21.ブレアside
「あの、ダンス踊ってくれてありがとうございます!」
エリザベス嬢は踊りながら僕に話しかける。初めて見た時から、既視感があり、何かが引っかかる。
「先程少し見ていたのですが、リリアンヌ様とのダンス、とても素敵でした。私リリアンヌ様に憧れていて…」
少し伏し目がちに頬を褒める彼女。小柄で少し世間慣れしていない初々しい姿に、普通の人ならば庇護欲をそそられるであろう。
だが、僕にはリリしか女の子に見えていないのでリリにしか庇護欲は湧かない。
「そうだろうね。僕とリリはついさっき婚約を交わしたんだ。リリはすごく頑張り屋さんで、少し無理をしてしまうところが、目が離せなくてとても守ってあげたくなるんだ。」
ダンスの最中、ずっとリリの話をしていた。リリのここが可愛い。ここが素敵、こんなことがあった等。
「そんなに愛されていて、リリアンヌ様は幸せですね。」
そう言って笑う彼女。
「あぁ。僕がリリを世界一幸せにする。いや、一緒に世界一幸せになるんだ!」
「素敵です…私もブレア様と婚約したい…」
最後何か呟いていたがよく聞こえなかった。ブレア様がどうたらこうたら?まぁ気にする事はない。それよりも!いつの間にか帰ってきていたリリに、耳打ちするユリウスを見かけてしまった。
少し距離が近過ぎるのではないか?いくら気心の知れた幼馴染だと言っても、あれは僕は許せない。しかもユリウスのヤツめ、僕と目が合ったのを分かってニヤリと笑っていたぞ。
あれこそ羊の皮をかぶった狼では無いのか?皆ユリウスは良い人だと思いこんでいる。しかし、ここ半年共に行動して分かったことだが、アイツは腹に一物も二持もあるように見受けられる。
ダンスが終わり、礼をして直ぐにリリの元へ駆け付ける。ユリウスがあらぬ誤解を吹き込んでいると厄介だ。
「何を話しているんだい?」
「何もありませんわ。ユリウス様が少々鈍いので喝を入れていただけにございます。」
ユリウスが鈍い?とんでもない勘違いだ。こいつは全てを把握した上であえてその行動を取っているのだ。
噴水の時もリリの足元に虫がいるのを見つけて居て、リリが噴水に落ちる可能性もわかっていてあえて手を伸ばさなかった。
後日ユリウスの口から聞いた時は少し引いた。だが、結果僕に気を向けるためにしてくれた事だと分かっているので、何も言わなかったが、こいつは本来こう言う男なのだ。
なぜ僕より付き合いの長いリリが気付いていないのか。リリは鈍すぎると思う。




