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脳内では完璧令嬢リリアンヌちゃんがエリザベス嬢に対して礼儀のなっていない部分を訂正している。
爵位の順で名乗らなければならないのでまず私からなのではなくて?目上の方に先に話しかけるのははしたないですわよ。自己紹介もなっていませんわ。名前だけではなくて爵位も名乗らなければ行けませんことよ?それに婚約者のいる方にむやみやらたと触るものじゃありませんわ。
決して口には出さないが、言いたいことがありすぎる。とりあえずユリウス様から再びワインを受け取り、口へ運ぼうとした時だった。
腕に誰かがぶつかり、私は思い切りワインをエリザベス嬢へかけてしまった。やっちゃった…
「リリアンヌ様…あんまりですわ。私が…私が…何をしたと言うのですか。」
今にも泣きそうな彼女。ほんとに何やってんの私!!
「ごめんなさい。わざとでは無いの。誰かがぶつかってきて。」
そう言って後ろを振り返ると誰も居ない。と言うか、体がぶつかるような距離には誰一人居なかった。
「言い訳なんてしないでください!ただ一度だけ、ブレア様と踊っただけじゃないですか!嫉妬は嫌われますよ!」
そう言って泣き出すエリザベス嬢。いや、ほんとそんなつもり無かったんだけど…軽くヤキモチは妬いたけどユリウス様がフォローしてくれたおかげで誤解も解けたし…
ただこれ以上言い訳をすると本当に私が故意にやったと思われてしまう。会場中の貴族達が私達に注目しているのだ、ここは素直に謝罪しよう。
「本当に申し訳ありません。私の不注意でエリザベス嬢のドレスを汚してしまいましたわ。よろしければ替えのドレスを用意させて頂きたいのですが…」
「そんなのいりません!せっかく父が用意してくれたドレスなのに…私の家が貧乏貴族だからって馬鹿にするのも大概にしてください!」
いや、ほんとそんなつもり無いんだって…なんか話せば話すほど嫌な方向に流れている気がする。
「とりあえず皆が見ているから、休憩室へ移動しようか。」
ユリウス様の提案で移動する事にした。
「もういいです。私帰ります。」
エリザベス嬢はそう言うと、その場から逃げるように外へ駆け出した。残された私達三人は顔を見合わせ、何が何だか分からない。と呆れていた。
「とりあえず僕たちだけで休憩室へ行こう。リリのドレスにも少しワインが飛んでいる。大丈夫。僕たちはリリが故意にしたとは思っていないから。」
本当だ。気づかなかった。侍女に染み抜きをしてもらう為、三人で休憩室へ向かった。ブレア様にそう言って貰えるだけで少し楽になる。
染み抜きをしてもらっている間、ブレア様は私を抱きしめ、それを見たユリウス様はやれやれ。と頭を左右に振っていた。




