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人喰い遊園地  作者: 井藤 美樹


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23/23

番外編 時間はゆっくりある

 残酷なシーンがあります。

 ご注意下さい。



 遠くで、シャリ、シャリという音がする。



((何の音だ……?))



 松井と村山の意識が、音の方向に向いた時だった。



「そろそろ、起きて。二人とも」

 楽しめそうな声と、揺り動かされる腕の感触に、松井と村山は目を覚ます。



「やっと起きたね」



 中川が二人の側に立っていた。反射的に、松井と村山は起き上がろうとしたが、縛られているのか、四肢の自由が利かない。唯一動くのは、首から上だけだ。



「っ!! ここは何処だ!?」

「俺たちをどうするつもりだ!?」



 松井と村山は中川を怒鳴り付ける。

 以前の中川なら、ちょっと声を荒げただけで、ビクッと身を竦ませ逃げ出すのに、ここにいる中川は、身を竦ませることなく、反対に嬉しそうに松井と村山を見下ろしている。



「ここは、拷問部屋だよ。解体部屋とも言った方がいいかな」

「「解体部屋……」」



 絶望を含んだその声に、中川は満足そうに微笑むと、天井のある一部を指差した。



 そこには、明らかに人だった者の手足が、切口を逆さにしてぶら下がっていた。



 一瞬にして、それが誰のものか松井と村山は理解した。

 同時に、強烈な嘔吐感が込み上げる。吐き出されるのは、胃液だけだった。

 その臭いを近くで嗅いでも、中川は顔を歪めない。反対に嬉しそうだ。



「血抜きをしてるんだよ。そうしないと、食べれないからね」

「…………狂ってる……」



 切れ切れな息の中で、村山が吐き捨てる。



「そうだよ。何、当たり前の事を言ってるのかな? 僕は君たちに復讐するために、人であることを捨てたんだよ。山岸さんや斉藤さんは女性だから、すぐに殺してあげたけど、君たちはすぐには楽にしてあげない。これから、意識を保ったまま解体されていくんだよ。そうだね……まずは、足の指からいこうか? それとも、手の方がいいかな? 選ばせてあげるよ。松井君、村山君、どこにする?」



 ワクワクした声で、中川は胃液にまみれた松井と村山に呼び掛けた。









『…………中々、エグイですね。麗さん』



 さすがのレンも、口元に手を当てている。道化は言葉も出ない。モニターを操作していたスタッフも、三分の二がこの場から逃げ出していた。



 モニターには、ゆっくりと解体されていく、人間の肉体が映し出されている。



 一人、麗だけが、何事もなかったかのように、平然と笑って眺めていた。



『始めに、そう言っただろうが。我は。それで、これを見せてよかったのか? 勇也に』



 そう訊かれて、レンと道化は答えられない。



『普通の人間なら、耐え切れないだろうな。運よく耐えられたとしても、その精神は深い傷を負っている筈じゃ。それも、致命傷に近い傷をな。そんな状態の勇也を、この場に留めおく事は、まず無理だろうな。それとも、お前たちは勇也が壊れても、居て欲しかったのか?』



『『…………』』



 レンと道化は答えられない。この映像を見れば、麗が勇也にとった態度は間違っていなかったと、レンと道化は思う。



 それに、レンと道化がそんなことを望んでいないことは、麗には分かっていた。

 精神を壊した勇也は、もはや、麗たちが知っている勇也ではないのだから。



 いつしか、モニター室には三人しか残っていない。

 人形として生きていくことになった、中川は別として。人形は視線を逸らせることなく、モニターを見続けている。

 逃げ出さなかったレンと道化に笑みを浮かべると、麗は人形の頭を撫でながら、柔らかな口調で言った。



『まぁ、時間はゆっくりある。事を急いては失敗するぞ。なぁに、解けたと思っておる縁は、今も繋がれたままだ。三か月後には、クリスマスイベントも始まる。……今度は、ゆっくり滞在してもらおうかのぉ……』



 段々、麗の笑みは深くなる。





 アヤカシたちは、三か月後に思いをせた。


 

 モニターから流れる、松井と村山の悲鳴をBGMにしながら……





 

 お待たせしましたm(__)m

 番外編最終話です。


 一応、これにて、「人喰い遊園地」は完結になります。

 

 この作品に登場するキャラクターたちを愛してますので、もしかしたら、続編を書くかも……。あくまで、かもです("⌒∇⌒")


 最後まで読んで頂き、本当にありがとうございましたm(__)m

 心からの感謝の気持ちを込めてm(__)m


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