゲーな。数は?」


「襲撃者は50程、護衛が騎馬20,馬車の中に10程だ。」


数では大きく劣るがこれがただの野盗なら練度と装備の差で護衛団に軍配が上がるか?

変なタイミングで介入するのも危険か?


「まずは遠方から様子見する。護衛団が劣勢になったら加勢だ。」


そうシファに指示を出しながら一団に接近している時だった。

前方より、怒声と剣戟の音が聞こえてきた。

この後少しシリアス回続きそうですね。

もう少し読んでみてもいいと思っていただけましたら評価、ブックマークよろしくお願いします!!

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