第一話
あれから数日が経過して、今僕は『フローライト・オンライン』を起動した。
『フローライト・オンライン起動します。』
人間味を感じさせない電子音声が、狭い部屋に響く。
次の瞬間、僕の目の前にはあたり一面黒色の空間とその場所に座り紅茶を飲んでいる少女がいた。
「初めまして。私はこの世界『フローライト・オンライン』の7人の管理者の一人よ。まあ、管理者と言っても傍観し続けるか、配下みたいなものを作ってそれを手助けするだけだからあまりこの肩書きに意味はないのだけれど。さて、改めてこの世界でのあなたの肉体を生成する前にこの世界に関して詳しい説明をする必要があるわね。」
そういうと、アリスと名乗った少女は指を鳴らした。その瞬間空中に巨大な地図のようなものが出現する。
「これは、世界地図よ。『フローライト・オンライン』の世界に入るとあまりみることができなくなってしまうからよくみておくことを推奨するわ。さて、まずは大陸についての説明ね。中央にあって一番巨大な大陸が中央大陸。帝国という国が存在しているわ。あなたからみて右にあるのが東方大陸。たくさんの国々が群雄割拠している俗にいう戦国時代のような場所よ。
そしてあなたから見て左にあるのが西方大陸。ここは、基本的に平和ね。主に大量の農産品や工業品など世界で一番文明が発達した場所と言えるわ。さて、ここまでで何か質問はあるかしら?」
「それぞれの大陸の王者と言える者たちの名前を教えてもらいたい。」
「なるほどね。正確にいうと、東方大陸と西方大陸に関しては王と言える人物がいないから中央大陸だけになるけどそれでもいいかしら?」
「構わない。」
「そう。だったら教えるわね。中央大陸の帝国という国の皇帝がそれに該当するわ。名をソロモン。私以外の管理者のうち三名が、世界の王として相応しいと認定したの。結構有名だと思うわよ?」
ソロモン。その一言で血液の巡りが早くなる感覚がする。ああ、僕は今喜んでいるのだろうか。僕は今怒っているのだろうか。答えはそのどちらとも言えるだろう。
ソロモンという名前が僕は嫌いだった。彼自体が嫌いなわけではない。なぜなら、その名前を使い続ける限り僕は僕としての個を手にすることができないからだ。だが、それでも使い続けなくてはならない。そうでなくては、僕は僕ではなくなってしまう。だが、ああ諦めていたことが今叶う!この世界における擬似的な神に認められたものを殺した場合どうなる?きっとそれは、僕と言う個の人生に『彩り』を与えるだろう!僕という人間の存在証明になるだろう!
「もう一つ質問だ。この世界を滅ぼす。または、この世界の国々を全て破壊する。そうなった場合、運営から何か処罰は降るのか?」
「いいえ、この世界はあくまで個人の自由を大切にしているからね。まあ、殺人などをやりすぎた場合バウンティハンターという賞金稼ぎが出てきてあなたを殺しに行くから気をつけたほうがいいわよ。」
「なるほど。了解した。」
そう言い終えると、少女は虚空に手をかざした。
すると虚空から、黒色の箱が出現した。そして、少女は黒色の箱を見るとため息をつき言った。
「はぁ、驚いたわね。黒色なんて正直言って、たった一つしかないはずなんだけど。まあいいわ。とりあえず初期ロット特典について教えるわね。初期ロット特典は三段階のランクに分けられるの。最上級は金、中級は銀、下級は銅と言ったふうにね。」
「黒は一体どういうランクに入るんだ?」
「黒は、EXよ。まあ、良くも悪くもイレギュラーって言えばいいかしら?まあ、それじゃ特典に関しては説明終了。早く開けてみなさい。」
すると目の前に
『開封しますか?
Yes or No』
という文字が出現した。僕は迷うことなくYesを押した。すると
『黒天鍵
光闇属性吸収
火水風土魔法使用不可
魔法成長率極上昇
種族万魔の王へ強制変更
所有者に最も適した形状へ変化する
所有者の魔法発動を最高の状態でサポートする。
不壊 』
と書かれた指輪と
『天衣無縫
所有者とともに進化し続ける。』と書かれた黒いコートそして、
『ユニークモンスター召喚チケット×2
ユニークモンスターを召喚して戦うことができる。』
と書かれたチケットが出現した。
(チケットに関してはあまり使うこともないだろうが、それ以外の二つはいいものだ。喜ばしいな。)
「驚いたわねまさかそれほどまでに特殊なアイテムが出てくるだなんて。」
「特殊?全員こう言ったものが送られるんじゃないのか?」
「ええ、だけどユニークモンスター召喚チケットに関しては正直言って未知数と言ってもいいわ。さてあなたのこの世界での肉体を作る番ね。肉体は現実の体を参考にして髪色を変える程度でいいのよね?」
「ああ。僕に似ている人はほとんどいないし友人もいないから大丈夫だ。」
「了解したわ。」
そう言い終えると、僕の目の前には髪を白銀に変えた現実世界そのままの僕が立っていた。
「名前に関してはどうするの?」
「名前は、ロムルスで頼む。」
「了解したわ。ロムルスね。入力完了したわ。あら?」
その瞬間、僕の肉体にノイズが走った。次の瞬間、僕の肉体は片方の目の色が赤黒く染まり蝙蝠のような翼と犬歯が鋭く尖った肉体へと変化した。
「驚いたわね。みたこともない種族だわ。あなたの特典が相乗効果を出して特殊な変化を遂げたのね。まあ、種族に関しては世界に行ってからでいいと思うわよ。さて、そろそろ出発の時間よ。どう?楽しみかしら?」
「ああ、とっても楽しみだよ。ありがとう。最後に、名前を教えてもらってもいいか?」
「構わないわ。私の名前は、アリス。さあ、ボンボヤージュ楽しんできてね。『フローライト・オンライン』を」
「ああ、ありがとうアリス。」
そう言い終えると、僕は光に包まれた。




