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押し掛けギャルは殲滅者  作者: 青夜
関東旧車會

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28/82

「関東旧車會」壊滅

 「関東旧車會」の廃車工場に近付いた。

 郊外の廃車工場は、よく犯罪組織に利用されることがある。

 騒音を避けるために人家から離れ、高い塀に囲まれて外からは見えず、大きな音を出しても不審がられない。

 車両盗難グループが持ち込んで車体の刻印などを「クリーン」にして再販することもある。

 今ではその手間を省いて海外へ輸出するようになり、それまでの隠し場所にもなる。

 それに車両を潰すプレス機は数百トンの圧力で車を半分以下まで圧縮してしまう。

 中に人間を乗せて潰せば、もう永遠に死体が見つかることもないという便利さだ。

 潰された車は再処理の業者に引き渡され、そこで溶かされてしまうのだ。

 違法薬物の保管場所、そして売買の場所にも利用される。

 多くの犯罪にとって、格好の場所なのだ。


 ココロちゃんが《裏鬼》に到着を連絡し、廃車工場でEMP爆弾が爆発した。

 今回は小規模範囲のものなので、爆薬圧縮型EMP爆弾をロケット弾で撃ち込まれるはずだ。

 爆発自体はそれほどの規模ではないが、テラワット級の電磁波が拡散し、周囲の電子機器はすべて焼き切れる。

 もちろん携帯電話もぶっ壊れている。

 私たちは突入した。


 血の饗宴の始まりだ。


 何人かは生きて捕らえるが、誰一人として生かしてはおかない。

 宗ちゃんの命を狙う奴らは全員殺す。

 ココロちゃんが先ほどまでとは違う、恐ろしい顔で笑っている。

 自分も同じ顔になっていると分かっていた。





 大きな鋼鉄製の門を私が「ミストラル(携帯ミサイル)」で破壊した。

 ハンヴィーは私が収納し、二人で走り込んだ。

 私たちはタイガーストライプのコンバットスーツ。

 武器はココロちゃんがM134(※チェーンガン)と、私はXM250と両刃のクックリナイフにしている。

 ココロちゃんのM134は多分すぐに弾が尽きるが、あの子には必殺のチタン糸「迦楼羅」がある。

 ココロちゃんが「迦楼羅」を操ると厚さ10ミリの鋼鉄もバターのように斬り裂く。

 人体などは何の抵抗も無い。

 私たちが中に入ると、混乱していた。

 電子機器が壊れ、マローダーもミサイルも使えなくなっているためだ。

 私とココロちゃんの侵入は門の破壊で分かっている。

 だが車両が全て動かず、自慢のプレデターなども飛ばない。

 普通の工場なので、建物の防弾性能も薄く、鉄筋以外のバラックなどは紙のように弾丸が貫通していく。

 私もココロちゃんも赤外線センサーで敵の位置が分かるので、どんどんぶっ殺した。

 特にココロちゃんの持っているM134はターレットがモーターで回転し、毎分数千発の弾丸を射出する。

 当たれば瞬時に肉塊だ。

 開始から3分でやっと反撃も来るようになったが、アクセラレイターで加速した私は簡単に回避出来る。

 ココロちゃんは気配感知で余裕でかわしている。

 5分もすると、ほぼ8割は撃破し、鉄筋の4階建ての建物以外に敵はいなくなった。

 敷地には夥しい死骸が転がっている。

 まともなものは少ない。

 特にココロちゃんのM134で破壊された身体は血と肉片を撒き散らした人体花火になっている。

 ココロちゃんはM134を抱えて建物に突入し、廊下に向かって連射した。

 恐ろしく弾丸を消費するが、敵が弱すぎてまだ残弾があったようだ。

 電動ターレットがモーター音と共に回転し、膨大な弾が廊下を蹂躙していく。

 思った通り、対人地雷「クレイモア」が仕掛けてあり、誘爆して行った。


 「クリアなの」

 「おし!」


 1階には誰もいなかった。

 「クレイモア」で私たちを爆殺するつもりだったのだろうが。

 2階から階段を駆け下りて来る音が聞こえる。

 私がXM250のグレネードを撃ち込んで沈黙させる。

 そのまま階段を駆け上がり、残敵を掃討していく。

 段々混雑し始め、ココロちゃんが前に出て「迦楼羅」を振るった。

 極細のチタン糸が敵を細切れにしていく。

 肉はもちろん、骨格まで何の抵抗も無く斬って行く。

 敵には一発も撃たせていない。

 旧ソ連の元パラミリに鍛えられたそうだけど、全く大したことは無い。

 

 「そろそろ誰か確保する?」

 「まだいいよ。上に残った奴らでいいっしょ」

 

 3階まで殲滅し、残る4階に上がった。

 もう抵抗して来る奴はいない。

 私がアクセラレイターで加速し、廊下を走った。

 遅れて大きな銃声が響く。

 バレットM82対物ライフルの弾丸だ。

 高速で動いているために私とは見当違いの空間を切り裂き、廊下の果てで爆発した。

 榴弾を使ったようだ。

 でも当たらなければ意味は無い。

 腰のクックリナイフを抜いて、瞬時に近付いて射手の腕を斬り落とす。

 ココロちゃんも突入して、部屋にいた連中の手足を斬って行く。


 「お前らぁ! 何モンだぁ!」


 でかい長髪の男で馬路だと分かった。

 日本刀を握って斬り掛かって来た。

 左手で受けて刀身をへし折る。

 なかなかの筋だが、私はもっと物凄い方を知っている。

 私が馬路の腹にナイフを突き立てた。

 動脈を避けてすぐには死なないようにしている。

 馬路は重くくぐもった声を挙げたが、悲鳴は押し殺した。


 「お前が馬路だな?」

 「てめぇ……」


 ココロちゃんが何人かにロープを巻き、他の連中の首を飛ばした。

 噴水のように血が噴き出し、天井と壁を赤く染める。

 壁には血まみれの女が五寸釘で張り付けにされていた。

 もちろん死んでいる。

 顔と上半身が青黒く腐敗し、下半身が抉られている。

 右手以外の四肢は千切れ、床に転がっていた。

 指も落ちていた。

 拷問ではなく、酷い暴力の凌辱を受けたのだ。

 もう元の顔が分からないほどに腐敗して崩れていた。

 壁から釘を抜き、女をソファに横たえた。

 馬路の手足の骨をへし折り、私が担ぎ、ココロちゃんはロープを引きずって部屋を出た。

 建物の前でまたハンヴィーを出し、その後部に押し込む。


 高速のサービスエリアに入り、待機させていた4トントラックの荷台でシャワーを浴びて着替えた。

 馬路たちはココロちゃんに引き継ぎ、私はヴォタンテを出した。


 「満足した?」

 「うんなの。久し振りに暴れられたの」

 「宗ちゃんに会ってく?」

 「いいの。私は汚れちゃったからなの」

 「私も一緒じゃん」

 「冴姫ちゃんは違うの。絶対に汚くならないの」

 「それはあなたも同じでしょう」

 「ウフフフフ」


 ココロちゃんと抱き合った。

 「荷物」を乗せたハンヴィーをココロちゃんに任せ、私はヴォタンテに乗り込む。

 ココロちゃんが運転席に回って来て言った。


 「あ、「関東旧車會」のものは全て神戸山王会が引き継ぐことになったの」

 「そう、また貸しだね」

 「うんなの。じゃあね、冴姫ちゃん」

 「ばいばい、ココロちゃん。また今度」

 「はいなの!」


 ココロちゃんが明るく手を振っているのがバックミラーに映っていた。





 これから「関東旧車會」のバックが徹底的に洗われるだろう。

 その後はココロちゃんが「釘打ちの刑」で始末するのだ。

 あの悪党共を出来るだけ苦しめて殺す。

 壁に磔にされていた女は、多分あの時RXー8の助手席にいた女だ。

 あたしの首実検のために生かされていたか。

 用が済んで、おもちゃにされて殺されたのだろう。

 まったく胸糞が悪い。

 「関東旧車會」のバックにいたロシアは南鳥島沖のレアアース狙いだとは思うが、もう一つ別な場所でも最近発見された。

 パラオ諸島沖のやはり海底だ。

 それによって世界中があの小国を狙っている。

 日本もだ。

 いずれどこかと戦争になるかもしれない。

 私は宗ちゃんのガードがあるので関わらないとは思うが。


 「宗ちゃん……」


 宗ちゃんの優しい笑顔が浮かんだ。

 ああ、早く帰りたい。

 ヴォタンテのアクセルを踏んだ。


 景色が飛ぶように流れて行った。

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