閑話 剣聖の憂鬱
すみませんが、本編に移る前にこれだけは書いときたかったんで書かせていただきました。
剣を握ったのは、三歳の頃だった。亡くなったお祖父様から教えを受けて、たくさんたくさん振り続けた。母様は、なぜかお祖父様に文句をいつも言っていたけど、常にみんな笑顔です。
だけど、私は心の奥では少し悲しみがあります。
私は、誰かとともに歩みたかった。私は、誰かに手を引っ張られて外に連れ出されて満遍の星空を見てみたかった。だけど、強くなってしまった私には無理でした。沢山の人がいました。大きな人、モデルの人、プロゲーマーの人。
そんな私に比べたら、とても凄すぎる人たちでした。そんな人達が、私に求婚をしてきました。正確には、婚約ですが。私は、誰かとともに歩みたかった。誰かの後を追いたかった。だから私は、一つだけ条件を出しました。
『各々が得意とする分野で、一つ私に勝利すること』その言葉を聞いた方々は、笑みを浮かべました。きっと小柄な私にならば容易に勝つことができると思ったのでしょう。ですがそんな方々の考えは、失敗で終わりました。
大きな方とは、試合で柔術を使用して勝利しモデルの方とは家事で勝負をし勝利しプロゲーマーの方とはゲーム内で剣道によって勝負をし勝利しました。私は強くなりすぎてしまったのです。私は、孤独になってしまったのです。私は、他の人といることなんて不可能になってしまったのです。
それを理解した私にあったのは、絶望でした。幼き頃から密かに願ってきた想い、それがガラガラと音を立てて崩れ去ってしまったのです。剣術で私に勝てる方はもうお祖父様くらいです。ですがそんなお祖父様はもう亡くなってしまっています。私は、いったい何を目標にして生きればいいのでしょうか。
涙で枕を濡らさぬ日はありませんでした。ですが、そのときふと思い出してみたのは私が七歳の頃おじいさまのお葬式が終わって数日が経ったある日山奥で出会った優しいお兄さんのことでした。あの人は優しかったです。ですがあの人は、常に悲しそうな顔をしていたのです。
私はなぜかと聞きました。彼は、『生きる意味もなく、個としての願いもなくそんな我が身で僕はいったいどうすればいいのかそれがわからない。すでに共に高み会うと約束をした古き友さえ死んでしまったそんな自分が今更何を望んで生きるのか。』あの時は、どういう意味なのかがよくわかりませんでした。だから、私はお兄さんに向けて『生きるべきです!』と断言した。お兄さんの気も知らずに。あの頃は、私は幼かったから。ですが、大人になった今ではよくわかります。お兄さんはきっと寂しかったのだと。お兄さんはきっと、寒かったのだと。孤独というものが、嫌だったのだと。だからこそ、私は生きなくてはいけない。お兄さんに生きるべきだと言ったのだから。
そのような思いを浮かべながら、ふと空を見上げると一つのcmが目に入りました
『あなたは何者にもなれる!あなたの可能性、それは誰にも汚されずただそこにあり続けます!
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久しぶりでした、灰色だった世界にまた色が灯りました。そして、私はフローライト・オンラインに申し込み当選しました。金色の特典箱というものも受け取りました。
そうして私は、フローライト・オンラインのライブ配信というものも見るようになりました。
そして、私の目に映ったのは髪色が白銀に変わり片目が赤黒く染まり蝙蝠のような翼が生えながらもあの日から全く変わらない姿のお兄さんの姿でした。




